【考察あり】オペラ座の怪人あらすじを簡単に解説!見どころや結末の違いは?
2023/07/03
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大島渚監督の『戦場のメリークリスマス』は、1983年5月に第36回カンヌ国際映画祭・コンペティション部門で初上映され、同年5月28日に日本で公開された映画です。
日本、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの合作映画で、テレビ朝日製作の映画第1作です。
●大島渚プロフィール
大島渚さんは、1954年に松竹に入社し、1959年に『愛と希望の街』で映画監督デビューしました。1960年に『青春残酷物語』『太陽の墓場』がヒットし、松竹ヌーヴェルヴァーグの旗手として注目されました。
1961年に松竹退社後、『白昼の通り魔』(1966年)『新宿泥棒日記』(1969年)『儀式』(1971年)を発表後、日仏合作のハードコア・ポルノ『愛のコリーダ』を発表し、世界的に話題になりました。
『戦場のメリークスマス』に出演しているだけでなく音楽も担当した坂本龍一さんは、英国アカデミー作曲賞を受賞しました。
他に、ナショナル・ボード・オブ・レビューでトム・コンティさんが男優賞、毎日映画コンクールで日本映画大賞、監督賞、脚本賞、男優助演賞(ビートたけしさん)、音楽賞、日本アカデミー賞で優秀作品賞、優秀監督賞、優秀助演男優賞、優秀音楽賞、他を受賞しました。
映画の舞台となったのは、第二次世界大戦中である1942年の日本統治下にある、インドネシアのジャワ島のレバクセンバタの日本軍捕虜収容所。日本軍のラバウル上陸やミッドウェー海戦が行われた年でもあります。
『戦場のメリークリスマス』は、名作と言われ、2012年にデジタル修復されて翌年のベネチア国際映画祭のクラシック部門で上映されました。また、2021年には、4K修復版として、大島監督の『愛のコリータ』とともに国内でリバイバル上映されました。
そんな名作と言われる理由は何かを調べてみました。
『戦場のメリークリスマス』は、戦争映画なのに戦闘が描かれず、その情景の美しさに注目が集まった作品です。映画は、2人のイギリス人捕虜と2人の日本兵の2組の出会いが描かれています。
『戦場のメリークリスマス』には原作となった小説があり、それは南アフリカ生まれの作家ローレンス・ヴァン・デル・ポスト氏の短編集『影の獄にて』で、収録された「影さす牢格子」と「種子と蒔く者」に基づいているそうです。
作家自身の戦争体験をもとに執筆された作品集で、映画にも登場するロレンスは原作者自信を投影したキャラクターと言われています。
名作と言われる『戦場のメリークリスマス』はどんなストーリーなのか。日本兵とイギリス兵の出会いとその行く末など、物語の概要を説明しましょう。
第二次大戦下のジャワ島の日本軍捕虜収容所を舞台に、極限状態に置かれた男たちの心の交流を描いた人間ドラマです。日本軍のエリート士官・ヨノイ大尉と英国軍捕虜セリアズ少佐の奇妙な、愛情めいた関係を中心に物語は展開します。
ヨノイとセリアズの関係とともに、日本人軍曹ハラと、日本語を自由に話せる英国軍捕虜ロレンスの穏やかな心の触れ合いが描かれます。
「あなたの映画図書館『MIHOシネマ』」という映画サイトで、『戦場のメリークリスマス』のあらすじが起承転結に分けて、登場人部紹介と共に詳しく紹介されています。
『戦場のメリークリスマス』は、世界的人気アーテイスト、音楽家、お笑い芸人、演技派俳優など多彩なキャスティングが話題になりました。誰がどんな役柄で出ているか紹介しましょう。
英国軍少佐ジャック・セリアズ役を、イギリス出身のミュージシャン、デヴィッド・ボウイさんが演じました。
セリアズは捕虜収容所でも毅然とした態度を貫きますが、昔いじめられっ子の弟を見捨てた過去があり、今なお罪の意識を持ち続けています。
●デヴィッド・ボウイ プロフィール
デヴィッド・ボウイさんは、70年代はグラムロックの先駆者として台頭し、ポピュラー音楽の分野で世界的名声を得ました。音楽だけでなく俳優の世界にも進出し、カルト映画『地球に落ちてきた男』(1976年)で俳優デビュー。
出演映画は他に、『ジャスト・ア・ジゴロ』(1978年)『ハンガー』(1983年)『ビギナーズ』(1986年)『プレステージ』(2006年)があります。
エリート士官・ヨノイ大尉役を、作曲家でピアニスト、テクノポップ・グループYMOのメンバーとして知られる坂本龍一さんが演じました。
ヨノイはジャワ島の日本軍捕虜収容所の所長で、軍法会議で死刑にされそうになったセリアズ少佐を救い収容所で預かりますが、彼の反抗的な態度に悩まされながらも、彼に魅せられていきます。
●坂本龍一プロフィール
坂本龍一さんは、1975年にスタジオミュージシャンとしてキャリアをスタートし、1978年に細野晴臣さんと高橋幸宏さんとともに「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」を結成。同年、ソロ活動もスタートさせました。
『戦場のメリークリスマス』以降は、映画音楽を手掛けることが増え、出演も兼ねた『ラストエンペラー』(1988年)のほか、『シェルタリング・スカイ』(1991年)大島渚監督作『御法度』(1999年)『ファム・ファタール』(2002年)『レヴェナント:蘇えりし者』(2016年)を担当。
捕虜収容所の現場責任者の様な立場であるハラ軍曹を演じたのは、お笑いタレントのビートたけしさん。
粗暴な鬼軍曹だが、自殺した兵士に恩給が出るように配慮したり、捕虜のロレンス中佐と親しくなるなど、人間らしい一面も見せます。
日本語が話せる捕虜の英国軍中佐ジョン・ロレンスを演じたのは、イギリス演劇界の名優で映画出演作も多いトム・コンティさん。
どの国の兵士も同じ人間であると考えていて、ハラ軍曹とも親しくなり、中立的な立場で行動します。
英国空軍大佐で、収容所の捕虜長ヒックスリーを演じたのは、オーストラリアを代表する国際派俳優ジャック・トンプソンさん。
ロレンスとは対照的なイギリス人で、腹の底では日本人をバカにしていて、ヨノイ大尉の命令にも歯向かってしまいます。
軍律会議審判官であるイワタ法務中尉を、後に『科捜研の女』『警視庁・捜査一課長』など数多くの刑事ドラマに出演した内藤剛志さんが演じました。
他に、拘禁所長にロックンローラー・内田裕也さん、カネモト朝鮮人軍属にキャロルのメンバーだったジョニー大倉さん、イトウ憲兵中尉にフォークシンガー・三上寛さん、ゴンドウ大尉に室田日出男さんが出演しています。
『戦場のメリークリスマス』は、女性の登場しない男たちのドラマですが、登場人物たちの運命は最後にどうなるのか、その結末をお話ししましょう。
ヨノイ大尉が更迭され、後任の新しい大尉はセリアズ少佐を首だけ地上に出した生き埋めの刑に処します。そしてセリアズは、弟のことを思い出しながら衰弱死してしまいます。
夜中、ヨノイ大尉は密かにセリアズに近づき、彼の髪を一束切って立ち去ります。切った髪は、ロレンス少佐にセリアズの家族に届けるよう頼み渡します。
大戦が終わり、日本軍は負け、ヨノイ大尉は処刑されました。
1946年のクリスマス。死刑判決を受け、執行前日を迎えたハラ軍曹の元にロレンス中佐がやってきます。4年前の捕虜収容所でのクリスマスのことを思い出し、笑い話に花を咲かせます。
ロレンスが立ち去ろうとしたとき、ハラは彼を呼び止め、「メリークリスマス、メリークリスマス、ミスター・ロレンス」と叫びました。
『戦場のメリークリスマス』は、公開されてから40年近く経ちますが、戦時下のもと、西洋文化と日本文化のせめぎ合いを繰り広げながら、心にわだかまる傷を抱える男たちの姿を描き、今なお鮮烈な印象を残す作品です。
映画好きで、まだ未見なら一度は鑑賞してみてはいかがでしょうか。
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『戦場のメリークリスマス』は、1983年に公開された大島渚監督の映画ですが、この作品がどんな映画賞をとったのか、また映画の時代背景などを調べてみました。