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2023/12/28
大今里
エンタメ130350
2017/12/06 更新
今さら聞けない上田文人氏の新作「人喰いの大鷲トリコ」の魅力とは？
2018年に「ワンダと巨像」のPS4リマスター版が発売されます。本作を手掛けた上田文人氏は2016年に発表から7年の月日を経て、「人喰いの大鷲トリコ」を発表しました。この「人喰いの大鷲トリコ」とはどんな魅力のある作品なのでしょうか？
後ろにいるこの鳥なのか、犬なのかも分からない独特の風貌をした怪物。この怪物こそが本作の主人公（右）の相棒の大鷲「トリコ」です。
『人喰いの大鷲トリコ』紹介映像
2016年12月6日にPS4で発売されたアクションアドベンチャーゲーム。プレイヤーの「少年」を操作し、「トリコ」という名の大鷲と協力して、「大鷲の巣」と呼ばれる遺跡から脱出するという内容です。「ICO」「ワンダと巨像」で世界で評価された上田文人氏の最新作です。
ICO
2001年12月6日にPS2で発売され、2011年9月22日にPS3に移植されたアクションアドベンチャーゲーム。生贄として岸壁にそびえ立つ無人の古城「霧の城」へ連れていかれたイコ。彼は城の北側にある塔で異なる言語で話す少女、「ヨルダ」と出会い、ヨルダを引き連れ、霧の城からの脱出を目指します。宮部みゆきによる小説が出版されています。
ワンダと巨像
2005年10月27日にPS2で発売され、2011年9月22日にPS3に移植されたアクションアドベンチャーゲーム。青年ワンダは死んでしまった大切な人を蘇らせるべく、禁断の地へと踏み入れ、次々と巨像を倒していきます。巨像との闘いと移動以外の要素を極力排除したゲームシステムが特徴です。前作の「ICO」同様、世界的に評価され、米タイムス誌の「歴史上最も偉大なゲーム100本」に選ばれました。
本作は2009年に正式発表され、2011年発売だったものの、技術的な問題から「発売未定」となってしまいました。しかしその後、紆余曲折を経て、2016年に発売されました。
本作の謎解きはとても骨があります。あらゆる場所を探り、仕掛けの法則性を見つけるというデザインとなっていますし、きまぐれな相棒の大鷲「トリコ」の協力が必要なデザインだからです。
例えば少年が登れないくらいの高所には、大鷲トリコの体躯とジャンプを利用したりすることで、道を切り開いたりします。この他にもさまざまなギミックがありますが、詳しくはゲーム本編で体感してみてください。
これだけではヒントがないと思われるでしょう。しかし、ちゃんとヒントは表示されます。ユニークなことに、このヒントの出し方が主人公の「回想」となっているのです。
このように、初心者への配慮もなされているので、その点も安心です。
ユニークなのは、ゲーム中で初めて遭遇する種類の謎解きの場面だったり、しばらく進行に行き詰まったりしたときにも、この”回想”という形でヒントを与えてくれる趣向だ。すべてを体験した未来の主人公がこの冒険を思い出し、「先に進むために、私は○○することにした」といった具合に指針を示してくれるのである。
今作のストーリーも非常に魅力的です。内容は冒頭でも述べたように、大鷲の「トリコ」と少年の「大鷲の巣」からの脱出劇です。道中にはときどき、邪悪な大鷲などの敵や大きな障害が現れたりするものの、基本的には淡々とした展開です。
ところが不思議なことに、この静けさが最後の感動へとつながるのです。理由は、少年と大鷲トリコの絆の深まりを描いた描写、そして演出です。
さらには、大鷲のトリコという存在も理由の1つです。
本作における最大の魅力は，トリコを完全に独立した，実在感のある生き物として描くことにより，ゲームを進めるなかで，コントローラを通してトリコとの「絆」のようなものが感じられるということ。一緒に旅を続けて，クライマックスを迎えられたときの嬉しさは，格別なものだった。
本作のトレードマークである相棒の大鷲のトリコ。画像を見れば分かる通り、キメラのような怪物でありながら、どことなく愛着のわく姿が特徴的です。
猫のようにしなやかなボディとしっぽ、大鷲ならでは鷲掴みできそうな脚に嘴、犬を彷彿させる毛並み。これらは全部ペットの可愛さが詰まった特徴です。
本作のゲームデザイナー上田文人氏は
現実の世界にいて普段から触れている犬や猫、鳥を取り込むことで意外性を出すことができ、最終的にはビジュアルとしておもしろいものになるかなと考えました。
と語っています。
このように、トリコという大鷲には現実にいる身近な動物の可愛らしさが詰め込まれているのです、ペットを飼っている人なら、一層愛着がわくでしょう。
いかがでしたでしょうか？ちょっと難しい謎解き、感動的な大鷲のトリコとの絆を描いたストーリー、親近感のわくデザインの大鷲のトリコ、この3点が大きな魅力となっているのが本作、「人喰いの大鷲トリコ」なのです。
来年には上田文人氏の「ワンダと巨像」のPS4リマスター版が発売される予定です。この機会に、「トリコと少年の絆」をプレイしてみてはいかがでしょうか？
