2015/10/08
陸奥雅人
【東京グール】
石田スイのデビュー作。現代の東京を舞台に、人の姿をしながら人肉を喰らうことで生きる怪人達「喰種」(グール)をテーマにした作品。コンセプトはダーク・ファンタジーとなっているが、サイエンス・ファンタジーの要素もある。
人間世界に紛れ込み、人を喰らう正体不明の怪人「喰種」が蔓延る東京。上井大学に通う青年カネキは喰種・リゼに襲われ瀕死となるが、鉄骨の落下により捕食は免れる。しかしその後、喰種の臓器を移植されたことで、半喰種となってしまう。それ以来、カネキは苦悩と恐怖に満ちた日々を送ることになる。
集英社の『週刊ヤングジャンプ』にて2011年41号より連載開始。2014年42号まで連載された後、新編となる『東京喰種トーキョーグール:re』(トーキョーグール アールイー)が、同誌2014年46号より連載開始された。
2013年7月と2014年6・12月には十和田シンによる小説版が発売された。また、2013年8月から同年9月までデジタル漫画雑誌『ジャンプLIVE』にて番外編(スピンオフ)コミック『東京喰種トーキョーグールJACK』が連載された。
2014年からはアニメ化が行われ、テレビアニメ2作とOVA2作が制作されている。同年7月には舞台が上演された。また、コンピュータゲーム化も行われた。
東京グールという物語の中で、初めは特等捜査官を殺害した危険な喰種としてCCGから目をつけられた梟は、その後もCCGに敵対し、大きな襲撃を繰り返した結果、危険レートがSSS級に繰り上げられました。
『梟』による徒党での二度目の2区襲撃。CCG本局対策Ⅰ課、特別編成チーム構成員である黒磐巌上等捜査官(当時29歳)のクインケによる一撃で『梟』の『赫包』に致命的なダメージを与えることに成功する。
三度『梟』が2区を襲撃。単体で出現。黒磐上等が与えた致命傷は完治。全力を以て駆逐にあたるが編成チームの特等全員が戦闘不能。しかし、当時19歳の有馬貴将二等捜査官から致命傷を受ける。そして『梟』はその場から姿を消し、以降なりを潜める……
こうして長い間、梟は人前に姿を現すことがなかったそうな…。
しかしながら、本編東京グールのアオギリ編にて、再び梟はCCGの前に姿を現すことになるのです。そして梟は、そこで遭遇したかつての敵に、とある一つの疑惑を抱かれるのでした。
篠原と黒磐のビデオ検証により10年前とアオギリ戦とではマスクの形が微妙に異なることから隻眼の梟とは別個体であることを看破される(最も顕著な違いは口の形)。アキラをはじめ、この事情を知る一部の捜査官からは「(不殺の)梟」と区別されて呼称されている。
かつて致命傷を与えられた黒磐が、自分が戦った梟と東京グール本編・アオギリ編で戦った梟とのわずかな違いに気が付きます。また、現在の特等捜査官・有馬が戦った梟戦の時もアオギリ戦の時も死者が出なかったことから、梟二体説が浮上したのでした。
それでは、東京グールの中で二体いるとされる梟の正体は、それぞれ誰なのでしょうか??
あんていくの店長である初老の男性。温厚で物腰の柔らかな人物だが、感情に流されずに判断を下せる大局観を兼ね備えている。半喰種化して思い悩むカネキを人間と喰種の「二つの世界に居場所を持てる唯一人の存在」と励まし、自分たちをもっと知ってもらうためにあんていくの仲間として迎え入れる。
なんと、東京グールの初盤で半喰種となり困惑していた主人公金木を仲間に引き入れた芳村店長こそ、CCGが恐れる梟の内の一体でした。
かつては「功善(くぜん)」という名で、孤独感に苛まれながらもある組織の掃除屋として人間や同族すらも屠ってきた極めて強大な喰種であった。しかし正体を知りながらも自らと愛を育んだ人間の女性・憂那との出会いと死別を経て、人間と喰種の共存について考え始めている。
東京グールの中で語られる過去では、芳村はかつて自分の衣食住を満たすためにとある組織と手を組んで掃除屋として活動していました。そして、そのさもしい生活の中で、愛する人である妻に出会ったのです。
この過去から隻眼の梟の正体が我が子であることを確信しており、11区アオギリ戦ではCCGから庇うために自らその姿を模し、隻眼の梟に成り代わっていた。
東京グールの終盤で、主人公金木に自分の過去を語った芳村。自分の子供が金木と同じ半喰種としてこの世を憎み、人間を攻撃している事を知った芳村は、その子の身代わりとなる道を選んだのです。
全身に包帯を巻いた外見の小柄な女性。羽赫の赫者。その正体はCCGから最高レートであるSSS級駆逐対象に位置づけられ最も恐れられている喰種「隻眼の梟」。
功善(芳村)と憂那の間に生まれた半喰種で、右目にのみ赫眼が発現する。赫者としての姿は十年前当時は梟として偽装していた芳村の姿のオリジナルであったが、現在は元が人間の形をしていた喰種であるということが疑わしいほどに巨大化した赫子で覆われ、怪獣と形容してもいい単眼異形の姿を持つ。
もう一体の梟の正体は、東京グールの中でも最大規模の喰種組織である「アオギリの樹」幹部のエト。彼女の普段の姿かたちから見るに、とても強大な梟と結びつくことはなかったのですが、梟化した姿は肥大した赫子を大きく身にまとったようなかたちで本来の姿とは遠く離れたものとなっています。
また、東京グールの中における過去二回目までのCCG襲撃はこの隻眼の梟によるものだったと思われます。
エトのミステリー小説家としての姿であり、小柄な体型ではねた長髪が特徴的な女性。気さくな性格でサービス精神旺盛。10代でデビューし、処女作「拝啓カフカ」は50万部のベストセラーとなった。
そして、エトの普段の姿は小説家・高槻泉でもあります。
東京グールの中で大人気作家として活躍している彼女は、一体どのような目的で人間の殺戮を繰り返すのでしょう?彼女が書く作品の内容は暗く、残酷描写も多いとか。もしかすると高槻泉が描く作品に、その深層心理が表れているのかもしれませんね。
喰種捜査局が「梟討伐作戦」を開始。 カネキに内密に報告を受けるも、逃げもせず周りの喰種達を守るべく古株の入見と古間と共に大量の捜査官達の前に立ちはだかる。 激しい戦いの中でジューゾーの左足、黒磐の左手を奪うなどその強大な力を見せつけるも、法寺の「赤舌(チーシャ)」による一撃を食らい、戦闘不能に。
東京グール無印の最終戦でCCGによって打ち取られた梟・芳村。
このままCCGに確保されるのかと思いきや…?
突然乱入してきた隻眼の喰種=彼の子供である「隻眼の梟」=「アオギリの樹」を統括する『隻眼の王』=エト=高槻泉によりその身柄を回収された。 最終回の描写からするに、かつてのリゼのように「赫包のドナー」として嘉納の研究施設に囚われている模様。
東京グール最終巻で、保存液に浸された芳村の姿が描かれています。これを見て連想するのは、やはり芳村が人間を半喰種にするための赫包ドナーとして扱われているということでしょう。おそらく生存しているとは思われますが、続編である東京グール:reで芳村が助け出される日はやってくるのでしょうか??
いかがでしたでしょうか?
東京グールという作品を、その登場人物の一人である「梟」の存在に触れながらここまで解説してきました。東京グールは現在、週刊ヤングジャンプにて東京グール:reとして続編が連載されています。芳村のその後はまだ描かれていませんが、彼が今後どのようなかたちで救出され、またエトとどのように関わっていくのか、とても気になりますよね!
これを機会に、まだ東京グールを読んだことがない人にもぜひ手にとっていただきたいと思います!
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