記事ID143321のサムネイル画像

    パラフィリア(性的倒錯)とは?痴漢や露出の原因だった!

    パラフィリア(性的倒錯)とは、変態性欲や異常性欲のことで、特に日常に異常をきたすほどの精神疾患です。また、パラフィリアは意外と知られていませんが、多くの種類に分けることができます。世界保健機関(WHO)も定めるパラフィリアについて解説していきます。

    パラフィリア(性的倒錯)の意味とは?痴漢や露出の原因らしい?

    パラフィリアという言葉を聞いたことはありますか?パラフィリアは性的倒錯とも呼ばれており、社会問題や事件、犯罪にもなることが多い、痴漢や露出の原因だと考えられています。

    今回はそんなパラフィリアについて、具体的な特徴や心理について注目をしていきます。

    パラフィリア(性的倒錯)とは?

    パラフィリアとは、性的倒錯とも呼ばれる精神疾患の一つです。性的倒錯とは、人とは違った性癖、倫理観が欠けた性的嗜好などを持っていることを指す言葉であり、パラフィリアは日常に支障をきたすほどの異常性欲を持つ症状を指します。

    パラフィリアについてあまり聞いたことがないという人は多いでしょう。実は日本ではあまり認知されておらず、自分がパラフィリアであるという自覚がある人は少ないと考えられています。

    日常に支障をきたす異常性愛

    パラフィリアは日常に支障をきたす異常性愛のことを言います。一般的に、性欲や性的関心というものは、日常生活においてコントロール出来ることが大半です。公の場で性欲を感じさせることがあったとしても、ほとんどの人はそれを表に出しませんし、上手くコントロールして収めるものでしょう。

    しかし、パラフィリアの場合にはそういったことが出来ないのです。公の場で性欲をコントロール出来ずに性犯罪に手を染めてしまったり、異常性欲によって毎晩性的なコンテンツを見て睡眠不足になってしまったり…自分ではコントロール出来ないのがパラフィリアだと考えられています。

    パラフィリアの語源は?

    次にパラフィリアの語源について見ていきましょう。

    パラフィリアのパラとは【偏奇】という意味を持ちます。偏奇とは、人とは違うこと、変わっていることを指す言葉です。次にフィリアですが、こちらはギリシャ語で【愛】や【友情】を指します。具体的には、その人自身が夢中になっているもの、魅力的だと思えるもの、という意味を持つ言葉です。

    つまりパラフィリアというのは、【人とは違ったものに魅せられる・夢中になる】という意味になります。パラフィリアは性的倒錯とも言い換えられていますが、これも性的倒錯も人とは違った性癖・倫理に反した性関心を意味するため、同義だと考えていいでしょう。

    日本では『変態性欲』

    パラフィリアという言葉は耳馴染みがないという人も多いかもしれませんが、【変態性欲】という言葉に言い換えれば、耳にしたことがあるという人もいるでしょう。パラフィリアという言葉はあまり認知されていませんが、実は変態性欲という言葉で日本では認知されているのです。

    パラフィリア、性的倒錯、という言葉ではあまりピンと来ない人でも、変態性欲という言葉を聞けば、だいたいのイメージはつかめてくるでしょう。変態的な性的関心、変態的な性欲、変態的な性的嗜好、これらを持っている人はパラフィリアの可能性が高いと考えられているのです。

    大きく分けて2つの類型

    パラフィリアは大きく分けると二つのタイプに分類されます。

    まず一つ目が【性目標倒錯】と呼ばれるものです。一般的な性欲の解消、達成感、目的というのは性交だと言われていますが、正目標倒錯の場合だと性交は目的ではないのです。例えば露出をすることで性欲が満たされることや、性行為を第三者視点で見るのが性癖だという場合には、性目標倒錯に分類されます。

    二つ目は【性対象倒錯】と呼ばれるものであり、こちらは性交が目的ではあるものの、一般的な性交とは異なるのが特徴です。性交相手に対して強い拘りを持っていることが挙げられ、例えば極度な身長差での性交を好んでいたり、処女に強く拘っていたりするのが、性対象倒錯に分類されます。

    パラフィリアである2つの条件

    パラフィリアは精神疾患ですが、パラフィリアだと診断されるには2つの条件があります。

    まず一つ目が、自分の性欲や性癖をコントロール出来ず、日常生活に支障をきたしているというものです。性欲や性癖をコントロールすることが困難であり、ストレスになっていたり、何らかの大きな支障をきたしていたりする場合に当てはまります。

    もう一つの条件というのが、自分の性欲や性癖により、周囲の人間や特定の人物、または環境において問題を起こしてしまうというものです。公の場で露出をしたり、痴漢をしたり、恋人に対して異常な性癖を押し付けたり、そういったことをしてしまう場合に当てはまります。

    痴漢や露出の原因

    何度か触れていますが、痴漢や露出の問題はパラフィリアである可能性が高いと考えられています。

    痴漢や露出はパラフィリアの分類の一つである性目標倒錯に当てはまるとされています。性交を目的としてはおらず、痴漢や公の場での露出をしている自分、環境、相手に対して強い興奮を覚える性癖の持ち主です。

    パラフィリアに診断される二つの条件にも痴漢や露出が当てはまるのがわかります。自分の性欲や性癖をコントロール出来ず、それを第三者や環境に対して行ってしまうと言えるため、痴漢がやめられない人や露出癖がある人はパラフィリアの可能性が高いと考えられるのです。

    パラフィリアの分類①『フェティシズム』

    パラフィリアはさらに細かく分類出来る精神疾患であり、その一つなのが【フェティシズム】と呼ばれるものです。いわゆる【フェチ】と呼ばれるものであり、特に強い拘りを持つ場合はパラフィリアの可能性が考えられます。

    物や部位に性を感じる

    フェティシズムは物や部位に対して性を感じることを指します。例えば女性の脚が好き、男性の筋肉が好きであり、見ると性的興奮を覚えてしまうという特徴があります。

    パラフィリアと診断されてしまう人の場合、そういった性的興奮が高ぶってしまうと性欲のコントロールが効かない、時には犯罪に手を染めてしまうというケースが挙げられます。

    フェティシズム的服装倒錯症と区別

    フェティシズム的服装倒錯症と呼ばれる症状もあります。しかしこれはフェティシズムとは区別されるものになっています。

    フェティシズム的服装倒錯症というのは、異性の服を着ることによって性的興奮を感じてしまう性癖のことを指します。特徴としては【異性の服を快楽や興奮目的の為の着用】であるため、あくまで性欲や性癖があってこその衝動だと言えます。

    同義だと勘違いされやすいのが性転換願望症ですが、こちらの場合は性欲や性癖は関係ありません。

    パラフィリアの分類②『露出症』

    次に見ていくのが【露出症】です。おそらくパラフィリアの中でも特に認知度が高い症状の一つだと言えるでしょう。

    その名を見てわかるとおりに、露出をすることで性的興奮を感じる症状を指すものであり、露出狂として問題や犯罪を起こしてしまうことが多々あります。

    生殖器を露出する

    露出症の特徴として多いのが、生殖器を露出するというものです。公共の場、第三者がいる場所などで自身の生殖器、または性を感じさせる部分を露出し、快感を得るという異常性癖を指します。

    このパラフィリアは性交を目的とはしていないため、ただ自分の性欲を高まらせたい、興奮したいという自身の欲求が原因となって露出をしてしまうのです。

    また、露出をして第三者に目撃されることで性的興奮は増していき、特に目撃者が大きな反応をすればするほどに興奮度が増していくと言われています。

    男性に多い

    実はパラフィリアの露出症は男性に多いと言われています。

    実際、露出狂の事件などを見てみても男性が容疑者であることが多く、自分よりも力の弱い女性に対して露出をすることで、目撃によるショックや衝撃をしている様子を見て、さらに性的興奮を感じて快感を得たいと考えている人が多いと考えられています。

    パラフィリアの分類③『窃視症』

    次に注目をしていくのが【窃視症】と呼ばれるパラフィリアです。

    窃視症というのは性交を目的としていない性目的倒錯の一つであり、性的な行動や表情、または性価値観をくすぐるような光景を見ることで興奮を得るという特徴を持っています。

    性的に人を熟視する

    窃視症は性的に人を見ることで、性的興奮を促す症状のことを指します。

    窃視症の症状を持つパラフィリアの人が犯しやすい犯罪というのが、盗撮だと言われています。公衆トイレにカメラを設置し、第三者に気づかれないように排泄や衣服の着脱を監視することで性的興奮を覚えるというものです。

    このパラフィリアは盗み見ることが大きな特徴になっており、相手に気づかれないように見るという状態に興奮を覚えると言われています。

    窃視症に含まれる概念

    窃視症には5つの概念が存在しています。

    【他者の性行動を盗み見ることで興奮を得るScoptlagnia】【他者の衣服の着脱風景を盗み見ることで興奮を得るScopophilia】【同意のある他者の裸体、性行動を見て行動を得るScoptophilia】【自分以外と性交をしているパートナーに興奮をするTroilism】【性的なコンテンツを見ることで興奮をするPictophilia】

    これらの5つの概念は、窃視症の特徴になっています。先程例で挙げた盗撮に当てはまる概念ならばScoptlagniaやScopophiliaに当てはまると言えます。

    パラフィリアの分類④『小児性愛』

    日本でも有名な症状と言えば【小児性愛】でしょう。日本ではロリコンと似た言葉である【ペド】と呼ばれることも多い症状であるため、なんとなくイメージが出来るという人は多いはずです。

    小児に性的魅力を感じる

    小児性愛は、幼児や児童とされる年齢が11歳以下の子どもに対して性的欲求、性愛を感じてしまうという特徴を持っています。

    児童に対しての性犯罪の場合は、パラフィリアの小児性愛が原因だと考えられます。

    小児性愛になる原因

    小児性愛になる原因は、主に自身の子供時代の虐待だと考えられています。小児性愛の症状を持つパラフィリアは、自身も幼い頃に性虐待、性被害を受けた被害者であることが多いと言われているのです。

    また、遺伝により能の機能障害や能の一部欠損により、小児性愛になる場合もあると考えられています。

    パラフィリアの分類⑤『サドマゾヒズム』

    日本でもよく知られている症状なのが【サドマゾヒズム】です。【サディスティック】【マゾヒスティック】などの言葉を聞けば、ピンと来る人も多いのではないでしょうか。

    苦痛を与える性行為を好む

    サドマゾヒズムの最大の特徴というのが、性交時に苦痛を伴うことに興奮を覚えるというものです。

    一般的な性交と言えば相手をいたぶること、またはいたぶられることはしませんが、サドマゾヒズムの場合は相手に苦痛を与える、または与えられることで性的興奮が促されていくのです。

    虐待して喜ぶ「サディズム」

    サディズム、サディスティックと呼ばれる症状の場合、性交時に相手を虐待することで性的興奮を得ます。例えば相手を痛めつける行動などが主な例としてよく挙げられます。

    サディズムの場合、勘違いされやすいのが【相手を嫌いというわけではない】というものです。あくまで性交の楽しみとしての性癖であるため、相手が嫌い、相手を痛めつけたいという理由で虐待をすることはありません。

    苦痛を喜ぶ「マゾヒズム」

    サディズムの対となるのがマゾヒズムです。マゾヒズムは性交時に虐待を受けることで性的興奮を得るため、サディズムとの相性はかなり良いとされています。

    虐待を受ける、または羞恥心を強く煽られることで性的興奮を得るため、一般的な性交では満足できないという傾向にあるのも特徴だと言われています。

    パラフィリアの分類⑥『その他』

    パラフィリアの分類には他にもいくつかあります。

    他にはどんなパラフィリアの症状があるのか、いくつか名前と特徴について注目をしていきましょう。

    多重障害の性的嗜好

    多重障害の性的嗜好を持つ人もいます。これは、先程紹介してきたパラフィリアに分類される症状を、一つではなくいくつも持ち合わせている症状のことを指します。

    例えば多いとされているのが、フェティシズム、服装倒錯症、サドマゾヒズムです。性交時に変わった服装をすることでフェティシズムを感じ、さらにサドマゾヒズムで性的興奮を得るなど、意外にも多いとされている症状だと考えられています。

    様々な性的倒錯が存在

    パラフィリアの症状は他にもたくさんのものがあります。例えば遺体に対して性的興奮を覚える【屍体性愛】や、動物に対して性的興奮を覚える【動物性愛】など、一般的な性的嗜好、また倫理から大きく外れたような症状がいくつもあります。

    また、性被害の一つでもある卑猥な電話をかけて興奮をするというものも【卑猥電話】という分類に分けられます。

    パラフィリアに関する作品は?

    パラフィリアをより理解していくためには、パラフィリアを題材にした作品に注目をしてみることをおすすめします。

    今回はパラフィリアを題材にした漫画と映画を紹介していくので、パラフィリアとはどんなものなのか、より詳しく知りたいという人は是非ご覧になってください。

    漫画『パラフィリア~人間椅子奇譚〜』

    佐藤まさき作の【パラフィリア~人間椅子奇譚~】は、パラフィリアである少女の瞳が、学園の裏側を知るという物語になっています。

    人付き合いが苦手な瞳は、憧れの生徒会長マリの椅子として生きていきたいと日々妄想し、やがてそれを実行に移します。ソファをくり抜き自分が中にいることで欲望を叶えた瞳ですが、椅子になったからこそ知る学園の裏側を目撃することになるのです。

    パラフィリアを題材としているのでマニアックな内容ですが、絵の可愛らしさと読みやすさ、話のテンポの良さなど好評で、パラフィリアに興味がないという人でも楽しめる作品になっています。

    映画『パラフィリア/異形の叫び声』

    3作品のオムニバス映画である【パラフィリア/異形の叫び声】は、ややショッキングな内容となっているため注意が必要ですが、耐性がある人はストーリーも楽しめるのでおすすめです。

    あらすじは薬物依存に陥った女性が、とある医師を訪ね、極秘に製造された薬に夢中になっていきます。薬を飲むと性欲が増し、思考回路もふわふわとする極上の薬ですが、実はその製造方法には大きな謎が隠されていたのでした。

    薬の正体を知ると薄気味悪さを感じてしまいますが、特にホラー映画好きの間ではかなり人気の作品のようです。また、他の作品もおすすめなので、気になる人は是非ご覧になってください。

    パラフィリアである人の心理は?

    パラフィリアではない人にとって、パラフィリアの心理というものは容易には想像出来ないものでもあります。

    特にパラフィリアに多い痴漢や露出などは、被害者や周囲の人からしてみれば「何故そんなことをするのか」と疑問に思うものでしょう。

    そんなパラフィリアの中に潜む心理について、いくつか注目をしていきましょう。

    愛情が満たされていない

    パラフィリアの心理には愛情が満たされていないというものがあります。愛情が満たされない不安や不満を紛らわすために、性的興奮をより強く得ることによって満たされようとしているのです。

    特に幼い頃に愛情を十分に注がれずに育った子供や、恋愛において大きなトラウマがある場合には、パラフィリアになる可能性が高いと考えられています。

    より強い性的興奮が欲しい

    例えば何らかのきっかけで性的倒錯にも当てはまるような大きな性的興奮を得てしまった場合、その感覚をもう一度得たい、もっと大きな興奮を感じたいという理由が心理となり、パラフィリアになることもあると考えられています。

    露出狂がどんどん行動をエスカレートしてしまうというのも、より強い性的興奮が欲しいという心理がさせている衝動だと言えるでしょう。

    背徳感を感じたい

    背徳感を得ることで性的興奮を増すという性癖の持ち主もいます。

    パラフィリアの多くは倫理や常識から外れたものになっているため、そういったものをすることによって背徳感を得て、それがさらなる性的興奮を掻き立てているということもあるのです。

    パラフィリアは治療も出来る

    パラフィリアについて注目をしていくと、日常生活に支障をきたし、最悪犯罪に手を染めてしまうものまであるのがわかります。精神疾患とも定められていることから、パラフィリアは治療が出来るものであり、実際に性犯罪者に対しての更生プログラムとしても組み込まれていると言われています。

    ただし、全てのパラフィリアに治療が必要というわけではないと考えられています。犯罪行為や精神の不安定さなどを感じずに、人とは違う性嗜好を楽しんでいる場合には治療は必要ないと言われているようです。

    中には自分の性嗜好を治療したいという希望者には、治療を施す場合もあるようです。もし自分がパラフィリアかもしれないと悩みを抱えている人は、一度医療機関で相談をしてみると良いでしょう。

    性犯罪に関する記事をチェック

    TOPへ