木村良平さんの結婚相手がバラされた事件の真相は?子供がいるのかも解説
2023/12/28
大今里
それではまず、「人間失格」がいつ書かれたのか、日本文学の中でどういった位置づけなのかなどについて見ていこうと思います。
作者の太宰治は、左翼活動での挫折後、自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、第二次世界大戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した日本を代表する作家です。
主な作品に『走れメロス』『津軽』『人間失格』、没落した華族の女を主人公にした『斜陽』などがあります。
太宰治は、「人間失格」を1948年3月から書き始めて13日後に脱稿しています。
太宰治は「人間失格」を脱稿してから1ヶ月後に死亡していることから、人間失格は「遺書」ともいわれています。
太宰治の最期に関しては後述します。
人間失格は太宰治が、死ぬ直前に書き上げた作品で、勢いに任せて書いた作品だという説もありますが、157枚に及ぶ下書きのような原稿が見つかっており、言葉一つひとつが何度も推敲されており、内容を練りに練りフィクションとして創造した苦労の跡が随所に窺えます。
死後、親族により発表されています。
さらに、『新潮』1940年1月号に掲載された『俗天使』に「あのころの事は、これから五、六年経って、もすこし落ちつけるようになったら、たんねんに、ゆっくり書いてみるつもりである。『人間失格』という題にするつもりである。」という記載もあったことから1940年代から温めていた作品であると考えられています。
青空文庫とは、ネットの電子図書館と呼べるサイトの事です。
著作権が消滅した作品や著者が許諾した作品のテキストを収集し、それらを電子書籍としてネットで公開しているサイトです。
著作権は、2018年までは作者の死後50年、現在は死後70年が経過すると消滅します。
ですので、書店で販売されている夏目漱石や宮沢賢治、森鴎外、芥川龍之介などの作品は、すべて著作権が消滅している作品なのです。
このサイトは、ボランティアによって運営されており、少しずつ掲載作品が増えています。
太宰治の「人間失格」も、このサイトで無料で読むことが出来ます。
続いては、「人間失格」のあらすじを短く簡単にご紹介していきます。
絵描きを志す精神は弱いがハンサムな男性が自身の愚かさと女性関係で悩み酒と薬におぼれて堕落していく話。
幼少期に明るくしていると同級生から「わざ、わざ」とわざとらしさを指摘された葉蔵は自分は偽りのダメな人間だと苦しみ続け、結局は酒と女におぼれて脳病院へ入院させられることになり自分は人間失格だと絶望する話
葉蔵は、少年時代に必死に明るく振舞うも同級生に「わざ、わざ」とわざとらしさを指摘されて自分は人格が剥離する境界性人格障害を患っていることに気づき、卑怯な人間だと苦しみ続ける。苦しさから逃れるために女性と心中をはかるも自分だけ生き残ったり、信じた嫁がほかの男性から襲われるところを目撃してしまったりと苦悩は続き、結局は酒と女におぼれて、最後には脳病院へ入院させれることになり自分は人間失格だと絶望する話。
人間失格のあらすじが伝えたいことは何なのでしょうか。詳しく見ていこうと思います。
人間は何かのきっかけで簡単に破滅してしまうから、読者にはそうならないようにという戒めのメッセージが込められているのではないでしょうか。
道化は自分自身をごまかし続けることになるため、誰でも一度は道化になった経験があるかもしれないが、自分を見失うので自我を強くもつべきだというメッセージが込められているのではないかという意見があります。
人それぞれ、心に刺さる言葉は違うと思いますが、ご紹介させていただいた言葉は、多くの人が印象に残ったと挙げる言葉です。
あなたに刺さった言葉はあったでしょうか。
続いては、「人間失格」の見どころについてご紹介します。
上手く生きることができない主人公がどんどんと破滅に追い込まれている様子を見ているうちに、自分もこうなったらどうしようという気持ちが沸いてきてスリルを味わえます。
主人公は、モテるものの、関係する女性たちとはそれぞれの幸せをつかめたはずなのに、やはり主人公は平穏な生活を手に入れることができません。
女性たちとの関係に苦しめられている様子が可哀そうになることで主人公への情がわくなどという意見もあります。
心中未遂を繰り返したり、女性問題が絶えなかったりと人間失格の主人公は太宰治を思わせるところがあり、ときおりノンフィクションが含まれているのではないかというところが興味深いといった意見もあります。
続いては、「人間失格」を原作とした映画ではなく、太宰治と3人の女性との関係を基に描いたフィクション作品「人間失格 太宰治と3人の女たち」についてご紹介します。
太宰治を小栗旬さんが演じ、妻である津島美知子を宮沢りえさんが、愛人である太田静子を 沢尻エリカさんが、同じく愛人である山崎富栄 を 二階堂ふみさんが演じました。
この映画、とにかく太宰治を演じた、小栗旬さんに対する「色っぽい」「セクシー」「色気がやばい」といったレビューが多数上がりました。
この映画は「さくらん」「ヘルタースケルター」「Diner ダイナー」などで、映像美が話題となった、蜷川実花監督が務めており、映画というより芸術だと感じたなどという声があがりました。
また、2010年には、生田斗真さん主演で、「人間失格」が映画化されています。
原作ではモルヒネ中毒で精神病院に入院しますが、映画では太宰治自身と同じく愛人の富栄と自殺で終わります。
続いては、太宰治の最期について詳しく見ていこうと思います。
太宰治は、1948年(昭和23年)6月13日、玉川上水で山崎富栄と入水自殺しました。38歳でした。
2人の遺体は6日後の6月19日、奇しくも太宰の39回目の誕生日に発見されました。
太宰治は、それまでにも、自殺を繰り返しており、わかっているだけで単身で4回、心中で3回、自殺未遂を起こしていました。
彼女は、日本最初の美容学校であるお茶の水「東京婦人美髪美容学校」の設立者の娘で、自身も美容師でした。
結婚はしていましたが、新婚わずか10日余りで旦那は三井物産マニラ支店に単身赴任し、この地でアメリカ軍上陸を受けて現地召集され、マニラ東方の戦闘に参加したまま、行方不明となりました。
屋台のうどん屋にて飲酒中の太宰治と知り合い、太宰治から「死ぬ気で恋愛してみないか」と持ちかけられ、愛人関係となりました。
警察からの正式な発表はありませんでしたが、太宰治の首には細縄でしめあとがあり、太宰治はほとんど水を飲んでいなかったことから、山崎富栄による他殺説があります。
山崎富栄は、太宰治ともう一人の愛人、太田静子が太宰治との子供を出産したことに動揺しており、さらには太宰治との関係も上手くいかなくなってきて、捨てられることを予感して、しばしば嫉妬の念を持つようになっていたとされています。
日本文学の名作でもあり太宰治の代表作でもある小説「人間失格」について、ご紹介してきました。
人間の弱さを赤裸々に描いたこの作品は、どこかが自分に重なる事も多く、現代まで多くの人から支持されてきた作品です。
これを機に、一度、目を通されてはいかがでしょうか。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
この記事に関する記事
キーワードから記事を探す
Copyright© 運営事務局
日本文学の名作でもあり太宰治の代表作でもある小説「人間失格」。題名を聞いたことがある人は多いと思いますが、正しいあらすじまで把握している人は少ないのではないでしょうか。そこで今回は、「人間失格」のあらすじを50文字以内、100文字、200文字とそれぞれ短く簡単にご紹介します。
この作品を通して作者が伝えたいことは何だったのでしょう?また、主人公は太宰治本人をモデルにしたと言われているので、作者の人生を想像しながらご覧ください。さらに、ヤバいと評判の小栗旬さん主演で公開された映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」の感想にも注目です。