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    即身仏は究極の苦行を乗り越える必要がある?ミイラとの違いは?

    即身仏とは、修行者が究極の悟りを経て仏になった姿のことを表します。日本に現存する即身仏は、18体と貴重で世界から注目を集めています。今回は、即身仏になる理由や過酷な過程についてご紹介します。さらに、ミイラとの違いについてもご紹介します!

    即身仏について

    即身仏はミイラと見なされることもあります。しかし、悟りを得るための究極修行でもあり、即身仏となった僧侶は信仰の対象にもなっているのです。日本には、18体の即身仏が現存しています。

    即身仏は非常に貴重なため、海外からも注目されているです。僧侶が即身仏になる理由や過酷な修行などについてまとめてみました。

    即身仏とは?ミイラとは違う?

    即身仏は厳しい修行を行い最終的に体をミイラ化させていきます。日本は湿度の高い土地です。そのため、体をミイラにするのは非常に難しいといわれています。即身仏になるのに比較的向いた地域には、現在でも多くの即身仏が安置されています。

    また、エジプトのミイラと即身仏では、体をミイラ化させる方法が大きく異なりました。エジプトのミイラの処理方法や即身仏とエジプトのミイラの違いについてご紹介します。

    即身仏は僧侶の究極の姿

    即身仏は僧侶の究極の姿ともいわれています。即身仏になるためには、非常に厳しい修行をすることが必要です。そのため、誰でも挑戦できるものではありませんでした。即身仏の修行に入る時点で、徳の高い高僧であることの証明だったといわれています。

    高僧が悟りを開くことと世の人々が救われることを願って、臨む修行だったのです。即身仏は、死後に体をミイラ化する必要があります。即身仏は生きているうちに、体がミイラ化する準備も行います。

    日本は湿度の高い環境なので、死体をミイラ化するには向いていません。そのため、失敗する可能性も高いのです。しかし、修行僧は悟りを開き人々を救うという希望を持って、即身仏に挑戦したといわれています。

    即身仏は東北地方で信仰されていた

    即身仏は東北地方を中心に信仰されていました。山形県にある湯殿山は、即身仏の修行を行う場所として現代でも有名な所です。湯殿山は冬になると非常に雪が深くなり、気温も下がります。修行僧は水に入り、ろうそくの火が消えるまで読経を唱え続けたといいます。

    そんな環境で過ごしながら、即身仏になるために食事を少しづつ減らす修行を行うのです。そのため、体温が下がり過ぎて命を落としたり、栄養失調から病気になる僧侶は多かったそうです。

    即身仏の修行の途中で、失敗してしまう僧侶は大勢いました。山形県は、即身仏が最も多く祀られた県です。現在は、8体の即身仏が安置されています。

    新潟県も山形県について即身仏の多い土地です。4体の即身仏が祀られた寺院があります。このように、即身仏があるのは東北地方が中心なのです。

    即身仏とミイラの違い①死後に処理する

    正確にいえば、ミイラは乾燥して腐敗しなくなった死体の総称です。そういった意味では、即身仏もミイラの一種といえます。しかし、一般的なエジプトのミイラは、死後に腐敗しないように処理を行います。

    即身仏は、僧侶が生前にミイラ化する準備を行い、自力でミイラ化するわけです。エジプトのミイラは、死後に他人の手で防腐処理が行われます。ここが、即身仏とは大きく異なります。エジプトでは、死んだ人間はいずれ復活すると考えられていました。しかし、体は放っておくと腐ってしまいます。

    ミイラ化は復活した時のために、体を保存しておく大切な作業だったのです。死後に行われるミイラ化もかなり手のかかる作業です。しかし、即身仏は生きているうちにミイラになるための処理を行うことになります。より、難しく辛い修行になっているのです。

    即身仏とミイラの違い②脳みそを排出

    ミイラを作る場合、作業は亡くなった後に行われます。そのため、腐敗しないようにするのは即身仏に比べると簡単です。一番大きな違いは、体の中にあるものを取り出してしまうことでしょう。ミイラを作るために一番最初に行う作業は、脳を取り出すことでした。

    脳は、人間の臓器では一番腐敗しやすいのです。鼻の穴から、器具を差し込んで脳をかき混ぜます。そのまま、脳が液状になるまで潰して、鼻の穴から外に出します。現代の感覚では怖いですが、古代エジプトではこれでも復活できる考えられていました。

    即身仏は、基本的に死後の処理は行いません。そのため、即身仏には腐敗しやすい脳が残っているのです。日本の気候で、即身仏を成功させることは奇跡ともいわれています。

    即身仏とミイラの違い③腐敗処理を施す

    ミイラは、脳を取り出した後に内臓も取り出します。内臓は腐敗しやすい上に、細菌なども多いためすぐに取り出す必要がありました。内臓は保存するために、ナトロンというアルカリ性の物質につけられて保存されました。

    心臓は神聖な臓器と考えられており、傷つけないように丁寧に扱われました。内臓を取り出した体の中には、ナトロンが詰められました。更に、死体はナトロンの中に漬けられて保存されるのです。ナトロンは腐敗防止効果があるだけでなく、脂肪を固くしてミイラの形を保ちました。

    腐敗臭はしませんが、ナトロンには臭いがあります。そのため、臭いを消すオイルでマッサージを行った後に、包帯で包んでミイラは完成します。即身仏は、このような処理は原則行いません。しかし、一部の即身仏は防腐処理が行われているといいます。

    即身仏にまつわる事実とは?【前編】

    即身仏になるためには、自分の体がミイラ化しやすいようにしなければなりません。生前から時間をかけて食事を制限し、体を作り変える必要があります。そのため、即身仏になるための修行はとても苦しいものでした。

    即身仏になる理由や即身仏になるための木食行についてご紹介します。

    即身仏の事実①即身仏になる理由

    僧侶が即身仏に挑戦する理由は何でしょうか?即身仏になることで、自分を犠牲にして世の中の人々の幸福や救済を実現するという考えもあります。即身仏になった僧侶は、多く人に崇められ信仰の対象にもなります。

    しかし、厳しい修行を行うことで、僧侶本人が悟りを開くことが本来の目的です。悟りは精神的に、世の中の制約から解き放たれることと考えられています。しかし、即身仏は肉体的にも永遠の存在になるという考え方もあるのです。

    即身仏になることは、ミイラになることでもあります。しかし、即身仏としてミイラになった僧侶は瞑想中だという考えもあります。やがて本物の仏になると、信じている人もいるのです。修行の段階から、ミイラになるための準備は始まっています。

    即身仏になった最初の人物は空海?

    即身仏に最初になった人物は、真言宗の宗祖として有名な空海という説があります。そのため、空海の即身仏が存在するともいわれます。しかし、これは誤りです。密教には、肉体を持ったまま悟りを開く即身成仏と言う考えが存在します。

    即身仏に似ていますが、即身成仏は文字通りに生きたまま仏になるという意味です。そのため、ミイラになる即身仏とは、全く違います。空海は即身成仏の修行に入ったのを最後に、その後どうなったのかはわかっていません。

    そのため、即身仏になったと誤解されたようです。ちなみに、即身成仏という言葉を作ったのも空海とされることがありますが、これも誤りです。空海は、即身成仏となり現在も生きているともいわれています。

    即身仏の事実②過酷な1000日間を経る必要がある

    即身仏になるためには、体が自然にミイラ化する必要あります。そのため、腐敗しにくい体を作ることも即身仏の修行に含まれています。まずは、食事を変えて脂肪を減らしていきます。即身仏の修行では、この段階に1000日かけます。

    穀物は一切取らずに、果物と木の実、植物の種を中心とした食生活を行います。更に、山にこもる必要もあります。脂肪は、即身仏になるためには大敵です。脂肪は体温を保ち、水分を蓄えるので生きるためには重要です。

    しかし、脂肪が多いと死後に体温が下がりづらくなり、細菌が増殖する原因になります。水分が多いことも腐敗を招き、ミイラ化を妨げる原因になるのです。まずは、1000日かけて、少しずつ脂肪の少ない体を作り上げていきました。

    即身仏の事実③次の1000日で脂肪と筋肉をそぎ落とす

    少しずつ脂肪を減らした1000日間の修行の後は、更に過酷な1000日の修行が待っています。今度は木の根や皮など、更にカロリーの低いものを食べるようになります。その上で、少しずつ量を減らしていき、瞑想と読経中心の生活になります。

    脂肪はどんどん減っていき、筋肉は分解されて生きるためのエネルギーになっていきます。脂肪も筋肉も減っていくことで細菌が増殖しにくくなり、腐敗する可能性も減ります。死んだ後に、ハエなどの虫に卵を産み付けられる危険も少なくなるのです。

    木ばかり食べるため、この修行は木食行と呼ばれています。食事が偏り量も少なくなるため、栄養失調で病気になりやすくなります。また、精神的にも不安定になるため、この段階で修行に失敗する僧侶は少なくありません。

    即身仏の事実④漆を飲んで体内の物を絞り出す

    即身仏の修行は、2000日もの時間をかけて体を作り変えます。最後に土の中に入る前の段階として、なんと漆を飲みます。漆は接着剤としても利用されている樹脂製の塗料です。漆は非常に毒性が強いですが、離尿作用と発汗作用があります。

    また、漆を飲むと嘔吐しやすくなるため、更に体内の水分が外に出ていくことになります。即身仏になるためには、ここまで徹底して体内の水分を絞り出していくのです。それだけではなく、漆には防腐作用もあります。

    細菌やバクテリアの増殖を防ぎ、虫に体が食われるのを防ぐ効果もあるのです。弱った体で、漆を飲むのは非常に大変なことでした。

    即身仏にまつわる事実とは?【後編】

    2000日の時間をかけて体内の脂肪と筋肉を減らし、水分まで徹底的に減らした僧侶は最後の修行に入ります。最後に、更に1000日以上の時間をかけて体をミイラに変えていきます。しかし、ここまでやっても失敗することも多く、即身仏になる確率はとても低いといわれています。

    即身仏の最後の修行土中入定とその成功率、現在はどうなっているのかなどをご紹介します。現存する、即身仏が何体現存するのかや、即身仏が安置されている寺院についてもまとめてみました。

    即身仏の事実⑤土中入定

    食事によって体を作り変え、漆を飲んで体が限界に達しています。この段階で、僧侶は地中に入りました。即身仏になるために、地中に作られた石室が用意されます。石室に入ることを土中入定といいます。この石室は地下3メートルほどの位置にあり、中は1人の人間が入るのがやっとの広さです。

    中で呼吸ができるように空気穴も用意されています。僧侶はここで読経を続け、最後の時間を過ごします。石室の中には、僧侶が鳴らすことができる鈴が用意されています。この鈴を鳴らし続けることで、僧侶は自分の状態を外に知らせます。

    鈴が鳴らなくなったら、中の僧侶は亡くなったと判断されます。一旦、石室は掘り起こされ、僧侶は蓮華座の姿勢で固定されます。その状態で、再び石室は埋められ更に時間をかけてミイラになるのを待つことになります。

    即身仏の事実⑥最後の1000日でミイラ化

    息を引き取った僧侶は、石室の中で1000日の時間をかけてゆっくりとミイラ化していくことになります。食事を制限し過酷な修行をしてきたのは、石室の中で体を腐敗させないためでした。脂肪も水分も極限までそぎ落とされているため、僧侶の体はそう簡単に腐敗はしません。

    1000日後に、僧侶は掘り起こされることになります。見事にミイラ化していれば、即身仏になることは成功です。即身仏になった僧侶は生き仏として、丁重に扱われることになります。そして、崇拝の対象になるのです。この段階で失敗してしまうと即身仏とは見なされず、埋葬されることになります。

    即身仏の事実⑦成功率はかなり低い

    即身仏になるための修行は、非常に厳しく過酷なことがわかったでしょう。あまりに過酷なため、途中で脱落する僧侶は非常に多いそうです。また、見事に石室の中で息を引き取ったとしても、体がミイラ化せずに即身仏になることに失敗する可能性は低くありません。

    湿度が高い日本では、どうしてもミイラ化する確率は低くなってしまいます。現在まで、即身仏になろうとした僧侶はかなりの数がいたと考えられています。挑戦した人数はわかりませんが、現在まで日本で成功した即身仏の例は20体ほどのようです。

    日本の即身仏の歴史が650年ほどと考えると、確率は非常に低いといえるでしょう。ただし、途中で病死した場合でも、防腐処理をして即身仏とした例もあるようです。また、即身仏に失敗しても、その僧侶は深い尊敬の念を持たれたといわれています。

    即身仏の事実⑧法律上禁止された

    かつてはかなり行われていたと考えられる即身仏の修行ですが、現在は法律で禁じられています。本来、悟りを開くための修行のはずですが、江戸時代には飢饉や疫病を鎮めるために土中入定した僧侶もいたようです。

    1877年には土中入定は自殺と見なされて、これを禁止する法律が作られました。墳墓発掘禁止令で、石室を掘り出すことが違法となったのです。それでも鉄竜海上人は法律が制定後に、入定し即身仏になっています。その後、入定した時期を偽って、即身仏として祀られています。

    現在は、法律が変わっています。しかし、即身仏の修行にかかわることは、自殺幇助罪や死体損壊罪、死体遺棄罪などに触れることになります。即身仏の修行は、現在でも違法です。

    即身仏の事実⑨現存する即身仏は18体

    修行に成功して、即身仏になった僧侶は20人ほどいたといわれています。しかし、その全てが現存しているわけではありません。現在、残っている即身仏は日本に18体あります。その全てが、公開されているわけではありません。

    しかし、全ての即身仏は安置されている寺院が明らかにされています。現存する即身仏と寺院の情報をまとめてみました。

    無際大師 總持寺

    無際大師は日本に現存する最古の即身仏です。弘法大師空海よりも、以前の僧侶で790年に亡くなっています。日本の僧侶ではなく、中国唐代の禅僧です。元々は中国にあった即身仏ですが、1911年に革命軍によって寺院が焼かれてしまいました。

    その後、即身仏は救い出され、日本に渡ることになりました。現在は、曹洞宗大本山總持寺に安置されており、非公開です。

    弘智法印 西生寺

    弘智法印は、日本の即身仏では最古とされています。安置されているのは、新潟県長岡市の西生寺です。簡単に見られる宝物館には、即身仏のレプリカが展示されています。本物も公開されていますが、カメラ撮影は禁止です。即身仏が安置されているのは、寺院の奥になります。

    弾誓上人 阿弥陀寺

    京都市左京区大原にある阿弥陀寺には、弾誓上人の即身仏が安置されています。1613年に、入廷し即身仏になったそうです。かつては公開されていました。明治元年に石棺に安置されてからは、公開されていません。公開されない理由は、即身仏の状態が良くないためとされているようです。

    本明海上人 本明寺

    山形県東田川郡朝日村岩本にある本明寺には、本明海上人の即身仏が安置されています。本明海上人 は、「後の世の人のどんな願い事でもかなえてあげよう」という言葉を残したといわれています。

    現在、即身仏は公開されています。

    宥貞法印 貫秀寺

    福島県石川郡浅川町の貫秀寺には、宥貞法印の即身仏が安置されています。疫病治癒を祈願して即身仏になったとされています。福島県では、即身仏が公開されている唯一の場所です。宥貞法印は土中入定ではなく、石棺に入ることで即身仏になりました。

    舜義上人 妙法寺

    茨城県桜川市にある妙法寺には、舜義上人の即身仏が安置されています。1686年2月に入定したとされています。即身仏は一般公開されていますが、見学希望の場合は事前に連絡しておく必要があります。

    全海上人 観音寺

    新潟県東蒲原郡鹿瀬町菱潟にある観音寺には、全海上人の即身仏が安置されています。かなり体格の良い人物で、出家前は五人力で知られていました。普段は一般公開されていませんが、7月8日にのみ即身仏が一般公開されます。

    心宗行順法師 瑞光院

    長野県下伊那郡阿南町新野にある瑞光院には、心宗行順法師の即身仏が安置されています。ちなみに、瑞光院はミイラ調査団が調査しようとした際に、「絶対反対。来るならば槍で迎える。」と過激な回答をしたことでも有名です。

    忠海上人 海向寺

    山形県酒田市日吉町2丁目にある海向寺には、忠海上人の即身仏が安置されています。即身仏が発掘された際に、煙で乾燥させるなどの処理が行われたそうです。

    そのため、他の即身仏に比べて、黒光りしているといわれています。本明寺にある本明海上人の甥にあたる人物です。

    秀快上人 真珠院

    新潟県柏崎市西長島鳥甲にある真珠院には、秀快上人の即身仏が安置されています。学術調査が行われてから20年ほどしか経っておらず、即身仏として祀られるようになったのは最近ということです。

    調査をするまで長らく石棺の中を見た人がいなかったため、本当に秀快上人が中にいるのか真珠院の人は心配していたそうです。現在は一般公開されていません。

    真如海上人 大日坊

    山形県鶴岡市にある大日坊には、真如海上人の即身仏が安置されています。真如海上人は、日本で最も有名な即身仏と呼ばれています。20代で木食行を始めましたが、なんと70年間木食行を続けていたといいます。

    土中入定した時は、96歳だったといいます。70年修行を続けたことも驚きですが、これだけ長生きしているのもすごいです。即身仏は衣替えを頻繁に行う場合があります。

    真如海上人が衣替えを行った際に、法衣の一部を入れたお守りが販売されています。これは日本で一番強力なお守りとしても紹介されました。

    妙心法師 横蔵寺

    岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲神原にある横蔵寺には、妙心法師の即身仏が安置されています。妙心法師は最年少で、即身仏になった人物としても有名です。横蔵寺には、22体の重要文化財も安置されています。

    円明海上人 海向寺

    円明海上人の即身仏が安置されているのは、海向寺です。忠海上人が安置されているのと同じ寺院で、日本で即身仏が2体安置されているのはここだけです。

    鉄門海上人 注連寺

    山形県東田川郡朝日村七五三掛にある注連寺には、鉄門海上人の即身仏が安置されています。即身仏になった僧侶らしからぬ破天荒な逸話で知られ、非常に有名な人物です。即身仏は一般公開されています。

    光明海上人 蔵高院

    山形県西置賜郡白鷹町大字黒鴨にある蔵高院には、小明海上人の即身仏が安置されています。「100年たったら掘りだしてくれ」と言い残して、1854年に土中入定したことがわかっています。しかし、場所がわからず、掘り出されたのは124年後になってしまったそうです。

    明海上人 明寿院

    山形県米沢市小中沢にある明寿院には、名海上人の即身仏が安置されています。事前に連絡しておく必要がありますが、無料で見学が可能になっています。

    鉄龍海上人 南岳寺

    山形県鶴岡市砂田町にある南岳寺には、鉄竜海上人の即身仏が安置されています。墳墓発掘禁止令制定後の即身仏のためか、病没後の入定とされています。亡くなった年を偽り、時効になるまで即身仏の存在も隠されていました。

    仏海上人 観音寺

    仏海上人にある即身仏は、新潟県村上市肴町の観音寺に安置されています。日本で最後の即身仏で、病没後に土中入定しました。掘り起こすことも禁止されていたため、調査のために発掘されるまで60年近くかかりました。

    地中に長く埋まっていたせいで損傷が激しかったといわれていますが、修復後に即身仏として祀られました。

    海外の即身仏について

    即身仏は、弘法大師空海の考えた修行法とされることもあります。しかし、実際は誤りです。弘法大師空海以前の即身仏も海外には存在し、最近でも即身仏が発見されることもあります。海外の即身仏についてご紹介します。

    中国では金箔に覆われた即身仏がある

    中国には、金箔でコーティングされた即身仏が存在します。即身仏を金箔でコーティングすることに疑問を感じる人もいるようですが、ダメージを防いで外見をそのまま保つためには有効な処置のようです。

    2012年に亡くなった中国の高僧Fu Hou氏が即身仏となり、金箔でコーティングされたことがイギリスのタブロイド紙に掲載されています。

    モンゴルでは200年前の即身仏が発見された

    2015年には、モンゴルで新しい即身仏が発見されています。発掘された即身仏を売却しようとした人物が警察に逮捕され、即身仏は押収されたということです。

    即身仏は200年前に亡くなったとされていますが、状態はかなり良いようです。とてもそれほど昔のものには見えません。

    モンゴルは日本よりミイラ化に適した環境ですが、非常に状態の良い即身仏も発見されるようです。

    即身仏となった僧侶は信仰の対象になる

    かつての日本では過酷な修行によって即身仏になった僧侶がいました。現在は法律で禁止され、気味悪がられることもあります。しかし、これだけ大変な修行を行って即身仏になった僧侶は尊敬され、信仰の対象になりました。

    現在でも、ありがたい存在として祀られています。その姿に神々しいものを感じる人は多いようです。

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