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【ネタバレ有り】前田敦子さん主演のクロユリ団地のストーリーを解説

ジャパニーズホラーの第一人者である中田秀夫氏の監督作品、クロユリ団地のネタバレ有りのストーリー解説です。完全ネタバレなので見たい方は読まないほうが良いと思います。リングや仄暗い水の底からなど、Jホラーの大御所の監督作品であるクロユリ団地ですから期待は高まります

クロユリ団地の登場人物を解説(ミノルくんに関してのネタバレあり)

ネタバレの無いメインキャスト紹介

二宮明日香役- 前田敦子

家族と共にクロユリ団地に引っ越してきた主人公。
介護士を目指して専門学校に通っています。優しい両親、弟と共に幸せな家庭で過ごしているように見えますが・・・。

笹原忍役 - 成宮寛貴

遺品整理を行う特殊清掃員。クロユリ団地で起きた孤独死をきっかけに二宮明日香と出会います。
笹原自身もトラウマとなる事件があり、クロユリ団地の一件に関わっていくことになります。

ネタバレしながら登場人物解説

ミノル / 木下稔役 - 田中奏生

クロユリ団地に住む少年。
引っ越してきた二宮明日香と仲良くなります。いつも一人で遊んでいるように見えますが・・・。
ネタバレになりますが、クロユリ団地で起きた事件で、すでに亡くなっています。この少年がメインキャストの2人を不幸へと導くことになります。

二宮勲役 - 勝村政信

明日香の父親であり、おそらくはサラリーマン。幸せな家庭を築いている父親風ではあるが違和感が・・・。
その違和感をネタバレしてしまうと下を見る楽しみが減ってしまうので後ほど解説します。

二宮佐智子役 - 西田尚美

優しい母親。毎朝しっかりと食事を用意してくれる専業主婦。近々予定している旅行を気にしており、お父さんにスケジュールを確認しています。

二宮聡役- 佐藤瑠生亮

明日香の弟。新年度から小学生に上がる、可愛い弟であり、明日香とも仲良し。
ネタバレですが、お母さんからプレゼントを貰った明日香に対して「年が近いのに」という台詞を発します。専門学校に通う明日香に対して小学生に上がる聡とは随分年が違うはずなのですが・・・?

クロユリ団地のあらすじ(ネタバレ有)

ネタバレのないストーリー解説(映画サイトからの引用)

老朽化したクロユリ団地へと移り住んできた明日香(前田敦子)は、隣室から聞こえる何かを引っかくような音にへきえきしていた。ある日、鳴りやまない目覚まし時計の音を発端に、隣室で亡くなっている老人を見つけてしまう。

出典:http://movies.yahoo.co.jp

それを機に周囲で頻発する怪現象に対する恐怖、老人を救えなかったという罪悪感から、精神的疲労を募らせていく明日香。老人が何かを伝えようとして音を立てていたのではないかと思った彼女は、遺品整理で隣室を訪れる特殊清掃員・笹原(成宮寛貴)とその真意を探ろうとするが。

出典:http://movies.yahoo.co.jp

ストーリー解説・序盤編(ネタバレ有)

家族とともにクロユリ団地に引っ越してきた二宮明日香(前田敦子)。父と母、春から小学生になる弟の4人家族です。
明日香は介護士を目指し4月から学校に通い始める予定になっています。母からお隣への挨拶を頼まれた明日香は菓子折りを持ってお隣に出向きましたが、反応はありません。仕方なく明日香はドアノブに菓子折りを下げて家に帰るのでした。

片づけがひと段落した後、明日香は家の外に散歩に出かけます。そこで砂場で遊ぶ少年と出会います。その少年はミノルと言いますが、少々おかしな言動があるのです。住んでいる部屋は明日香の隣の家、お祖父さんとの二人暮らしとのことです。
翌朝、早くからけたたましい目覚ましの音で明日香は目覚めます。どうやら隣の家のようです。本来起きる時間ではないので、非常に迷惑している明日香ですが目覚ましの音とは別の音も聞こえてくるのが気になりました。

目覚ましによる騒音の話と、聞こえてくるなぞの音について家族に話した明日香でしたが、家族にはその音は聞こえていない様子。
一家は相変わらず連休の旅行について話すほど平和な日常を送っていました。
しかし、相変わらず聞こえてくる奇妙な音と、専門学校の友人からクロユリ団地の恐ろしいウワサを聞いた明日香は不安を募らせていきます。

明日香は介護の職を目指していることもあり、全く音沙汰のない隣のおじいさんの所在が気になっていました。
ある日、お隣を訪ねてみると孤独死したおじいさんの姿が。
おじいさんの亡くなっていた姿はかなり奇妙で、壁に向かって座り込み右手で壁を引っかいたような無数の痕が残っていました。

明日香が翌日、隣の家を訪ねると遺品整理の業者が片づけをしている最中でした。ここで明日香は一人の若者、笹原(成宮寛貴)と出会います。笹原は明日香にできるだけ隣の家に近づかないよう注意をします。確かに孤独死をした部屋に近づくことはあまり良いことではありませんし、明日香は第一発見者です。

クロユリ団地の結末・ネタバレ

ネタバレ・中盤の見所

ストーリーが進むにつれ、徐々に混乱していく中、明日香はミノルを家に招き一緒に遊ぶ約束をします。
そして、ミノルが家に訪れたとたんに壁がひび割れ始めました。

時間がたつと壁に入ったひびは消えました。
その日の夜、明日香は不吉な夢で目を覚まします。
明日香は孤独死したとなりのおじいさんの家にいるのです。そのおじいさんは壁を引っかいたあとに明日香に一言「お前も死ぬ」とささやくのです。

不気味な出来事が続き、疲労がたまっている中、介護の授業中に再びおじいさんが現れ「お前も死ぬ」と再度宣告されます。
パニックに陥った明日香は自宅に跳び戻りますが、自宅には誰もいません。

そこで明日香は思い出すのです。
「自分に家族はいないことを」

明日香の家族は全員、十数年前に旅行中のバスの中で事故死していたのです。

そうです、今までの家族の風景は全て明日香の頭の中だけの世界だったのです。すでに亡くなっていた家族、その事故の生き残りである自分、認めることができずに家族との生活を描いていたのかクロユリ団地がそうさせたのかは分かりません。
良くないものを感じた笹原は知り合いの霊媒師を呼びます。それによると異変の原因はおじいさんではなく、ミノルでした。
ミノルは13年前にクロユリ団地で起きた事故で亡くなっていたのです。

ネタバレ・結末へ

ミノルを成仏させなければ身の危険は去らない、という事実は動かしがたく、霊媒師はお祓いをすることにします。その間、明日香は何があっても家のドアを開けてはいけないと念を押されます。心配な笹原は明日香のそばにいることにし、不安な時間を共有します。

ミノルはやはり部屋に来ます、その前に部屋で遊ぼうと約束をしていたからです。明日香は断り、帰るよう促します。するとミノルは明日香の家族に変化し、自分だけ生き残ったことを責めるのです。

それでもドアを開けない明日香ですが、ミノルは笹原に対しての精神攻撃に切り替えます。そう、笹原にもトラウマがあるのです。自身の運転する車での事故で婚約者を植物状態にしてしまったこと、それを婚約者の父に責め続けられていること、ドアの外には婚約者が立っています。耐え切れない笹原はドアを開けてしまいます。

明日香の目の前で床に引きずりこまれる笹原、どうやら別の場所に繋がっているようです。
笹原は焼却炉にいます、このままでは焼かれてしまうのは間違いない、助けを求めて叫びますがその声は誰にも届きません。

明日香の面倒を見ていた親戚に連れられクロユリ団地を後にすることになります。明日香の心は事故にあう前まで戻ってしまいました。正気に戻ることは無いのだろうと暗示させ、物語は終わります。結局のところミノルの怨念は霊媒師を倒し、笹原を殺し、明日香を壊してしまいました。

クロユリ団地の設定・ネタバレ有り

クロユリ団地には序盤から結末に向けての伏線がいくつか張られています。違和感という形で気付くと思いますが、解説をしてみたいと思います。
ストーリーのネタバレ程度なら映画を見る楽しみは残りますが、これからは設定や考察もネタバレしていくので、見たい方は読まない方が良いと思います。

同じ会話をする家族

これは早い段階で気付くと思いますが、上のストーリーネタバレで書いたとおり、家族は最初から存在していません。旅行に行く際の事故で亡くなっています。明日香が家族としている会話は旅行前の会話を繰り返しているだけなのです。

母親から時計を貰うシーン、弟の発言も見えやすい伏線です。時計を貰った明日香に対して自分も欲しいという弟、「年もそんなに変わらない」という発言です。おかしいですよね、明日香は20歳近く、弟は小学生に上がる直前です。ませた男の子が言いそうな台詞回しで違和感を消しているのです。

カメラワーク的に言えば、明日香と他の家族はほとんど一緒に映らないはずです。明日香は大体一人で話しますが、3人は一緒に話しています。すでに住む世界が違うことが表されているのですね。

隣のお年寄りの不気味さ

序盤からお年寄りはノックにも反応しなかったり目覚ましを鳴らしたりと不気味な人物として描かれます。明日香が部屋に入った際には薄暗く汚れた室内を見せることで視聴者にも不気味な人物として認識を植えつけます。
結果的に孤独死しているのですが、思い出してください。明日香がミノルと出会った際にお祖父さんと二人暮らしと言っているのです。(上のネタバレ有りの解説に記載あり)

つまり、お祖父さんは孤独の寂しさからミノルを部屋に入れたのでしょう。そしてミノルにより死を迎えます。ドアを開ける、ミノルと接触することにより死に近づくことに気付いたときにはすでに遅かったのでしょうね。
明日香に対してはお前も死ぬ(このままでは)という警告を与えますがこれも不気味さの演出にプラスになっています。実はお祖父さんは味方です。明日香を死なせないための警告を与える人物なのです。

明日香はいつ、心が壊れたのか?

クロユリ団地に引っ越してきた明日香ですが、その前は親戚の家にいたはずです。親戚が映画のラスト近くでそのように話していたと記憶しています。
親戚が一人で引越しすることを認めた、ということは明日香は事故のショックから立ち直り、介護士を目指して勉強しようと未来へと歩き出していたという解釈が可能です。しかしクロユリ団地に引っ越してきた明日香はすでに家族との会話を始めています。これには2つの解釈が可能です。
①明日香は親戚の前では隠していたがいつも頭の中で亡くなった家族と会話していた。
②クロユリ団地が持つ負の力が団地に入った人間に作用する為、明日香は引越し直後から心が壊れてしまった。

おそらく②の解釈が妥当だと思います。クロユリ団地というよりもミノルの持つ負の力が作用するのでしょう。特にトラウマになる事件や事故を持っている人間はその影響を強く受け、ミノルを呼び込んでしまうと考えられます。最後にはクロユリ団地の住人ではない笹原も飲み込んだことから、団地に入った人間ならば影響下におけることが分かります。

霊は自分の気持ちを理解してくれる人間に取り憑くとも言われています。トラウマは取り憑きやすい弱点のようなもの、明日香と笹原は愛する人間を失っているだけにつけ込まれ易かったのでしょうね。
おそらくはミノルが見えない、取り憑けない住人の方が多いのでしょう。そうでなければクロユリ団地はあっという間に誰一人いなくなりますから。

蛇足のネタバレ・ミノルはモンスター?

結末近くまではミノルは事故によりクロユリ団地に縛り付けられてしまった哀れな男の子にも見えるのです。本人は寂しさから他人を取り込んでしまう、しかし意識はしていない。これならば霊媒師のお祓いにより成仏ができたはずなのです。

ストーリーのネタバレにも書いていますがミノルはお祓い以降本性を表します。霊媒師は血を吐いて倒れ、部屋の中に入る明日香と笹原に対しては精神的なプレッシャーを掛け続けます。つまりミノルは自分の意思で犠牲者を増やし続けているわけです。

ラスト近くのミノルはモンスターになってしまい、それまでクロユリ団地が持っていた暗さや物悲しさを吹き飛ばします。ネタバレ的に言えばラストをどう読み取るかで感想は全く変わるのです。
受け入れられる方なら面白い、受け入れられないならラストがつまらない映画になるでしょう。

クロユリ団地の続編は?ドラマのネタバレについて

クロユリ団地には続編はありません。作らない方が懸命だと思います。しかし前日譚は存在します。
ドラマで描かれるクロユリ団地~序章~です。ミノルがモンスターになった理由がしっかりと描かれています。

ドラマ版についてはネタバレやストーリーの解説はやめておきましょう。これから先はご自身の目で確かめてください。個人的には前田敦子さんの演技は評価できると思いますし、それほど目新しいストーリーではありませんがそれなりに楽しめる映画でした。
ドラマと合わせて楽しめますので、土日などに一気に見るのもいいのでは?

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