2016/04/11
viona
世界中で多くの人が、「この小説に出会えてよかった」と感想を言うほど、読者を魅了し続けている『アルジャーノンに花束を』。読み終わった後に、読書感想文を残す人もたくさんいます。
どこに、そこまで人を惹きつける魅力があるのか?
早速、小説『アルジャーノンに花束を』について、調べてみました。
Flowers for Algernon
1959年に中編小説として発表し、1966年に長編小説化された、アメリカ人作家ダニエル・キイスによるSF小説『Flowers for Algernon(アルジャーノンに花束を)』。
日本では『アルジャーノンに花束を』という題名で、1961年に稲葉由紀(稲葉明雄)さんによって、中編小説版が翻訳されました。その後、1978年に小尾芙佐さん訳で、長編小説版が出版されています。
小説『アルジャーノンに花束を』は、知的障害を持つ主人公の視点による一人称で書かれているため、原文の表現を残したまま日本語に翻訳されている中編小説版も長編小説版も、名訳と称賛されています。
ダニエル・キイス(Daniel Keyes)
生年月日 1927年8月9日
死没 2014年6月15日(満86歳没)
出身地 アメリカ合衆国フロリダ州
職業 作家、小説家
ジャンル サイエンス・フィクション
ノンフィクション
ダニエル・キイスの代表作
『アルジャーノンに花束を』
『五番目のサリー』
『24人のビリー・ミリガン』
『ビリー・ミリガンと23の棺』 など
『アルジャーノンに花束を』では、第8回ヒューゴー賞と第2回ネビュラ賞を受賞されています。
小説『アルジャーノンに花束を』のあらすじは、6歳児並みの知能を持つ32歳の知的障害者チャーリイ・ゴードンが主人公の物語です。
主人公のチャーリイは、常に「かしこくなりたい」と願っていました。そんなある日、知的障害者専門の学習クラスに通っていたチャーリイに担任のアリスから、ハツカネズミのアルジャーノンを使い知能を急激に高める動物実験に成功した脳手術を勧められます。アルジャーノンと迷路実験で対決し負けたチャーリイは、手術を受けることを決意。人間に対する臨床試験の被験者第1号となったのです。
これが、『アルジャーノンに花束を』のもう一人の主人公ともいえる、アルジャーノンとチャーリイの出会いでした。
手術は成功し、IQ185の知能を持つ天才になったチャーリイは、知識を得る喜びを噛みしめていきます。しかし、ここから小説『アルジャーノンに花束を』に悲しみが走ることになります。
高い知能を得たばかりに、知りたくもない事実を理解するようになり、心や感情は幼いままだったチャーリイは、苦悩の日々を送ることになったのです。
やがて、アルジャーノンに異変が起こります。チャーリイはアルジャーノンの異変から、一時的に知能を発達させるが急激な知能の低下が起こることを突き止めてしまいます。自分にも同じことが起こると悟ったチャーリイは、その後どのような人生を歩んでいくのか。
このまま小説はラストに向かいますが、最後の一文がポイントになっています。
実際に小説を読んだ人たちから、高評価を得ている『アルジャーノンに花束を』。気になる感想やレビューをまとめてみました。
報告書という形でストーリーが展開していくのは面白いと思った!言葉の1つ1つに惹き付けられるものがある!まるで自分が物語の主人公になったような不思議な感覚悲しくも愛しい話でした
あらすじはなんとなく知っていたが、1ページ目からものすごく引き込まれた。久々にすごく面白い本を読んだなという感覚だった。知識を求めすぎることへの批判がメインテーマだったように感じる。個人的にはテーマに深く共感した。
言葉で体現できないような物語だった。チャーリーが手術の前に持っていたもので、手術後に失ったものはなんだろう。人生とはなんだろう。すばらしいストーリーに出会えた気がする。
ネット上には、たくさんの感想やレビューが投稿されています。
その中でも多かった意見が、こちらの3つ。
・考えさせられるストーリーでありテーマ
・歳を重ねる度に読むと、解釈が変わる
・本当の幸せとは何か
みなさん、読後は小説の余韻に浸りながら深く考えているようです。
これこそ、小説『アルジャーノンに花束を』の魅力かもしれませんね。
小説『アルジャーノンに花束を』には、心を震わす言葉がたくさんあります。あまりにも最後の一行が素敵すぎて、他の名言が記憶の中で薄れてしまっている人も多いかもしれません。
そこで今回は、心に響く『アルジャーノンに花束を』の名言を紹介します。
ひとにわらわせておけば、友だちをつくるのはかんたんです
小説に出てくる、チャーリイらしい言葉の1つ。チャーリイが発している言葉だからこそ、胸に突き刺さる何かがあります。
あなたには、あたしたちに尊敬する心をおこさせるようななにかがあった――そうよ、たとえああであってもよ
小説『アルジャーノンに花束を』の印象的な言葉。言葉だけでは言い表せない、伝えきれない、深いものを感じさせますね。
高いIQをもつよりもっと大事なことがあるのよ
とてもシンプルな言葉ですが、『アルジャーノンに花束を』の一文だと、心に重くのしかかるものがあります。
知識を得ることができれば幸福も得られるとは限らない
これもまた、奥が深い小説の一文ですね。人は自分にないものに憧れますが、いざ手に入れると、なかったほうが良かったと気づくものなのかもしれません。
他人に対して思いやりをもつ能力がなければ、そんな知識など空しいものです
素晴らしい名言。
『アルジャーノンに花束を』という小説を通して、“思いやり”の大切さを再認識させられたような気がしますね。
どうして私にあんな作品が書けたのか、もしあなたにお分かりだったら教えては頂けませんか?私ももう一度、あんな作品を書いてみたいのです
『アルジャーノンに花束を』の作者ダニエル・キイスが、ヒューゴー賞を受賞時、アイザック・アシモフから「どうやってこんな作品を創りあげたのですか?」と質問された時の返答。“不滅の名言”と言われています。
心に留めておきたい名言ですね。
小説『アルジャーノンに花束を』についてまとめてきましたが、いかがでしたか?
人として大切なものは何かと、とても大きなテーマを投げかけている作品だと思います。何度も読めば、その答えがいつか見つかるのかもしれません。
まだ読んだことがない方はぜひこの機会に、そして読んだことのある方はぜひ再読してみてください。
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