2015/10/13
陸奥雅人
実在のオーストリア皇后を描いた物語
『エリザベート』は実在のオーストリア・ハンガリー帝国の皇后エリザベート(通称シシィ)の生涯を描いたウィーン発のミュージカルです。脚本・作詞はミヒャエル・クンチェ、作曲はシルヴェスター・リーヴァイの数々の名作を生み出してきた名コンビです。
日本ではタカラヅカが最初に上演
日本の『エリザベート』は宝塚歌劇団で最初に上演されました。キャストには主人公の「トート」に一路真輝。サヨナラ公演として演じ大人気を博しました、以降『エリザベート』はタカラヅカの人気演目となって度々上演されています。
2000年より東宝でウィーン版に近い『エリザベート』を上演開始
2000年からは東宝でも『エリザベート』の上演が開始されましたが、タカラヅカが「トート」を主役にしているのに対し、東宝版ではウィーン版と同様にエリザベート(シシィ)を主役にしています。このときのエリザベート役にはタカラヅカではトートを演じた一路真輝が演じ、そのキャストも話題になりました。ここでも主に東宝版のキャストをご紹介していきます。
世界各国で大人気のミュージカル『エリザベート』ですが、毎回気になるのはそのキャストですね。2015年東京で上演されたキャストは、今までから一新されたもので、とても新鮮でした。次に具体的なキャストを紹介していきます。
タカラヅカでもエリザベートを演じた二人のダブルキャスト
今回のキャストで話題なのは、今までタカラヅカの男役だった女優がシシィを演じていたのに対して、今回は娘役出身の二人がキャスティングされたことです。今回のシシィ役は花聰まり、蘭乃はなの二人で、二人ともタカラヅカでもシシィ役を演じていました。
存在感のあるシシィ、一路真輝
東宝版の初代シシィは一路真輝さんで、圧倒的な存在感でした。2000年~2006年までエリザベートを演じ続けていたのですから、すごいですね。しかもダブルキャストではなく、お1人で演じられていました。
2008年~2009年は涼風真世、朝海ひかるのダブルキャスト
2008年と2009年は涼風真世、朝海ひかるの、同じく男役出身の二人のダブルキャストでした。涼風さんは短いながらも好評で、2016年からはゾフィー役で再び出演しています。
2010年は朝海ひかる、瀬奈じゅんのダブルキャスト
2010年は朝海ひかる、瀬奈じゅんの男役出身ダブルキャストでした。瀬奈じゅんさんはタカラヅカで前年にトートを演じたばかりで話題になりました。
2012年は瀬奈じゅんと春野寿美礼のダブルキャスト
2012年は瀬奈じゅんと春野寿美礼のダブルキャストでしたが、春野寿美礼さんもまた、タカラヅカでのトート経験者で、再び話題になりました。
なかなか華やかなシシィのキャストですね。タカラヅカの男役出身で、タカラヅカ版では主役である「トート」を演じた人が多いのが面白いですね。さて次は「黄泉の帝王」トートのキャストについてです。
新生トートは城田優 井上芳雄のダブルキャスト
2015年から一新したキャストで一番の話題はトートでした。今回のトートは城田優、井上芳雄のダブルキャストです。城田さんは2010年に一度トートを演じていて、今回はそれ以来2回目となります。また井上さんは2000年~2001年、2005年に皇太子ルドルフを演じていて、今回は役を変えての出演です。
日本初の男性によるトート、初代は内野聖陽、山口祐一郎のダブルキャスト
タカラヅカで女性によるトートしか知らなかった観客が始めて見る男性によるトートは内野聖陽と山口祐一郎のダブルキャストでした。トートの衣装も男性が着ると雰囲気が違った感じに見えました。
2006年~2009年は山口祐一郎 武田真治のダブルキャスト
2006年~2009年のトートは山口祐一郎、武田真治のダブルキャストでした。男性が演じるトートも完全にサマになってきてタカラヅカとは全く別物となりました。武田さんのトートが素敵だという女性ファンの評判も多く聞かれました。
2010年は山口祐一郎、城田優、石丸幹二のトリプルキャスト
2010年は初演からの山口祐一郎に加えて城田優、石丸幹二の二人を迎えてのトリプルキャスト。三人三様のトートでした。
2012年はマテ・カマラスを迎えてのトリプルキャスト
2012年は本場でトートを演じたハンガリーのミュージカル俳優マテ・カマラスを迎えて、山口祐一郎、石丸幹二、そしてマテ・カマラスのトリプルキャストになりました。ウィーン版『エリザベート』の日本上演で来日したこともあるマテ・カマラスの日本語での演技が大きな話題を呼びました。
今思えば、トートはすごく豪華なキャストですね。東宝版でのトートは主人公ではありませんが、この豪華さだけを考えてみたら立派な主役級です。『エリザベート』はその他にも豪華キャストがいっぱいですよ。
ルキーニ役は2012年までは高嶋政宏のシングルキャスト
エリザベートを暗殺するルキーニはミュージカル『エリザベート』の狂言回しとなる存在で、なくてはならない登場人物です。この役を初演から高嶋政宏さんがずっとシングルキャストで演じられてきたのですから、すごいですね。
2代目ルキーニは山崎育三郎、尾上松也のダブルキャスト
ルキーニは2015年に山崎育三郎と歌舞伎俳優尾上松也のダブルキャストで2代目となりました。2016年は山崎育三郎と成河(ソンハ)のダブルキャストになっています。
初代ルドルフは井上芳雄
2015年からトートを演じている井上芳雄は初演の時はエリザベートの息子ルドルフ役でシングルキャストでした。ルドルフ役はミュージカル俳優の登竜門のような形になっています。
ルドルフ役はミュージカル俳優の登竜門?
ルドルフは悲劇的な最期を遂げて、母のエリザベートを悲しみのどん底に突き落とすという難しい役ですが、若手の俳優が演じることが多く、ミュージカル俳優の登竜門的な役割となっています。今までこの役を演じられたのは井上芳雄の他は浦井健治、パク・トンハ、伊礼彼方、田代万里生、大野拓朗、平方元基、古川雄大の面々で、それぞれいろいろなところで活躍されています。2016年のルドルフは古川雄大と京本大我のダブルキャストです。
初代フランツは鈴木綜馬
エリザベートの夫である皇帝フランツ・ヨーゼフ1世もなくてはならない役です。初代は鈴木綜馬さんのシングル・キャストで、以後は2012年まで石川禅、岡田浩暉が演じてきました。
2016年のフランツは田代万里生、佐藤隆紀のダブルキャスト
2015年からはフランツは田代万里生と佐藤隆紀(Le Velvets)のダブルキャストです。田代万里生は2010年の『エリザベート』では皇太子ルドルフを演じていますので、息子役と父役を1人で演じたことになりますね。
『エリザベート』は登場人物も多く、どれも重要な役ばかりで、脇役と言っても目が離せません。何度かこの作品に関わっている人も多いので、一つの作品で役を変えて出演している俳優さんが何人もいるのが面白いです。
少年ルドルフもお忘れなく
登場人物は少ないのですが、エリザベートの息子ルドルフの少年時代の子役の演技も、毎回話題になります。2012年は数々のドラマやCM、舞台で活躍していた加藤清四郎くんが出演して大好評でした。今回の少年ルドルフもどんな芸達者な子役が泣かせてくれるのでしょう。
ミュージカル『エリザベート』は毎回、いろいろな話題に事欠きません。2016年もキャストが一新されたフレッシュな俳優さんたちの演技と歌を楽しめることでしょう。ミュージカルに縁がないという方にもおすすめのミュージカルです。『エリザベート』でミュージカルデビューしてみませんか?
この記事に関する記事
キーワードから記事を探す
Copyright© 運営事務局