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2023/12/28
大今里
ナーシャ・ジベリはイランの王族に生まれますが、1979年に起きたイラン革命の後はアメリカに移住します。その後、アメリカでコンピューター科学を学んだといわれています。
ナーシャ・ジベリは、1980年に友人と共同でApple II 用のゲームを製作するシリウス・ソフトウェアという会社を立ち上げます。Apple II は、Appleが1977年に発表したパソコンです。しかし、1年後の1981年には退社してしまいます。
シリウス・ソフトウェアを退社したナーシャ・ジベリは、新しい会社のジベリ・ソフトウェアを立ち上げます。しかし、まもなく通称アタリショックと呼ばれた北米のゲーム市場が崩壊が起こります。アタリショックの影響でシリウス・ソフトウェアも倒産してしまいます。
立ち上げた会社が二度も倒産しているナーシャ・ジベリですが、時代に先駆けて3Dスクロールを実現したゲームを開発しています。ヒットはしませんでしたがApple II 用ゲームを開発していたころから、天才プログラマーとして話題になっていました。
天才プログラマーとして伝説的存在になったナーシャ・ジベリですが、現在はどうしているのでしょうか?ナーシャ・ジベリの現在の情報などをまとめました。
ナーシャ・ジベリは、スクウェアを退社後に世界を放浪する旅に出たと言われています。その後はゲームの開発にかかわった情報はなく、現在何をしているのかは不明です。
カリフォルニアにいるという噂やイランにいる噂があり、ファイナルファンタジーの生みの親坂口博信とは親交があるとされています。
ナーシャ・ジベリは、2012年に開催されたファイナルファンタジーの25周年式典に招待されたと噂されています。この時が公の場所に姿を現した最後といわれる場合があります。しかし、FFの25周年式典は開催されていないので、この情報はガセネタです。
ナーシャ・ジベリは1998年に開催されたApple II の20周年式典に姿を見せており、これが公の場に姿を見せた最後になっています。ナーシャ・ジベリは、海外で有名なプログラマージョン・ロメロの呼びかけで式典に来たと言われています。
ナーシャ・ジベリはプログラマーとして高い評価を受けながら、ヒット作を作ることができませんでした。しかし、スクウェアにスカウトされたことで、ヒット作の制作に関わることになります。ナーシャ・ジベリがスカウトされた経緯などをまとめました。
ジベリ・ソフトウェアが倒産後、ナーシャ・ジベリは世界を放浪していましたが、スクウェアの坂口博信と知り合います。この時、坂口博信にスカウトされてスクウェアに入社し、ファミコンソフトの制作をすることになりました。
ファイナルファンタジー以前のソフトをヒットしませんでしたが、名作と呼ばれる作品を生み出しています。
坂口博信は、Apple II時代のころから、ナーシャ・ジベリのゲームのファンだったそうです。この頃のナーシャ・ジベリが開発したゲームは「ホライゾンV」や「ジーニス」などがあり、現在のFPSの元祖とも言われています。
坂口博信は、ナーシャ・ジベリは毎日ステーキを食べていたと当時の様子を語っています。
坂口博信は、ファイナルファンタジーの生みの親として有名な人物です。1980年代当時、電気工事会社のソフト部門だった「スクウェア」のスタッフとしてPCゲームを作っていました。しかし売り上げは伸びず、最後の作品として作られたのファイナルファンタジーでした。
ナーシャ・ジベリはファイナルファンタジーシリーズの開発に参加し、数々の逸話を残していることでも有名です。ナーシャ・ジベリが関わったファイナルファンタジーに関するエピソードをまとめました。
ナーシャ・ジベリは、スクウェアで「ハイウェイスター」、「とびだせ大作戦」を制作した後にファイナルファンタジーの開発に参加します。FF1~FF3まで開発に参加し、ファミコン版のFF4も担当する予定でしたが企画は中止になりました。
結局、スーパーファミコンのFF4の開発には参加しておらず、以降の作品の開発には関わっていません。
ナーシャ・ジベリは飛空艇の移動速度を最大8倍までしたことでも有名です。FF1で「飛空艇に影をつけて浮いているように見せたい」という提案がありましたが、坂口博信は無理だと断ります。
しかし、ナーシャ・ジベリは一晩で影をつけて、飛空艇の移動速度を徒歩の4倍にしてしまいます。これは、CPUのバグを利用して移動速度を上げたもので、他のプログラマーにはどうやって速くしたのか理解できなかったそうです。
FF3の飛空艇ノーチラス号では8倍の移動速度になっていますが、FF2の時点で飛空艇の速度が8倍になる裏ワザが存在します。
ナーシャ・ジベリはファイナルファンタジー3のデータ構造を工夫し、より豪華な演出を実現したことで知られています。しかし、ファミコンのハードに極端に依存した処理で、コードを書き込んでいました。
FF3は2000年にリメイク版の制作が発表されています。しかし、特殊な処理がされたFF3をリメイクするには当時のスペックでは難しく、リメイク版が発売されるのは2006年になってしまいました。
隠しゲームを勝手に入れるなど、ナシャ・ジベリは自己主張の強いプログラマーだったと言われています。ファイナルファンタジー3には、起動時に特定のコマンドを入れると「BY NASIR」というメッセージが表示されます。
ファイナルファンタジー2は、伝説の魔法アルテマが非常に弱いことで有名です。アルテマを手に入れるのはかなり大変ですが、せっかく手に入れても使い物になりません。バグではないかと言われましたが、大昔の魔法なのでわざと弱くしてあるということです。
アルテマを作ったプログラマーが勝手に弱くしていたため、問題になります。しかし、プログラマーはソースを暗号化して本人しか直せないようにしてしまいます。名前は明かされていませんが、アルテマを弱くしたプログラマーはナーシャ・ジベリではないかと言われています。
ナーシャ・ジベリが関わった作品として、ファイナルファンタジー以外で有名なのが聖剣伝説です。聖剣伝説に関するナーシャ・ジベリのエピソードをまとめました。
ファミコン版のFF4の企画が中止になった後、ナーシャ・ジベリは1993年8月6日発売の聖剣伝説2の開発に参加します。このゲームがナーシャ・ジベリが開発に参加した最後のゲームになっています。
聖剣伝説は、一般的なRPGとは違うアクションRPGと呼ばれるジャンルです。敵と遭遇すると画面が切り替わって戦闘画面になるのが一般的ですが、マップ画面のまま敵と戦闘するのが聖剣伝説2でした。
当時のゲームとしてはかなり斬新な仕様のゲームとなっていました。
ゲーム開発でさまざまな逸話を持つ、ナーシャ・ジベリですがアクションRPGの開発には苦労したというエピソードが残っています。「LIVE A LIVE」を担当していた時田貴司によると、高難度のデバック作業にナーシャ・ジベリも悪戦苦闘していたそうです。
聖剣伝説2の開発の大変さを語るエピソードは他にもあります。聖剣伝説2の開発が終了しスタッフが休憩室で食事を取ろうとした途端にバグが見つかり、開発室に戻されたこともあったようです。
不可能と言われたプログラムを行った逸話の多いナーシャ・ジベリは聖剣伝説2でも神獣フラミーがウネウネ動いて空を飛ぶ動きを実現しました。しかし、聖剣伝説2は発売後もバグが多く残り、リセットが必要な破壊的なバグも発見されています。
ナーシャ・ジベリは、他にもプログラミングにまつわるさまざまな逸話があります。ナーシャ・ジベリのプログラミングに関するエピソードをまとめました。
ファイナルファンタジー1には、ミニゲームの15パズルが隠し要素として仕込まれています。実はこの15パズルは、ナーシャ・ジベリが勝手に作ったものでした。当時のファミコンソフトの容量は非常に少なかっため、空き容量に15パズルを入れられたのかは謎とされています。
ナーシャ・ジベリのプログラミングは他のプログラマーには理解不能のもので、現在でも解読できていないと言われています。
ナーシャ・ジベリは自分が書いたコードをすべて覚えていたと言われています。FF3の開発時にナーシャ・ジベリの書いたプログラムからバグが見つかったことがありました。本人がいなかったので、スタッフは電話で相談したそうです。
ナーシャ・ジベリは電話越しに具体的な指示を出し、その通りに、書き換えるとバグが解消されました。そんなことが何度もあったと言われています。
実はナーシャ・ジベリの開発したゲームは、バグが多いことでも知られています。 不要なデータや削除すべきデータを放置することが多く、これがバグの原因になったといいます。FF1の頃はRPGの事をよく理解しておらず、効果のない魔法や意味の分からない計算式も多かったそうです。
聖剣伝説2の破壊的なバグが起きたのもこの事が原因で、FF3でもリセットが必要なバグが発見されています。
ナーシャ・ジベリは、当時としては非常に珍しいコピープロテクトを搭載したゲームソフトを開発しています。「飛び出せ大作戦」はコピー版や海賊版を起動させると「NASIR」の名前とメッセージが表示され、ソフトが起動不能になります。
コピープロテクトの技術が一般的になったのは21世紀に入ってからで、十数年先の技術を先取りしていました。
ファイナルファンタジーの開発で活躍した伝説のプログラマーナーシャ・ジベリについてご紹介しました。現在の活動は不明ですが、ゲーム開発には関わっていないようです。何をしているかわからないミステリアスさも相まって、その伝説は今後も語り継がれていくでしょう。
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