木村良平さんの結婚相手がバラされた事件の真相は?子供がいるのかも解説
2023/12/28
大今里
「アニミズム」という言葉を知っていますか?日本で生まれた言葉ではなく、海外の人類学者が考えた概念と言われています。このアニミズムは日本においてとても馴染みやすい概念で、アニミズムの概念の意味がわかると身近にあるものが「これはアニミズム的だ!」と思えるかもしれません。
アニミズムは以前に比べて使われなくなったようで、一部ではアニミズムに対しての否定論もあったようです。しかし、宗教や民族、文化などに関係していて特に宗教とのかかわりが深いようです。そんな、アニミズムについてご紹介します。
イギリスの人類学者、「エドワード・B・タイラー」が考えた概念で、「原始文化」という書籍の中でアニミズムを提唱しています。また、私たちの気づかないところにアニミズムはあります。
アニミズムという単語は、元々1871年に人類学者のエドワード・バーネット・タイラー(イギリス)が記した「原始文化」という著書の中で紹介されました。タイラー氏はアニミズムの定義を「自然界全てのものに、魂や精神が宿っているという前提で、それら霊的存在に対して信仰を持つこと」としました。
このアニミズムが人類の宗教の起源としています。また、タイラー氏の弟子、マレット氏は信仰には、このアニミズムよりも以前の段階があると考えられました。アニミズムの霊魂は人格的なイメージですが、マレット氏は非人格的な驚異の存在を自然界に認めるところから信仰は始まっていると捉えました。
このマレット氏の考え方を「プレ・アニミズム」と呼びます。マレット氏の発想として、太平洋諸国の民族たちに信じられていた「マナ」という概念があります。マナという人格を持たない霊的な存在、力が人やものに憑依することで驚異的な変化をもたらすという考え方です。
アニミズムの記憶違いで「アミニズム」がるようです。これは単なる間違いですが、このアミニズムで記憶してしまった人も少なくないようです。どちらか迷い覚えにくい時はその語源で覚えるといいみたいです。
アニミズムの語源はラテン語の「アニマ」から来ています。このアニマは「アニマル」や「アニメーション」も同じ語源です。なので、迷ったらアニマルやアニメーションと同じ語源だったと思い出せば「アニミズム」がうまく導きだせます。
アニミズムの特徴は人間の成長過程にも見られると言われています。幼児が玩具に話しかけたり、カブトムシに相撲を取らせたりして遊ぶ行為は、自分と対象のものを同等にとらえている状況であり、アニミズム的と言えます。
また、大人も、この幼児のアニミズム的反応を教育上、利用することがあります。例えば、馬の玩具が片付けられず放っておかれたとき、「お馬さんが寂しそうだよ。おもちゃ箱に返してあげよ」と幼児に語り掛けたりします。
名刺交換にもアニミズムの考え方が日本にはあるようです。名刺はその人本人であるかのように扱い「ものに魂が宿っている」というのがアニミズム的な特徴をとらえているようです。また、名刺交換ではアニミズム的表現によって、相手を敬うという点がポイントのようで例があります。
・名刺が縦書きか、横書きかによって相手が読みやすいように向きを変える。
・自分の名刺は、相手が出した位置よりも低く差し出すように心がける。
・上司、部下の順番で行い、商談中は机の上に名刺を並べておく。
・メモを書き込むときは、相手と別れてから見えない場所で記入する。
など、相手を思いやる日本のアニミズム的な考え方があると言われています。
日本人としては当たり前のように関わっている風習もほとんどがアニミズム的な発想が元になっています。先祖霊が年に1回家に帰ってくるというお盆はその典型です。ほかには、その年に神が鎮座する方向にお参りに行くと幸運の力が得られるという恵方参りというものもあります。
また、家を建てる、車を買うといったときにお祓いを受けますが、これにも祓戸の神(はらえどのかみ)という神が担当しているそうです。昔からの習わしが、現代にまでアニミズムの影響を与えています。
ここからは日本の宗教、民族、文化とアニミズムの関係についてご紹介します。日本にアニミズムが当てはまることがわかります。
日本の古代宗教と言われている、「古神道」には元々、自然界に存在する山川草木を含めたすべてのものに神が宿っているという発想があります。これを「八百万の神」と呼んでいます。これら八百万の神は私たちの日常生活にも神を感じます。
たとえば、台所には台所の神様、トイレにはトイレの神様がいるといわれています。日本発祥の神道の発想とアニミズムは、「自然界のものには霊的存在が宿っている」と捉える点で共通して言えますが、神道はさらに周りの環境(自然界)と人間を切り離していないところが特徴としてあります。
自然界には八百万の神があり、自分たち人間もその1部であると考え、神も人間も「分け御霊」(わけみたま)であると捉えることができます。この捉え方を「かんながら」といい、神さながらという意味です。
アイヌ民族にも宗教があり、「アラッ」と呼ばれる魂が、動植物、生活道具、自然現象にまで宿っていると考えられています。これはアニミズムに分類されます。また、アイヌ民族は冬眠中の熊を狩りますが、そこに子熊がいたら、集落に連れ帰り上質な食事を与え1、2年ほど大切に育てます。
その後、集落をあげて「送りの儀”イヨマンテ”」を行います。イヨマンテは熊の姿で人間世界にきた熊(カムイ)を丁寧にもてなした後、熊を屠殺して得られた肉や毛皮はもてなしの礼としてカムイが置いていった土産で皆でありがたく頂き、神の世界へお帰りいただく儀式を言います。
地上で人間にもてなされた熊(カムイ)は神の世界に戻った後も再度、肉と毛皮を土産に携えて人間世界に訪れます。人間世界のすばらしさを伝え聞いたカムイたちも熊となって肉と毛皮とともに人間世界に訪れると解釈されています。現在は、行われていないそうです。
ファンタジー色の強いアニメや漫画の設定でよく使われるのが「〇〇精霊」や「〇〇の神」というもので、これはアニミズム的な発想といわれています。ジブリ作品の「もののけ姫」がまさにそれで、物語設定はアニミズムの特色がよく表れています。
ロボットなどでは「鉄腕アトム」や「ドラえもん」は人間と同じように生活をしたり会話をしています。非生物でありながら魂が宿っているように描かれています。
物語を構成する上でこうした「〇〇精霊」などの設定が採用されるということは、私たちも少なからずアニミズム的な発想をしていて、そうした感性を内在しているからなのかもしれません。
アニミズムは多神教的な思想ですが、一神教の色が濃い海外ではどのような認知度なのでしょうか?海外のアニミズム的な宗教や民族をご紹介します。
アニミズム以前に存在したとされるプレ・アニミズムはあらゆるものには生命活力が宿ると考えられ雨、風なども、その意志や働きによるものが信仰の対象とされてきました。
その後、未開民族や未開社会において、自然界のあらゆるものに固有の霊魂が宿っていると考えられました。それらに供え物をささげ拝礼するようになりました。これが原始宗教の起源とタイラー氏は論じています。
唯一の神を信仰するキリスト教の考えには、人は自然界と厳格に区別され、自然は人間に支配されるべきものと定義されています。キリスト教をはじめとする一神教は厳しい砂漠の環境で生まれた宗教で、「大自然は人間の力で克服し、支配するものだ」という考え方があると言われています。
自然は神が生んだ創造物に過ぎないということから、アニミズムの原始宗教とされる信仰は排除されキリスト教は広域に広まりました。
中世ヨーロッパの特定の地域には、アニミズム的な概念が存在し、穀物の中に精霊が宿っているとされているほか、牛の中には精霊が宿っているといった考え方が存在していたと言われています。また、動物には悪霊が宿りやすいと考えられ、実際に弁護人がついた正式な動物裁判も行われました。
アフリカの民族「バカ族」はアニミズム的な信仰風習を持っています。祖霊にして守護神とされる「ジェンギ」という森の聖霊を信仰して森で狩りをします。狩りが成功した時は、ルマと呼ばれる太鼓と合唱を伴った感謝の踊りが行われます。
ネパールの少数民族の一つであるシェルパ族は、仏教とアニミズムの融合された信仰風習をもっています。現在は、ヒマラヤ登山のガイドとして活動していますが、外国人登山者がやってくる20世紀ころまではヒマラヤ登山に挑戦することはなかったそうです。
山への敬意を持ち続けるアニミズムの思想があり、山を汚すことは山の神の怒りを招くと考えるなど、神聖な存在として認識しているといわれています。また、登山の際、は悪魔に登山を邪魔されないよう、祭壇を築きてお経をあげ、「プジェ」と呼ばれる儀式を行い安全祈願します。
インドでは伝統的に、自然崇拝を基にした「ヴェーダ神話」が生活風習の根底にあるといわれています。木を伐採する際も、木には精霊が宿っていると考えられているため、伐採する前には木に情をかけてから伐るという風習があります。
ヨーロッパ近代の合理主義が世界中に広まって以来、アニミズムのような目に見えない霊的な存在を中心とした概念は、野蛮で低俗なものとして称されてきました。しかし、近年は環境破壊などをきっかけに自然との調和を主旨とする東洋思想、神道の考え方に注目が集まっていると言われています。
現代の宗教戦争は、一神教を信じる教徒同士の争いがほとんどのようです。しかし、アニミズムは全てのものに神や霊が宿るので、神が複数存在してもいいことになります。多神、多霊を認めつつ、全てのものが同一に尊いと捉えれることのできるアニミズムは対立のない考え方です。
こうした宗教間は汎神教徒(はんしんきょうと)と呼ばれています。汎神教徒は、汎神論という哲学に基づく教えで、神と万物は同一視する思想体系をいいます。
アニミズムは霊的存在を認めてしまう観念があるため、その思い込みにより過去には悲惨な出来事がありました。中世ヨーロッパで実際にあった「魔女狩り」です。15世紀ヨーロッパでは、悪魔と契約した魔女がいると噂されるようになり、魔女と疑われると裁判にかけられて罰せられるという事態が起こりました。
アニミズムは明確な教義や聖典は存在しないため、地域ごとの文化に根付きながら、それぞれ発展してきたものです。アニミズムを宗教ではなく、毎日の生活に自然と盛込み、無意識のうちにその考えを持っている民族や神話に基ずく儀式があると言われています。2例ご紹介します。
北アメリカの北極圏に近い寒冷地域に何千年にも渡って暮らし続ける民族が「イヌイット」です。過去には「エスキモー」と呼ばれていました。主にアラスカ、カナダ、グリーンランドに住んでいて厳しい寒さに適応できる生活を発展してきました。
そんなイヌイットはアニミズム的な自然崇拝の生活様式があり、古くからシャーマン(祈祷師)を信仰し、霊的存在を認めています。狩りの前には災いが起きないよう動物たちの魂を鎮めるため、特別な儀式を行います。
古代ヨーロッパでは豊穣神と言われる、ギリシャ神話に出てくる「デーメーテール」は穀物の栽培を教えた神として知られています。大地の女神、豊穣の女神として農耕民族に崇拝され、デーメーテールを信仰の対象にしたと言われています。
アニミズムは多神教的思想があると言われています。では、一神教と多神教はどんな違いや特徴があるのか調べてみました。
多神教はたくさんの神を崇拝し信仰する宗教で「神道」や「道教」、「ヒンドゥー教」などがあり、ほかの宗教を認めます。自然や動植物などあらゆるものに魂が宿っていると考えるアニミズム的な成り立ちと言われています。神々はそれぞれ得意分野があります。また、良い神だけでなく悪い神も存在します。
一神教は預言者、開祖によって成り立ち誕生します。一人の神を信じる唯一の神の教えを信仰する宗教です。「キリスト教」や「ユダヤ教」、「イスラム教」があります。一神教の中でも一部、他の宗教を認める宗教もありますが、信仰の対象となる神が絶対の神で他の神を認めないとされています。
私たち日本人は、アニミズムに溢れている日々を送っていることに気づかされたのではないでしょうか!普段の生活でも食事をする際に”いただきます”や”ごちそうさま”をしたり、学校や会社に行けば挨拶をしお辞儀をします。
食べ物への感謝や相手を敬う念があり、これもまたアニミズム的ですね。これから、漫画や映画などを見る時にはアニミズム的視点で見ると面白いかもしれませんね!
この記事に関する記事
Copyright© 運営事務局