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あの「たまごっち」も受賞!イグノーベル賞の衝撃の賞金とは?

イグノーベル賞常連国が日本なのは知っていましたか?「大腸内視鏡検査を座位でやると楽」や「ジェットコースターで腎臓結石を取る」という衝撃の研究が受賞するイグノーベル賞。その賞金は驚くべき金額でした。イグノーベル賞の表彰式や謎の少女を抑えていきましょう!

イグノーベル賞とは?

イグノーベル賞はノーベル賞とは全く違います。表彰式では紙飛行機が舞い、受賞者スピーチは8歳の少女の「もうやめて、飽きちゃった」という一声で、1分で終わりを迎えます。受賞者は1本のロープを全員で持ち登壇しますが、これは「幼稚園児のパロディ」だと言います。

日本人はイグノーベル賞常連国で、20以上の研究が選ばれています。2018年には堀内朗氏の「大腸内視鏡検査は座位で行うと楽」という研究が選ばれています。他には「難しい製品を使う時に大抵の人は説明書を読まない」という身近な研究が選出されています。

他にも「ジェットコースターで腎臓結石を取る」という驚異の実験も選出され、日本では「イグノーベル賞世界展」が2018年に行われました。これらは、イグノーベル賞受賞の条件が深くかかわっています。その受賞の条件とは一体?ユーモアあふれるイグノーベル賞のあれこれを見ていきましょう!

イグノーベル賞とノーベル賞の違いは?

イグノーベル賞とノーベル賞は名前がほとんど同じですが、一体何が違うのでしょうか?「イグ」が付くのと付かないのでは大違いです!あまりに違いすぎる表彰式や、謎の8歳の少女についてみていきましょう。

イグノーベル賞はノーベル賞のパロディ!

イグノーベル賞とノーベル賞は全く違う賞です。ノーベル賞は輝かしい研究や功績に対して贈られる賞ですが、イグノーベル賞は「人々を笑顔にさせ、かつ考えさせられること」に対して贈られる賞です。

「イグ」とは英語の接頭語「Ig」から来ていて、直訳すると「恥ずべき、名誉でない」という意味となります。確かにイグノーベル賞を受賞した研究は、一見くだらないように見えますが、私たちの生活に直接関わっている研究でもあります。

1991年に設立された、比較的新しい賞です。研究以外にも日本の「たまごっち」や「カラオケ」、「バウリンガル」などの発明品にも賞が贈られます。平和賞や文学賞、心理学賞など、賞の対象は幅広いです。

イグノーベル賞は表彰式も独特

イグノーベル賞授与式は、ハーバード大学で行われ、ノーベル賞の受賞者もプレゼンターとして登壇します。また旅費、滞在費等は自己負担です。受賞者は1本のロープを全員で持って登壇しますが、これは幼稚園児を散歩させるパロディなようです。

受賞者の発表中も、油断はできません。聴衆は絶えず紙飛行機を投げ続け、受賞者は聴衆を笑わせなくてはいけない決まりとなっています。まさに、ノーベル賞とはかけはなれたイグノーベル賞ですが、研究自体は権威のあるものです。

イグノーベル賞の発表は女の子によってさえぎられる

イグノーベル賞の表彰式では、受賞者が自分の研究を発表する場面があります。受賞した研究ですから、長く詳しく話して、人々の見解を得たいのが当然です。しかし、イグノーベル賞の研究の発表は、1人の少女によって強制終了させられるのです。

発表開始から1分後、ミス・スウィーティー・プーという8歳の少女が出てきて「もうやめて、飽きちゃった(Please stop. I'm bored.)」と言います。一生懸命考えて賞を受賞した研究も、この少女によってたった1分で発表を終えます。

これは8歳の少女であることに意味があります。どうやら「罵られるのは8歳の少女が1番効く」という研究結果があるそうです。そのため、この発表を1分で止める役は8歳の少女と決められています。

イグノーベル賞の日本人受賞作とは?

イグノーベル賞は、ほとんど毎年日本人が独創的、かつ考えさせられる研究で受賞しています。一体どんな内容の研究なのでしょうか?意外と知らないことも日本人は研究しています!日本人のイグノーベル賞をみていきましょう。

イグノーベル賞日本人受賞研究一覧(2007年以降)

2007年 化学賞
「ウシの排泄物からバニラの香り成分「バニリン」を抽出する研究」

2008年 認知科学賞
「単細胞生物の真性粘菌が迷路の最短経路を見つける研究」

2009年 生物学賞
「パンダのふんから取り出した菌を使って生ごみの大幅な減量に成功した功績」

2010年 交通計画賞
「迷路を最短で通り抜ける力が粘菌にあることを発見し、優れた鉄道網のモデルを作ることを突き止めた研究」

2011年 化学賞
「緊急時に眠っている人を起こすのに最適な空気中のわさび濃度の発見と、わさび警報機の発明の研究」

2012年 音響賞
「迷惑なおしゃべりを自然と制止する装置「スピーチ・ジャマー」の開発。自身の話した言葉を少し遅れて聞かせる装置」

2013年 化学賞、医学賞
「タマネギを切ると涙が出る理由を解明」「オペラでマウスが延命するとの研究結果」

2014年 物理学賞
「『バナナの皮はなぜ滑るのか』を解明」

2015年 医学賞
「キスでアレルギー患者のアレルギー反応が減弱することを示した研究」

2016年 医学賞
「股のぞき効果の研究」

2017年 知覚賞
「オスとメスが逆転した生物 "性器の大発見"」

2018年 医学教育賞
「座位で行う大腸内視鏡検査ー自ら試して分かった教訓」

イグノーベル賞はあの「たまごっち」も受賞!

1996年に発売が開始された「たまごっち」は、1997年にイグノーベル賞の経済学賞に選ばれています。受賞したのはたまごっちを開発した横井昭裕氏と、真板亜紀氏です。研究テーマは「多大な労働時間を電子ペットの飼育に費やした結果」です。

たまごっちは愛くるしいキャラクターをお世話したり、ミニゲームをしたりする小型ゲーム機です。当時は爆発的な人気があったと言われています。お世話を怠ると、ペットは病気にかかり死んでしまいます。

その死んでしまったキャラクターを弔おうと、ネット上に共同墓地のようなものが出来たこともあります。このような社会現象は「人々を笑顔にさせ、また考えさせられること」に値しているので、受賞することが出来ました。

「カラオケ」も2004年に受賞!

皆さんが頻繁に行くであろう「カラオケ」も、イグノーベル賞に選ばれています。受賞したのはカラオケを開発した井上大佑氏です。井上氏はカラオケを開発したにもかかわらず特許を取得しなかったため、その後のカラオケブームによる莫大な資金は手に入れませんでした。

しかし、1999年のアメリカのタイム誌の「20世紀で最も影響力のあったアジア人20選」に昭和天皇と共にランクインされています。選考理由は「世界の夜を変えた」という理由です。

日本はイグノーベル賞を12年連続受賞!

日本はイグノーベル賞常連校で、2018年で12年連続受賞となりました。しかし、創設から日本は20以上の研究でイグノーベル賞を受賞しています。何故、日本はこんなにイグノーベル賞に強いのでしょうか?

日本の研究は実生活に結びつくことが多く、これが「人々を考えさせられる」という条件によく当てはまるからだと言います。「パンダのフンを使って生ごみを大幅に削減した研究」は、私たちの実生活にある生ごみとかかわりがある為、私たちも考えることになるでしょう。

また「玉ねぎを切るとなぜ涙が出るかの研究」や「バナナの皮はなぜ滑るかの研究」など、意外と解明されていない原因を、日本は突き止めています。2019年のイグノーベル賞にも期待がかかりますね。

イグノーベル賞は他にどんな研究でもらえるの?

イグノーベル賞は「人々を笑顔にさせ、また考えさせられる研究」に対して贈られることが分かりました。しかし、外国の研究には一体どんなものがあるのでしょうか?日本人以上に個性あふれるイグノーベル賞を見ていきましょう!

とにかくユニークだけど考えさせられる研究!

イグノーベル賞を受賞する研究は、非常に個性的で、誰も考えつかないような研究ばかりです。例えば「豚が走るときのサルモネラ菌の排泄の研究」や「ページ数の100倍の研究者がいる論文を発表する研究」など、かなり独創的です。

あまりに独創的過ぎると思うかもしれませんが、これは「人々を考えさせる」という目的に合っているので、受賞しています。これは研究的にはノーベル賞級の成果だとしても、ノーベル賞のような権威の高い賞には似合わない研究に送られていると言えるでしょう。

他にはシンガポールの「唾を吐いたり、ガムを捨てたり、ハトに餌をあげたりした人を罰する効果についての30年間の研究」がイグノーベル賞を受賞しています。研究の規模が大きく、ノーベル賞でも不思議ではないと思いますが、研究対象がパロディだったようです。

イグノーベル賞常連国は日本とイギリス!

イグノーベル賞を受賞している国で多いのはなんと日本と、イギリスです。イギリスはオックスフォード大学やケンブリッジ大学など、世界の最先端を研究する研究機関が軒を連ねています。日本は医療に関する研究の受賞が多いですが、意外にも「たまごっち」や「カラオケ」も受賞しています。

イギリスは1995年、政府の主任科学アドバイザー、ロバート・メイ氏が「権威ある研究を笑いものにしかねない」と、イギリスの研究者に対してイグノーベル賞を贈らないよう要請しました。しかし、ほとんど毎年のようにイギリスの研究者に対して賞がおくられています。

イギリスの有名な研究は「老人の耳が大きいことに関しての研究」でしょう。ジェームズ・ヒースコート氏の研究によると、1歳年を重ねるにつれ、耳が0.22㎜大きくなることを発見。しかもそれは重力による引力であることも判明した。耳は大きくなるのに、どんどん耳は遠くなります。

イグノーベル賞の賞金額はどれほどか?

ノーベル賞の賞金は約1億円を超えると言いますが、イグノーベル賞の賞金は桁違いです!もちろん桁は増えます。イグノーベル賞の「人々を笑顔にさせる」条件に即した驚きの金額とは一体?

イグノーベル賞の賞金額は10兆ジンバブエドル!

イグノーベル賞の気になる賞金は、なんと10兆ジンバブエドルです!もちろんジンバブエドルにからくりがあります。実はジンバブエドルはもう使われていないのです。

ジンバブエでは急速なインフレーションが進んでしまいました。インフレ―ションとはデフレーションの逆で、お金の価値が下がることを意味します。あまりに下がりすぎると、例えば1ドルが100万円、ということにもなってしまうのです。

ジンバブエはこのインフレ―ションが進みすぎて、お金の価値がほとんどなくなり最終的には10兆ジンバブエドルは日本円で約0.3円の価値になってしまいます。ちなみに10兆ジンバブエドルは、10兆ジンバブエドル札があるので、お札1枚で済みます。

2018年イグノーベル賞受賞作は一体何なのか?

昨年のイグノーベル賞には、もちろん日本の研究も選ばれましたが、他にも個性的でユニークな研究が軒を連ねています。驚きの研究と、意外と自分に当てはまるかもしれない研究を見ていきましょう。

日本人の研究「大腸内視鏡検査は座位の方が楽」

昨年、日本人でイグノーベル賞を受賞したのは堀内朗氏が発表した「大腸内視鏡検査は座位で行うと楽」という研究です。大腸内視鏡検査とは肛門からカメラを入れる検査で、普通横向きになり足を抱え込む姿勢で行います。大抵強い違和感があり、嫌な検査です。

堀内氏のすごいところはもう1つあり、それを自分自身で試したことにあります。あるとき突然思いついき、自分で座位になりおもむろに内視鏡を入れたところ、驚くほど簡単にできたと言います。自分で行う勇気は、とても真似できそうにありません。

実際の検査で座位で大腸内視鏡検査を行うのは患者の羞恥心が強く一般的には行われていない。しかし、このイグノーベル賞の受賞により、病院自体の大腸がん検査を受ける患者の数が爆発的に増え、全国から注目されている。

オーストラリアの研究「難しい製品を使う時に、たいていの人は説明書を読まない」

皆さんはパソコンやテレビ、洗濯機などの電化製品を購入したとき、必ず付属している取扱説明書を読んでいますか?大抵の人はこのような使いこなすのが難しい電化製品に限って、取扱説明書を読まないで使用する人が多いそうですよ。

この研究はオーストラリアの研究グループが発表したもので、意外にも「文学賞」に選ばれています。これは研究した分野ではなく、それ自体のカテゴリー、つまり取扱説明書の分野で表彰されているのです。こういった一見違う賞が贈られることが多いのも、イグノーベル賞の面白い点です。

アメリカの研究「ジェットコースターで腎臓結石を取る」

遊園地に行けば必ずあるジェットコースターは、医療目的に使えないか、という研究がアメリカで行われました。「ジェットコースターで腎臓結石を取る研究」です。腎臓結石とは腎臓内にできるカルシウムの塊で、大きくなりすぎると腎臓炎を引き起こしてしまいます。

研究チームは腎臓の模型を作り、その中に結石に見立てた模型を入れ、ジェットコースターに20回以上乗り続けました。すると4㎜の結石が3個も腎臓から出てきたことが判明しました。

あまり激しくないジェットコースターだったようなので、日本の富士急ハイランドなどの超ヘビー級のジェットコールターに乗れば、結石は出てくるかもしれません。ちなみに後部座席に乗ると、より結石が出やすくなるそうです。

日本で行われた「イグノーベル賞世界展」とは?

昨年、日本で「イグノーベル賞世界展」が東京ドームシティで行われました。数々のユニークな研究とちょっと危ないような研究も大公開?「人々を笑顔にさせる」大展覧会を見ていきましょう!

イグノーベル賞世界展は東京ドームシティで行われた展覧会!

イグノーベル賞世界展とは、昨年の9月から11月まで東京ドームシティのギャラリー「アーモ」というところで行われたイベントです。もう終了してしまいましたが、物販や体験、受賞研究のパネルの実物が見られたようです。

例えば犬の去勢手術により睾丸を失ってしまった犬に対し、ニューティクルズという人口の睾丸を移植することにより、ストレスの軽減を図る研究が展示されていました。ペットを飼っている方々には興味深い研究ですね。

小さい研究で、逃げ回る目覚まし時計や、緊急時に熟睡している人を強制的に目覚めさせるわさびスプレー、さらには剣を飲み込む芸の副作用などがあります。言われてなるほど、という研究がたくさんあります。

まとめ

ユーモアにあふれた個性的なイグノーベル賞を見ていきました。日本はイグノーベル賞の常連国で、20以上の研究が選出されています。

のにもかかわらず、賞金はほとんど0円、滞在費交通費は自己負担という有様。これは全て「人々を笑顔にさせ、考えさせられる」というイグノーベル賞の条件に合った決まりでした。

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