2024/02/16
r.y6
伊藤潤二は、岐阜県中津川市出身のホラー漫画家です。5歳の頃から、姉が読んでいた少女漫画誌に掲載されていた楳図かずお、古賀新一らの怪奇マンガに熱中したことがきっかけで、小学校に入ってからは自らも怪奇マンガを描き始めたのだそうです。
映像化作品も多く、現在までに18本が映画化されており、ドラマ化、アニメ化もされています。
海外でも目覚ましい活躍をしており、作品のほぼすべてが、アメリカ、香港、フランス、スペイン、中国など、20を超える国・地域で翻訳出版されています。
2015年12月から3か月間、台湾の台北で作品世界を体感できる展覧会「伊藤潤二恐怖美学体験大展」が開かれました。
「富江」「死びとの恋わずらい」「首吊り気球」などを題材にした等身大フィギュアや原画を展示したこの展覧会は、チケットは8万枚売れ、7万3千人が入場しました。
2017年にはその巡回展が上海と香港でも開かれました。
続いては、伊藤潤二の経歴について、詳しくご紹介していきます。
伊藤潤二は、岐阜県立中津高等学校を卒業後、歯科技工士専門学校に進み、1984年、卒業後、歯科技工士になっています。
漫画を描くことはしていたそうですが、漫画家になれるとは考えておらず、「ものづくりが好きで手先が器用」などの理由から歯科技工士になったそうです。
歯科技工士として働いていた頃、新人漫画賞『楳図かずお賞』が創設されます。
伊藤潤二は、楳図かずおに読んでもらいたい一心で漫画『富江』を描き上げ、投稿したそうです。
そして、審査員の一人である楳図かずおが『富江』を「ホラー心がある作品だ」と高く評価し、佳作を受賞し、ここから伊藤潤二の漫画家人生がスタートします。
『楳図かずお賞』で佳作を受賞してから、しばらくは漫画家と歯科技工士を両立させていました。
しかし、徐々に漫画の仕事が増え、限界を感じるようになり、受賞してから3年後に歯科技工士を辞め、漫画家に専念することになりました。
その後は数多くの名作を生み出し続けています。
伊藤潤二にしか書けない作品を発表し続け、2017年に漫画家生活30周年を迎えています。
2021年には、アメリカのマンガ賞・ウィル・アイズナー コミック・インダストリー・アワード」にて、『地獄星レミナ』で「最優秀アジア作品賞」を、同作と『伊藤潤二短編集 BEST OF BEST』で「Best Writer / Artist部門」を受賞しました。
日本人作家で「Best Writer / Artist部門」を受賞したのは、伊藤潤二が初となります。
また、2022年にも、「死びとの恋わずらい」英語版が、最優秀アジア作品賞を受賞しています。
2021年8月に朝日出版社主催の朝日ホラーコミック大賞で審査員長を務めました。同年12月には、アメリカの業界紙・Library Journalのベストブックスに選出されています。
続いては、伊藤潤二の代表作品をご紹介していきます。
『楳図かずお賞』で佳作を受賞し、漫画家デビューのきっかけとなった作品です。
川上富江は、長い黒髪、妖しげな目つき、左目の泣きぼくろが印象的な、絶世の美貌を持った少女で、多くの男たちが彼女に魅了され、次第に彼女に殺意を抱くようになります。
しかし、富江は何度殺害されても蘇ります。『富江』は、富江と彼女に関わることによって人生を誤る男たち、そして彼らを取り巻く人々の人間模様を描いた物語です。
1999年に実写映画化され、2011年までに8本の映画が公開されています。
1995年、少女向けホラー漫画誌に連載された作品です。
四つ辻に立ち、最初に通りかかった人に占いを頼む辻占(つじうら)が流行る難澄市で、四つ辻の美少年に出会った少女たちが、次々と辻で首を切って自殺していくホラー作品です。
2001年に映画化されています。
竜巻やカタツムリなど「うずまき」に関わるものが蔓延し、町の人々を呑み込んでいくホラー漫画です。
小学館の『週刊ビッグコミックスピリッツ』で1998年7号から1999年39号まで不定期連載された作品で、2000年には実写映画化されています。
また、アメリカでは『UZUMAKI』のタイトルで、アニメ化される事が決定しています。
2001年から2002年にかけて、『週刊ビッグコミックスピリッツ』で掲載された作品です。
突如出現した陸を歩く魚・歩行魚が日本中に広がり、恐怖と混乱をもたらす様子を描いたホラー漫画。
2012年にアニメ化されています。
原作者佐藤優の実体験をもとに、書かれた話で、ソ連からロシアに変わる激動期、専門職外交官の憂木衛は北方領土問題に尽力するが、国策捜査により逮捕され無実を訴え続ける様子が描かれています。
伊藤潤二は、作画を担当しています。
続いては、伊藤潤二の最新作についてご紹介していきます。
『幻怪地帯 Season2』が、2021年9月14日にAERA dot.で、連載がスタートしており、これが最新作となります。
第1回は「塵埃の魔王」で、今は廃れてしまった温泉街が舞台となっており、荒れた廃墟を探検するのが好きな少年は、かつては旅館だった自宅の3階へと足を踏み入れ、恐怖の世界を体験するというストーリーです。
幻怪地帯 Season2は毎週火曜日に更新されています。なお作品は『Nemuki+』の2022年1月号にも掲載されています。
続いては、伊藤潤二のアニメ化された作品についてご紹介していきます。
奇妙な奇形魚に翻弄されるというパニックホラー作品で、実写映画化もされているこの作品は、2012年にアニメ化もされています。
この作品が、伊藤潤二のアニメ化初作品となりました。
『伊藤潤二傑作集』や『魔の断片』に収録されているホラー漫画を原作とした、オムニバス形式のアニメです。
2018年にアニメ化され、WOWOWやTOKYO MXで放送されました。
2023年に、Netflixにて『伊藤潤二 マニアック』が配信されることが決定しています。
傑作集から5作品が映像化されるオムニバスアニメであり、櫻井孝宏や朴璐美らがキャスティングされています。
続いては、伊藤潤二の家族について、詳しく見ていこうと思います。
伊藤潤二は2006年に結婚しています。伊藤潤二は、43歳での結婚でした。
妻はイラストレーターの石黒亜矢子です。
伊藤潤二の10歳年下であり、絵本作家や、化け猫、妖怪や創造生物、動物などのイラストを描いており、京極夏彦の『妖怪えほん』の装丁を担当するなどしています。
2008年頃に長女、2010年頃に次女が誕生しており、2人の娘を育てています。子供が幼い頃には自身の絵を見せないようにしていたのだそうです。
結婚後もしばらくは、実家である岐阜県で母親や妻の石黒亜矢子と暮らしていましたが、後に千葉県へと引っ越しており、現在、千葉県在住です。
日本国内だけではなく、海外でも人気を博している、『富江』など多くのホラー漫画を世に生み出してきた、漫画家の伊藤潤二についてご紹介しました。
楳図かずおに憧れ、楳図かずお賞を受賞したことをきっかけに漫画家としてデビューして以来、数多くの人気作品を発表しています。
漫画家生活が30年を超えた今でも、新しい作品を発表しており、アメリカでのアニメの放送も控えています。
今後も、日本を代表するホラー漫画家として活躍されることでしょう。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
この記事に関する記事
キーワードから記事を探す
Copyright© 運営事務局