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涙と笑いと伏線と。後世に残すべき三谷幸喜作品について語る

三谷幸喜さんの作品、皆さんはどう思われますか?クスリと笑えるかと思えば意外な伏線や展開に驚くことも多々あることでしょう。メジャーなものから意外と知られていないものまで、三谷幸喜作品についてまとめ、語ってみようと思います。

三谷幸喜氏のプロフィール

脚本家三谷幸喜さんのプロフィールは、以下の通りです。

脚本家、映画監督、演出家。神経質なため、インターネットは見ない。理由は、自作への否定的なコメントを見てやる気をなくすのを避けるため。大の映画好きで、テレビ好き。海外ドラマの他、子供向けの番組にも詳しい。

出典:https://ja.wikipedia.org

三谷幸喜さんの作品は好きでよく見ますが、神経質とは知りませんでした。

作風

三谷幸喜作品。その作風と言えば。

基本的には、ハートウォーミングな喜劇もの。

出典:https://ja.wikipedia.org

分かります。しかも、どんな作品でも意外な伏線が張ってあったりと工夫に驚かされます。やっぱり、テレビや映画をたくさん見たおかげなんでしょう。

三谷幸喜作品・ドラマ編

三谷幸喜さんの手掛けたドラマ作品をばご紹介いたします。

『警部補古畑任三郎』

三谷幸喜さんがお好きだという『刑事コロンボ』と同じく、「誰が悪事を行ったか」を先に見せ、主人公古畑が証拠や矛盾点を突いていく、というスタイルの作品。やり取りが軽妙ですし、アバンでの古畑の語りがストーリーと関係していて、面白かったです。

部下の今泉さん。それなりに事件解決に役立っていましたね。奇抜な事件現場、盲点的な伏線など、三谷幸喜節が全開だったように思います。

『王様のレストラン』

この作品は、ラストのナレーションに味がありました。フランス料理店が舞台。言葉の壁も取り払う料理、というものを感じるエピソードがありました。フランスから来た「お偉いさん」たちが中々料理に手を付けず、業を煮やした従業員がフランス語に堪能な別の従業員に「早くお召し上がりください」というフレーズを聞き出してまくしたてる、というエピソードなんですが・・・。

『竜馬におまかせ』

坂本竜馬が主人公の幕末作品。なんですが、坂本竜馬が関西弁で話したり、日本の夜明けどころかそういったことに全く興味のない今でいうニート状態だったり。従来の坂本竜馬像をぶち壊してくれた作品だと思います。というか、遊び心効きすぎです。でも、三谷幸喜作品でよくある「伏線」も巧みに使われているという。

幕末の有名人に対する従来のイメージを破壊していく様は賛否両論あるかもしれません。個人的には好きですけどね。何だか爽快で。人斬り以蔵をちょっと天然なイケメンにしたり、「幕末」というものに対するイメージさえ変わります。いつの時代だって、平和な庶民はいたんだよ、ということでしょうか。そして坂本竜馬がニート状態だったのも、偉人だって最初から偉かったわけじゃない、という三谷幸喜さんのメッセージ、なんでしょうか。

『新三銃士』

どちらかというと、コメディよりも成長物語の要素が強い作品かと。対象年齢を意識して、原作をうまく料理していたようです。そこかしこにコメディ要素をぶっこんでくる辺りが三谷幸喜さんらしいですが。「お人形みたいにかわいい」って、人形劇です。

ダルタニアンにくっついてきた猿のプランシェ。原作では人間で、ダルタニアンの従者とのこと。思い切って猿にしちゃうとは、恐るべし三谷幸喜氏・・・。彼は猿の鳴き声を出していると見せかけてガッツリ話してました。台本にあったのか、それとも声優さんのアドリブか・・・。

最初は気色悪いオッサンくらいにしか思ってませんでしたが、段々三谷幸喜節の犠牲者、いやさ体現者になっていったという。ある意味この作品の「顔」です。大ジャンプしたり、ドーバー海峡をたらいで渡ったり。

三谷幸喜作品・映画編

映画好きな三谷幸喜さんのこと、もちろん映画作品も多く出しておられます。

『ラジヲの時間』

主婦がラジオドラマの脚本コンテストに作品を応募したら採用、放送決定。しかし主演女優のワガママで生放送になる上、他の出演者もワガママを言い出し内容がどんどん変わっていくというお話。マルチン神父役の俳優さん(劇中)が気の毒ですが、それだけにラストの効果が素晴らしかったです。

スタッフまで口を出してきてドラマの内容はどんどん滅茶苦茶になりますが、その度にうまく回収してくれる助っ人もいました。放送を聞いていたトラックの運転手ものめり込んでおり、「作品作りにかける情熱って伝わる者なんだなあ」と思わせる三谷幸喜氏の手腕・・・。

『みんなのいえ』

マイホームの設計を、頑固な大工の父親に任せるか、新進気鋭のデザイナーに任せるか?全く違う製法、考えが真っ向から衝突。職人の心意気を感じますが、やっぱり笑いも随所にあったりして、ほっこりする作品です。重くなりすぎず、適度に笑いを入れてくる緩急のきれが三谷幸喜作品です。

「モノづくり」というものについて考えさせられる作品です。父親もデザイナーもこだわりがあるからこそ衝突もするんですよね。そんな父親のこだわりは、ある部分で・・・。

『THE有頂天ホテル』

大晦日、わけあり、問題ありの客やスタッフがたまたま集ったホテルが舞台。香取慎吾さん演じる売れないミュージシャンの持つ「幸福の人形」などの小道具も活躍します。三谷幸喜さんお得意の、笑いと感動という相反する感覚を刺激されまくる作品です。

これだけの人物が入り乱れてドタバタしているのに、すっきりと見られるのは三谷幸喜作品の持つ力でしょうか?ニヤニヤ笑いも止まりません。

『ステキな金縛り』

とある殺人事件の被告を弁護することになった、「成績の良くない弁護士」エミ。彼にはアリバイがあるんですが、証人はただ一人。落ち武者の幽霊だという・・・。普通だったら証人なしで有罪になっちゃいそうですが、「幽霊が証人をやる」と新聞で大々的に取り上げられたりします。さすがは三谷幸喜作品。それは単にドタバタ喜劇だから、ということではありません。検察側など、インチキだの反対だの言う人もいたんですが、そこをうまく処理。というか「上の人たち」が面白がって採用した面もありますが。そこら辺の皮肉も面白いかと。

落ち武者こと更科六兵衛は見える人と見えない人がおり、エミの上司がまず「見えない」。で、信じさせるためエミがいない状態で六兵衛と上司を「二人きり」にして、アリバイ崩しをするという手法には唸らされました。「見えるかどうかの条件」も伏線が張ってあったり、その辺が三谷幸喜作品の巧妙さだと思うのです。

三谷幸喜幻の作品

あの『サザエさん』でも脚本を手がけたことがあるのですが、内容が不適切とされたようで、お蔵入りになったそうです。

三谷幸喜は4作ほど『サザエさん』の脚本を手がけた。しかし、うち一本の内容が「タラちゃんが筋肉増強剤でオリンピックに出ようとする」というもので、降板させられた。

出典:https://ja.wikipedia.org

「マッチョになったタラちゃんが家を破壊する」とか何とかいう話を聞いたことがありますが、あれは都市伝説なんでしょうか?三谷幸喜さんの脚本全てが却下されたわけではないでしょうが、見たいです・・・。三谷幸喜版『サザエさん』。

三谷幸喜作品になりえたかもしれない『サザエさん』エピソード、確かに内容は今の『サザエさん』にはそぐわないかもしれませんね。初期のタラちゃんは結構乱暴な口調で暴れたりしたんですが。

赤い洗面器

さて、三谷幸喜作品と言えば、こちらの話が気になる方も多いのでは・・・?

三谷幸喜作品によく使われる小話。「水のたっぷり入った、赤い洗面器を乗せた男がいた。ゆっくりと歩く男に、『何故そんなことをしているの?』と尋ねると、彼は・・・」という内容で、オチまで語られない。

出典:https://ja.wikipedia.org

気になりますね、オチ。このまま都市伝説化していくんでしょうね。三谷幸喜作品の定番ともいえる小話ですが、個人的に見たのは一回だけでした。

三谷幸喜作品の代名詞の一つじゃないでしょうか、この話。オチについては二通り、最有力候補があるようです。

今後の作品に期待大

『ステキな金縛り』と同一キャストで放送されたドラマ作品です。「昔演劇部だった」と『奇跡の人』の一場面を演じる場面など、主人公の全力投球ぶりが涙ぐましいです。

全ての作品を見たわけではありませんが、喜怒哀楽のうち、三つの感情を疲れない程度に刺激してくれる三谷幸喜作品は構成に残すべき傑作ですね。心に残るのは、やはり押しつけがましくない、どこか優しい、それでいて強いメッセージの力でしょうか。

この作品でもメッセージはありました。笑わせて、泣かせて。2時間かそこらの映画の中でそこまでできてしまう三谷幸喜さんの今後に期待です。

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