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2023/12/28
大今里
『ギブス』とは椎名林檎さんの通算5枚目のシングルで、初めてバラードとしてシングル発表された楽曲でした。
実は19歳のデビュー当時からライブでは演奏されていたので、ファンの間では知られた名曲だったのですが、椎名林檎さんが17歳当時に付き合っていた彼氏に向けて書かれたものであることを本人もラジオで公表しています。
うらやましい彼氏ですね。
椎名林檎さんの関係者やファンの間でも、この『ギブス』に対する評価は高く、長年愛され続けている名曲です。
17歳でこの歌詞にこのメロディーライン、やはり天才ですね。
椎名林檎 - ギブス
椎名林檎さんの『ギブス』、そのPVがラブソングとは少しかけ離れた世界観のもので、見入ってしまいます。
椎名林檎さん、異様に低い位置のギターがかっこいいです。写りきれていない程です。
宗教色が強い、ちょっと暗い出だしから始まりますが、これはゴルゴダの丘をイメージしたものでしょうか。
サビでは目を見開いて、イッちゃってる表情です。
後半には白目を向いて倒れるシーンもあり、椎名林檎さんはこういった歪んだ表情も平気で見せることができる方で、帰国子女に多いパターンですよね。(実際、椎名林檎さんは3ヶ月ほどだそうですが、イギリスにホームステイしていたことがあるようです。)
それでも、もちろんお美しいです。
お美しいからこそできるのです。
Aメロ、Bメロの優しい歌声は、椎名林檎さんの17歳当時の面影を見せるような可愛らしくはかなげで守ってあげたくなるような、他の楽曲にはない魅力的なエンジェルボイスです。
椎名林檎さんのOFFICIAL VEVO CHANNELぜひチェックしてみてください。
『ギブス』というタイトルについてですが、上述しましたように、この『ギブス』という楽曲は椎名林檎さんが17歳の時に付き合っていた彼氏に向けて書いたものです。
17歳の頃の恋愛と言うと、焼きもちや束縛など、若々しいからこその未熟な形の恋愛である場合が多いです。
そういった束縛と言うか拘束感というものを、タイトルの『ギブス』に込めたのではないでしょうか。
歌詞の中には『ギブス』という言葉は出てきませんので、あくまでも全体を通して聞いてみての印象です。
椎名林檎さんの楽曲には、この『ギブス』のようにタイトル名が歌詞に出てこない作品がかなり多くあります。
椎名林檎さんの曲をかけて、そのタイトルを当てるというのは結構盛り上がると思いますよ。
『ギブス』の歌詞は、いかにも17歳の女の子のような幼さや未熟さは残しつつ、大人じみた表現もふんだんという、実に女性らしい魅力的な内容です。
まず、出だしの部分では、このカップルは男の子が写真を撮りたがり、女の子の方がそれを嫌がっているのだなというのが分かります。
「だって写真になっちゃえば あたしが古くなるじゃない」
という表現は、いつまでも若くて綺麗な青春時代の自分を残したいというのではなく、いつしか思い出は古くなって色あせてしまうという、物悲しさを女子高生ながらに感じていたのだなと、その感性に改めて驚かされます。
そして、男の子は「絶対」や「ずっと」などと言う言葉を軽々しく言ってしまう、女の子はそれを冷静に受け止めている。切ないですね。
2番の歌詞にはカート・コバーンとコートニー・ラブが出てきます。これは、当時の彼がニルヴァーナが好きだったためだと椎名林檎さんは公言しています。(彼の影響で聞いてはいたものの、特に好きということはなかったとのことです。)
なんだか椎名林檎さんの思い出がギュッと詰まった、ストーリー性の高い歌詞で改めて凄味を感じる名曲です。悟りきった、達観した大人が書いた歌詞にしか思えません。
『ギブス』が収録されているのは、「勝訴ストリップ」というアルバムです。
『ギブス』以外にもシングル曲としては『本能』と『罪と罰』が収録されていて、かなり激しめの女性の感情が爆発したできばえです。
オリコン週間チャート1位を獲得したアルバムで、ミュージックビデオもあります。
ファンでなくとも必聴です。
Ms.OOJA / ギブス PV(向山志穂主演)
『ギブス』は様々な人がカバーしています。
このPVはMs.OOJAさんのカバーです。
他にもJUJUさんや、アメリカの歌手マリエ・ディグビーさんらもカバー曲を発表しています。
小田和正さんもかつてテレビの特番でカバーしました。(こちらは楽曲として発表はされていません。)
カバーされるというのは名曲の宿命ですね。
椎名林檎さんの『ギブス』はアレンジャーとして、そしてベーシストとしてこの曲に携わった亀田誠治さんが、ご自身の葬儀の時には是非BGMにこの楽曲をかけてほしいと言ったほどだそうで、ファンからも大変愛されている名バラードです。
もしも、まだちゃんと聞いたことがないという方は、是非この機会にチェックしてみてください。
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