無脳症児(アネンスファリ)の原因や予防法は?ジャクソンくんの現在は?

    無脳症(Anencephaly)は文字通り、大脳がほぼ無い症状を引き起こします。実際には生まれてくる前の赤ちゃんが無脳症児として母のお腹の中で成長します。そんな無脳症に対しての原因や予防方法はあるのでしょうか。無脳症のジャクソンくんは現在も元気なのでしょうか。

    無脳症の原因や予防法は?

    皆さん無脳症という疾患をご存知でしょうか?無脳症とは文字通り、大脳がほぼ無いことにより様々な症状が引き起こされる疾患のことです。無脳症の子どもジャクソンくんが一時期メディアで取り上げられ話題となりました。

    無脳症児は母親のお腹の中にいる時から大脳が無い状態で成長するらしいのですが、そんな無脳症には原因や予防方法が存在するのでしょうか。まずは無脳症とはどんな病気か、無脳症の概要について説明していきます。

    無脳症とはどんな病気なの?

    無脳症とは生まれつき大脳が大きく欠損している病気です。無脳症になる原因は色々あるとされており、遺伝的要因が大きいとされています。治療法は発見されていません。無脳症が発見された場合、その子どもは1週間以上生きるのが難しいと言われています。

    大脳が大きく欠損している奇形症

    無脳症とは神経学的奇形症(主に生物が肉眼形態上の異常を持っていることを指し、それにより機能障害が起こることもある)のひとつで、英語では「Anencephaly(アネンスファリ)」と呼びます。

    無脳症では大脳半球は通常欠損していて全くない状態であるか、または小さな塊に縮小しています。ですので、無脳症児の外見は大きく頭がへこんだように見えます。一見しただけですぐ分かる疾患といえます。

    胎児や乳児などにこの症状が現れた場合、無脳児という言い方をします。他にも神経管欠損症(しんけいかんけっそんしょう)、頭蓋骨の欠損も見られた場合「無頭がい症」とも呼ばれます。

    遺伝的要因が関係する

    前提として無脳症の原因はいまだに詳しく解明されていません。しかし研究の結果、遺伝的要因が大きく関係しているのではと言われています。また人種によって発言の頻度に差があることや、母親の栄養状態が関係しているなど原因は多因的であることが推察されています。

    具体的な発現経路としては、妊娠の26日以前に神経管前部の閉塞が起こり、胎児の神経管の発達が阻害されてしまうようです。こうして脳の一部、または大部分が欠損した状態で産まれてくるのです。

    一週間以上生存することは難しい

    無脳症児が生まれてきた場合、一週間以上生存することは難しいと言われています。これは大脳以外にも生命の維持に重要な役割を果たす脳幹の発達も阻害され欠如することが多いためだと言われています。

    発症した胎児の75%以上はそのまましざんとなり、運よく生存できたとしても一週間以上生存することは難しいのが現状です。しかし、まれに一年以上生存しているケースも存在するので延命措置を施すことは可能だと言えます。

    具体的な症状では、延髄の下半分があれば嚥下や啼泣がみられます。つまり、音の刺激や痛覚が反応を示します。一般的に幼児が特定の刺激に対して示す原始反射は存在していて、腱反射(腱をハンマーなどで叩くと一瞬遅れて筋が不随意に収縮する現象)も見られます

    また無脳児でも胎齢4カ月まではある程度の大脳の発育が見られることが研究によって発覚しています。5か月目から大脳や小脳部分が退化していくことが報告されています。頭頂部の頭蓋骨やこれを覆う皮膚が欠損し脳が露出する場合もあり、それ以外にも眼球の突出や欠落、唇が裂けてしまう口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)などの症状が合わせて怒る場合もあります。

    露出した神経は薄い膜で覆われており、頭髪の皮膚へとつながっています。出現頻度は国によっても異なりますが、日本では10000人に10人程度という結果です。

    無脳症児を中絶しない選択肢もある!

    無脳症児が生まれてきたら皆さんどうするだろうか?まず妊娠中に無脳症児だと分かった時点で中絶の選択を考えてしまうと思うが、実は中絶しない選択肢もあります。無脳症児でも数年生き続けた例があります。ここでは考えられる中絶以外の方法について説明していきます。

    無脳症でも数年生き続けた例がある

    先に述べたとおり無脳症は致死性が高い疾患です。しかし、致死性が高いといっても出世以後に何年も生き延びた事例もいくつか確認されています。このため中絶による人工死産が正しいのかという問題があります。

    しかし、生き延びたところで無脳症児は思考不可能であり、その状態では未来は決して明るくないという考え方もあります。人工中絶に関しては、倫理的な問題などから社会的議論が巻き起こっていますが、このように延命したとしても問題はありますので、倫理的な課題に答えが出ていないのが現状です。

    エコー写真を見るとわかる

    無脳症の診断は妊娠4カ月以降の超音波診断(エコー検査)で可能です。羊水か母体の血清から、「血清蛋白A-フェトプロテイン」が確認されることで診断は確実なものとなります。

    無脳症児を臓器移植のドナーにする

    無脳症児は臓器移植のドナーとなることがあります。そのような無脳症児は臓器の発達が良好である必要があります。そのため、無脳症児の中でも軽度なものや高度な脳機能がを持っている無脳症児が選ばれます。そのような高機能の子どもまでも臓器移植のドナーとしていいのか、倫理的に大きな問題を抱えています。

    そもそも無脳症児は大脳がありませんから脳死と判別していいのかという問題もあり、臓器移植のドナーへ無脳症児を利用することがいいのか現状明確な回答は出ていません。

    無脳症児が起こした奇跡とは?

    無脳症はその致死性の高さから他の病気と比べて恐ろしさが際立ちますが、無脳症児でも生存を続けた事例がいくつか確認されています。ここででそのような奇跡の事例をいくつか紹介します。特に有名なジャクソン君の事例を中心に紹介します。

    無脳症児の奇跡① ジャクソンくん

    アメリカのフロリダ州に住むブリタニーさんとブランドンさんとの間に生まれたジャクソン・ブエルくんは2014年8月、無脳症児で産まれました。降雨頭部が全くなく、普通の人の2割程度の頭の大きさしかありません。

    へその緒が首にまきついて生まれてきたジャクソン君は酸素が全身に回らないチアノーゼの状態で産まれてきました。医者はブエル夫妻に、生き延びたとしても2~3日の命だろうと宣告しました。

    しかし、その予想に反して3年以上経過した今でも生き延び続けています。医師はジャクソン君が奇跡的に育つことができたとしても、周りの言葉を理解できず、耳も聞こえず、食事も自力で摂取できない、植物人間の状態で生き長らえることになるとブエル夫妻に告げていました。

    医師は妊娠4か月目のエコー検査の時点で異変に気づき、ブエル夫妻に中絶を進めました。しかしブエル夫妻にはそのあとお腹のなかにいるジャクソン君から声が聞えたそうです。「ぼくのこと、あきらめないで」と。その言葉を信じ、ブリタニーさんはジャクソン君を産むことを決意しました。

    しかし産まれてからの日々は、毎日が困難の連続でした。産まれて一歳を過ぎた頃、ジャクソン君は丸一日眠れなくなり、病態が急変しました。専門医に診てもらったところ、ジャクソン君の無脳症は小頭症と合併した「小水無脳症」と判明します。

    小水機能症では脳の生命維持に関する部分が欠落しているだけでなく、脳が小さく頭蓋骨がありません。脳の上を筋肉と薄い皮膚が覆っているだけです。無脳症の子供が死産となってしまう理由は、顔が半分しかない状態で生まれてきたり頭の皮膚すら形成されないまま産まれてくる状態が多々あるためですが、ジャクソン君はそういった事例と比べれば軽傷だったのです。

    小水無脳症と診断されてからは24時間つきっきりで誰かが世話をしなくてはならなくなりました。点滴や薬は欠かせないし、頭をぶつけてはいけないので、常にクッションが必要です。ジャクソン君は専門医やカウンセラーを含めると8つもの医療機関にかかっており、アメリカは日本のように保険医療ではないため、莫大な医療費がかかってしまいます。

    ジャクソン君は両親の涙ぐましい努力のかいがあって、無脳症の子供の例外ともいうべき目覚ましい成長を遂げています。2歳になった時点で、わずかながら歩けるようになり、文字を目て追うようになりました。今では「パパ・ママ」と言葉に出して首を向けて挨拶できるようにまで成長しました。

    感情表現ができないといっていた医師の宣告はうそのように、楽しいことやうれしいことがあったら笑うようになりました。周りに起こっていることをしっかりと把握しているのです。

    ブエル夫妻は一歩一歩日々成長していくジャクソン君の記録を残すために『Don’t Blink』という本を執筆しました。また先天性の障害を持ちながら医療費がかかり治療できない子供達のために、「Jackson Strong Foundation」を立ち上げます。メディアに出演するようになると見ず知らずの人から嫌がらせを受けるようになり、身の危険を感じた夫妻はジャクソン君の治療と身の安全を確保するため、フロリダに移住し、今もなおジャクソン君の戦いは続いています。

    無脳症児の奇跡② ニコラス・コークス君

    プエブロに住むニコラス・コークス君は無脳症で産まれますが、3年間生き延びました。ニコラス君は大脳が無く思考することができません。目が見えず耳も聞こえず、おっぱい
    を吸うこともできませんし、這うことも起き上がることもできないと、母親のシーナさんはコメントしています。

    ニコラス君は特殊医療機器を使うことなく、いくつかの薬を使って生存していました。ニコラス君が一歳になった頃シーナさんは「彼は人々の人生を変えることができる奇跡の子。ニコラスには感情の兆しが見え始めている。彼がほほ笑む、彼が笑う、そんな彼の笑い声を聞けるなら素晴らしいこと」とコメントを残しました。

    両親はニコラス君のことをとても可愛がり、少しでもニコラス君に思い出を作ろうと一緒に色んなところに連れていきました。ニコラス君は3歳で息を引き取りますが、その最後の写真は家族と過ごしたハロウィンの写真です。大きなカボチャの上に乗って満足そうな写真でした。

    無脳症児の奇跡③ ビトリア・デ・クリストちゃん

    女の子で無脳症で長く生き長らえた事例も存在しています。ビトリアちゃんは無脳症、無頭蓋でありながら出生後2年半もの間楽しくすばらしい日々を過ごしました。ビトリアちゃんが父親と歌遊びをしている様子や体を持ち上げてまるでハイハイしようとする様子が動画に収められています。

    無脳症児を生まないためには?

    無脳症児となると生き長らえたとしても、幸せな人生を送ることは難しいようです。出来ることなら自分の子供は無脳症児にならないほしいものです。では無脳症児を生まないためには一体どうしたらいいのでしょうか。

    現時点では明確な原因や予防法は分かっていませんが、喫煙をしないことや養蚕を摂取しないほうがいいことなど予防となると考えられている方法はいくつかあります。

    明確な原因や予防法はわかってない

    現時点では無脳症の明確な原因や予防法は分かっていません。日本で考えられているところでは「母体の栄養状態の悪さ」「飲酒」「喫煙」「高齢出産」「遺伝的要因」などが関係していると言われています。

    放射能との関係も取りざたされてはいますが、様々な情報や見方があり、実際に無脳症とどういった関係があるのか見解の域を出ていません。原因が分かっていないのでそれを防ぐ予防法も策としてしかあげられないのが現状です。具体的な治療法もありません。無脳症になってしまったら最後、なすすべが無いのが現状です。

    喫煙をしないこと

    喫煙は無脳症の原因として疑わしいとされています。たばこ症辞典によると、妊娠3カ月時点でも妊婦の喫煙による先天性異常児の出産リスクは、1日に0~20本の煙草を吸った場合と1日に21本以上のタバコを吸う場合では、その差が1.6倍となります。

    無脳症の発生リスクを示したデータでは、1日の本数に関わらずタバコを吸っていた妊婦は無脳症の発生率が高いというデータが示されています。実際に因果関係があるかは定かではないですが、喫煙することで無脳症のリスクは高まると考えられています。

    葉酸を摂取した方が良い?

    厚生労働省は神経管閉塞障害の予防が無脳症の予防にも効果がるのではないかとして、妊婦に1日400μgの葉酸を推奨しています。葉酸はビタミンB群の一種の水溶性ビタミンです。熱に弱く水に溶けやすい性質で、調理でその半分は失われてしまいます。そのためサプリメントなどから補助的に摂取するのが効果的です。

    葉酸を積極的に摂取することで先天性の異常である神経管閉鎖障害の無脳症や二分脊椎症(脊椎が2つに分かれる病気)を7割程度軽減できると考えられています。ちなみに400μgの葉酸を食事から摂取しようとすると、ホウレンソウならおよそ7束、納豆からであれば約7パックも摂取しなければなりません。

    妊娠中の生活面を気を付ける

    妊娠中の環境によって胎児の神経性閉鎖障害のリスクが高まります。例えば、妊婦に糖尿病や肥満がみられる、てんかん薬を内服している、高熱発作を起こした、ビタミンAを大量に摂取したなどです。こうした神津をしないよう注意することが無脳症発現のリスクを減らすことにつながるでしょう。

    無脳症と診断された時は?

    明確な予防法や原因が分かっていない以上、お腹のなかの赤ちゃんが無脳症だと診断される可能性は誰にでもあります。葉酸の摂取不足や妊婦の生活環境が関係している可能性は大いにありますが、本当のところは誰にもわかっていません。

    大切なのはお母さんやお父さんは責任を感じすぎないようにすることです。生まれてくるこどもがこんな状態になったのは自分のせいだと重く受け止めるのは禁物です。無脳症の赤ちゃんはながく生き延びることは難しく、辛かったり大変だったりすることは多いでしょうが、短い期間であっても自分たちのところに生まれてきてくれた赤ちゃんにどのように接するか、パートナーはもちろん、助産師や医師ともよく相談しましょう。

    短い間でも大切に育ててきたこと、愛情をもって自分に接してくれたことは赤ちゃんの心にはきっと伝わるはずです。

    どうしても育てていく自信がなかったり医療費を支払うのが難しい場合は、中絶の決断を下すことになります。無事に出産しても1週間以内に無くなるリスクを考えると中絶の選択が合理的だとも言えます。その場合もパートナーや自分の親など周りの人とよく相談して、自分の意思を固めましょう。

    無脳症は1週間以内の致死率が75%の恐ろしい病

    無脳症は明確な原因や予防法が判明しておらず、無事生まれてきたとしても1週間以内の致死率が75%を超えるとても恐ろしい疾患です。そのため妊娠中の検査で無脳症の疑いがあると判明したら、医師は中絶を進めます。生き長らえたとしても幸せな人生を全うすることは難しいからです。

    しかし、それでもジャクソン君のように3歳を越えても生きている奇跡の無脳症児も存在しています。稀有な例のため世界中で話題となりました。ジャクソン君は目力がとても強く、通常の子では考えられないような能力を持っているように思えます。

    ジャクソン君のように生後1年以上生存を続けた事例はいくつか存在しますが、無脳症児は大脳が大きく欠落しているので、通常の成長過程をきたすことはまず考えられません。無脳症で産まれてこないことが母子ともにいいことなのは間違いありません。

    葉酸を出来る限り摂取する、喫煙をしないなど現状有効だと考えられている方法はいくつかあるので、こうした方法を実践して出来る限り無脳症児が生まれるリスクを減らすことが重要でしょう。

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