2016/08/04
onozawa
2014年に、日本映画界きっての名優、高倉健さんが亡くなり、日本中から追悼のメッセージが送られました。
なんと中国でも主要メディアなどで大々的に追悼報道されました。
日中国交が冷え込む中で、中国外務省は高倉健さんの死去に追悼の意を示した。
また共産党系の新聞は高倉健さんの追悼記事を掲載。
中国紙記者は高倉健さんの死去を、「存在が大きすぎて黙殺ができない」と明かしたという。
海外、それも何かと問題になる中国が高倉健さんの死去を大々的に報じたことは多くの日本人が驚いたと思います。
なぜ、中国でこのような事があったのでしょうか?
高倉健さんの中国での影響、人気を探ります。
高倉健さんのプロフィール
・1931年2月16日ー2014年11月10日(満83歳没)
・福岡県出身
・身長180センチ
・1955年デビュー
・日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を多数受賞
非常に礼儀正しい性格で、撮影所にいる全ての人物への挨拶を欠かさなかった。
挨拶をする際は相手が若い俳優や、スタッフでも必ず立ち上がって丁寧にお辞儀をして挨拶していた。
ビートたけしさんが語った映画『夜叉』での撮影時のエピソード。
オフの日に撮影の激励に来た高倉健さん。スタッフや出演者が焚き火に当たるのを薦めても、自分は勝手に来た身だから、焚き火に当たると迷惑がかかる、と遠慮していた。
しかし高倉健さんが焚き火に当たらず自分達だけが当たれないと、皆が焚き火から離れるが、やがて寒さに耐えきれなくなり、高倉健さんに「お願いですから、当たって下さい」と泣きつき、ようやく全員で焚き火に当たったという。
なんだか微笑ましいエピソードですね。高倉健さんの優しいお人柄が垣間見れます。
八甲田山
遥かなる山の呼び声
個人的に一番好きな映画です。コミカルさと暖かなストーリーが印象的。
ラストの列車のシーンが感動的。
幸福の黄色いハンカチ
こちらも個人的に好きな作品です。
高倉健さん演じる、出所したばかりの男が食堂で久しぶりにカツ丼、ラーメンそしてビールをガツガツと食べるシーンが印象的でした。
高倉健さんは実際にそのシーンを演じる時、臨場感を出すために前日から何も食べずに撮影に挑んだそうです。
まさにプロフェッショナル。
高倉健さんはなぜ、中国で有名なのか?
37年前に高倉健さん主演の映画は『追捕』というタイトル公開された。
当時の革命が終わって間もない中、およそ10億人の中国人がこの映画を観たという。
NHKドキュメント『10億人が愛した高倉健』を製作したスタッフは以下のように語った。
「人の魅力や文化というものが、国と国の問題を越えられる力を持っていることを再認識できました」
中国で高倉健さんの名前が有名になったのは1978年に、高倉健さん主演の映画『君よ 憤怒の河を渉れ』が中国で公開されてからだった。
当時の中国の人々は社会情勢に不満を感じており、そのような中でこの映画に勇気付けられていたという。
高倉健さんが中国で人気になったのは、主演した映画を中国の人達が受け入れたことから始まったようですね。
この映画は復讐劇で、劇中で悪者を倒す高倉健さんに中国の人達は自分たちの姿を重ねて見ていたのかもしれません。
『君よ 憤怒の河を渉れ』
孤高の男を演じる高倉健さんがカッコイイんです。
生前、高倉健さんは高倉健さんのファンだという、中国人映画監督のチャン・イーモウさんとコラボ。
『単騎 千里を走る』という映画を作りました。この映画の撮影に密着したドキュメント番組を見ましたが、キャストはなんと一般人。
言葉は違っても常に優しい笑顔で中国人キャストの方達と交流する、高倉健さんの姿が印象的でした。
『単騎 千里を走る』制作ドキュメントでは、素人のキャストの演技でも納得がいくまで何度も撮り直すチャン・イーモウ監督のプロとしての姿勢が映されていました。
チャン・イーモウ監督
・代表作『紅いコーリャン』『初恋の来た道』など
・映画制作には素人を起用することが多い、中国映画界を代表する映画監督
チャン・イーモウ監督にとって高倉健さんはずっと憧れの存在だった。
高倉健さんの死去のニュースを聞き、公式サイトで「あの声と笑顔が目に浮かぶ。現実を信じたくないが、友人が去ってしまい、あるのは悲しみと追悼だけ。どうか天国で幸せであって欲しいと願う」と語った。
中国の映画監督にも尊敬される高倉健さん。チャン・イーモウ監督と映画を作っていく中で、絆ができたのでしょう。
高倉健さんはチャン・イーモウ監督が北京オリンピックの開・閉会式のプロデュースを行った際に、監督に国宝級の日本刀をプレゼントしたという。
また、監督の成功を祈るために大雪の中5、6時間かけて寺院に出向いたということを監督は後から知った。
高倉健さんの心遣いに監督も感動したようです。憧れの存在の高倉健さんが自分を激励してくれたことは、チャン・イーモウ監督の心の財産になったことでしょう。
中国と高倉健さんの関係を見ると、高倉健さんのように、文化や人が国と国の架け橋を繋いでいくことに希望を見出せますね。
日本だけでなく、中国の人々にも尊敬されていた高倉健さん。まさに伝説の人だと思います。
【まとめ】
高倉健さんと中国の関係、興味深いですね。チャン・イーモウ監督とコラボした映画は中国の素朴な一面も見れました。高倉健さん亡き後も、日本で、中国で高倉健さんの名は永く語り継がれていくのだと思います。
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