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【落語】やっぱり弟子も凄かった!立川談志の育てた愛弟子たち

2011年の11月に亡くなった立川流家元、立川談志。その破天荒な生き様は、多くの人に知られているところ。落語界だけでなく、後のお笑い界にも影響を与えたと言われる立川談志とは?彼の育てた愛弟子とは?立川談志一門の魅力をその弟子たちとともにご紹介いたします。

毀誉褒貶の激しい落語家・立川談志とは?

立川談志

1936年1月2日生まれ。東京府小石川区(現:文京区)出身。
2011年11月21日に喉頭癌の為、死去。

16歳の時に、柳家小さん一門に入門し、若い頃より頭角をめきめきと表します。
また落語のみならず、スタンダップコメディや漫談などにも精通し、マルチな才能を発揮しました。1963年の真打ち昇進とともに、立川談志を襲名。

本筋の落語とは別に、政治批評や文明批判を交えた「長い枕」が特徴。時に放送コードギリギリを攻めるその独特のスタイルは落語界だけでなく、後のお笑い界にも多大なる影響を与えました。

今でも残る数々の立川談志伝説

たくさんの破天荒エピソードを残されている立川談志さん。一体どこからどこまでが本当なのかわからなくなるほど、ぶっ飛んだ内容ばかり。今回はその一部をご紹介いたします。


① 若い頃、先代の5代目三遊亭圓楽と海に行った際、途中圓楽が溺れてしまった。それを見ていた談志は、「このまま自分が助けに行ってふたりとも溺れて死んでしまえば今の落語界が終わってしまう」と思い助けなかった。

② 電車に乗車中、友達との話に夢中になって泣く子供をほったらかしにしていた母親に向かって「そのガキ、絞め殺せ」と叫んだ。

③立川談志が高座で落語中、居眠りしていた観客が退出させた。その後日、その観客から訴えられてしまう。

④ 睡眠薬を大量に飲むのが好き。特に立川談志のおすすめは、睡眠薬をちびちびとかじりながらお酒を飲むことだという。

⑤ その昔、ワイドショーに出演した際に「市中引回し・仇討ちを復活させねーとだめだ」と発言。後に視聴者から「野蛮極まる」とクレームが殺到した。


上記にご紹介したのは、立川談志伝説のほんの一部ですが、その一部だけを切り取ってみても立川談志さんの枠に収まらない生き様があらわれているように思えます。

プロデューサーとしても優秀だった?あの名番組も立川談志が作った!

今や日本のご長寿番組となった「笑点」。
実はこの番組も、立川談志さんが企画して作られたもの。
立川談志さんご本人が生前「笑点ってのは、俺が作った傑作なんだ」と言うとおり、
今やお茶の間の誰もが知っている大人気番組となりました。

また立川談志さん自身、初代笑点メンバーの一人で司会をされていました。
落語家としてだけでなく、プロデューサー、制作者としても大変優秀だったということがお分かりいただけるかと思います。

立川談志の育てた愛弟子たち その1

立川志の輔

1954年2月15日生まれ。富山県新湊市(現:射水市)出身。
大学時代は落語研究会に所属。
卒業後、劇団などで演技の勉強をしていたところ、知り合いの広告代理店関係者に誘われて入社。
しかし、どうしても落語への情熱が忘れられず広告代理店を退職し1983年立川談志一門に入門。

1990年に真打ち昇進。TVのレポーターや、司会業もこなし落語だけでなくマルチな活躍を見せています。

古典から新作落語まで、幅広く魅せる名人芸

愛弟子の一人、立川志の輔さんの落語の特徴は、やはり古典落語を演じていても現代に通じるような斬新な解釈を取り入れているところかと思います。
また大学時代に演劇を学んでいたということもあり、演劇的要素も含まれており落語初心者の方でも安心してご覧いただけます。

また、師匠の立川談志さんとは違い、弟子である志の輔さんは、新作落語の創作にも意欲的に活動されており、「みどりの窓口」や「バールのようなもの」は有名です。

立川談志の愛弟子たち その2

立川談春

1966年6月27日生まれ。東京都板橋区出身。
17歳で立川談志一門に入門。1997年に真打昇進。

立川談志の高座を見たときに感銘を受け、以降、落語よりも立川談志のファンになります。
落語にのめり込む前は、競艇選手を目指していましたが身長制限のため断念します。
落語家である今も、競艇は大好きで、競艇ナビゲーターとして競艇番組に出演したり、競艇関係の新聞や雑誌にコラムも寄稿しています。

古典落語を得意とし、過去の名人にも勝るとも劣らない実力は絶品。

談志も絶賛!古典落語を聞かせる腕前は超一流

「下町ロケット」で俳優としても活躍し、「赤めだか」では作家としての才能も見せた立川談春さん。立川流のお弟子さんたちの中でも、特に古典落語の評価が高くその実力は折り紙付きです。
自分が「本当に良い」と思ったものしか褒めることがない立川談志さんが、談春さんの「包丁」を評して、「俺より上手い」と言わしめたほどの実力です。

役者や作家としての人気、そしてもちろん落語の実力も相まって、チケットは即日完売。今では最もチケットの取りにくい落語家の一人と言われています。

立川談志の愛弟子たち その3

立川志らく

1963年8月16日生まれ。東京都世田谷区出身。
1985年10月に立川談志一門に入門。1995年に真打に昇進。

中学生の頃より落語にはまり、志らくさんの父も落語ファンであったため、父の持っていた本やレコードを聞いて落語にのめり込みました。
また映画も好きで、映画専門誌にコラムを連載する一方、1997年には「異常暮色」で映画監督としてもデビューされています。

弟子時代、前座という駆け出しの時期であるにもかかわらず、立川談志さんから命じられた「築地市場での修行」を拒否したことがあり、後に立川談志さんから「俺に逆らって売れた弟子は志らく位だ」と言われたというエピソードがあります。

インテリイメージとは違う?鬼気迫る落語は師匠譲り!!

ワイドショーのコメンテーターや映画雑誌へのエッセイの連載など知識人としての顔も見せる立川志らくさんですが、高座での志らくさんはちょっとイメージとは違うようです。

過去には「“超”放送禁止落語界」と銘打った寄席を開催し、テレビでは放送出来ないような過激な内容を連発し某団体からお叱りのクレームを入れられることもあったとか。
まるで生前の談志さんの狂気の部分を垣間見ているような気もします。
また、映画好きがこうじてシネマ落語と呼ばれるものも作っており、映画の詳しい方にはたまらない演目となっています。

立川談志の愛弟子たち その4

立川談笑

1965年9月23日生まれ。東京都江東区出身。
1993年2月に立川談志一門に入門。2005年に真打昇進を果たす。

フジテレビ系列で放送中の「とくダネ!」では真打昇進前よりプレゼンターとして出演しており、落語家というよりも朝の顔としてご存知の方も多いはずです。

インターネットをパソコン通信時代から利用しており、NHKのインターネットで話題のコンテンツを紹介する「ザ☆ネットスター!」では、ネットカルチャーから派生する日本のサブカルチャーにも詳しい一面を見せていました。

下ネタだって恐れない!ユニークな落語が魅力

立川談笑さんの落語は、上品な落語を求めていらっしゃる方には少々クセが強すぎると感じられるかもしれません。というのも、演目によってはあからさまな下ネタを挟んできたり、強烈なブラックユーモアを盛り込んだりと非常にユニークな落語だからです。

古典落語を大胆にアレンジして行われる演目は、王道の落語を聞かれたい方には味付けが濃すぎてしまい胃もたれを起こしてしまう可能性もあります。
例えば、古典落語の名作「芝浜」が談笑さんの手にかかると「シャブ浜」というなんとも怪しげなタイトルに。

前述した志らくさんを立川談志さんの「狂気」とするなら、こちらの談笑さんは談志さんの持つ「毒気」を受け継いでいると言ってもいいでしょう。
放送コード等の関係で、あまりテレビなどで高座をお見かけできないのが残念ではありますが、ご興味のある方は是非一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

立川談志の育てた愛弟子たちのまとめ

魅力的な立川談志さんが育て、そして愛したお弟子さんたち。皆さんの目にはどう映りましたか?

もちろん、立川流に所属されていたお弟子さんはこの方だけではございません。それこそ数え上げればキリがないほどたくさん、お弟子さんをとられています。

代表的なところで言えば、お弟子さんの中にはあのビートたけしさんなどもいらっしゃいます。今回挙げさせていただいたお弟子さんは、その数多いお弟子さんの中でも立川流の四天王と呼ばれている方々なのです。


・古典から新作まで初心者にもわかりやすく演じられる、立川志の輔さん。

・鬼気迫る迫力で、談志さんの「狂気」の片鱗を見せる、立川志らくさん。

・古典落語の真髄を味わえる、立川談春さん。

・独特の切り口とユニークな解釈で、「毒気」を漂わせる、立川談笑さん。


数多くのお弟子さんたちの中で、この方々が四天王と呼ばれるほど人気、実力ともに確固たる地位を築かれているのはそれぞれ皆さんの見せる一流の腕に裏打ちされた、独自のスタイルを貫いてこられたからです。
またそんな素敵なお弟子さんたちを見ていると、改めて立川談志さんという落語家の凄さを再認識させられます。

立川談志さん亡き後、誰が「立川談志」という名を受け継ぐのかも気になるところではありますが、今後も立川流から素晴らしい落語家の方々が生まれてくることでしょう。

この記事を読まれて少しでも落語にご興味を持たれた方、また立川流を聞いたことがない方はこの機会に是非一度、立川流の落語に酔いしれてみてはいかがでしょうか。

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