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    いけず石は法律的に違法?京都の知恵で車の侵入や傷を防ぐ!

    いけず石は京都の人が考えた道に大きな石を置くという一種の知恵です。これによって車などで家にぶつかるリスクなどが減ります。今回は、このいけず石について解説していきます。いけず石は法律的に違法ではないのでしょうか。撤去してほしいと言えば撤去できるのでしょうか。

    いけず石って何?法律的に違法なの?

    いけず石は京都の人が考えた道の端に大きな石を置くという一種の知恵です。これによって車などが家の外壁などにぶつかるリスクなどが減ります。

    今回は、このいけず石について解説していきます。いけず石は法律的に違法ではないのでしょうか。撤去してほしいと言えば撤去できるのでしょうか。

    いけず石とは?

    関西方面で広く使われている言葉に、「いけず」という方言があり、「意地悪」の意味があります。「あんた、いけずやな~」などという使い方をします。

    いけず石とは家主が家を車から傷つけられなように道路上に置き、車がそれ以上近づくことを妨害する意地悪な石の意味からこう呼ばれるようになったようです。

    意地悪な石のこと

    いけず石はまさに「意地悪な石」で、通行人や車はいけず石により道幅が狭く感じられ通りにくくなるだけでなく、いけず石に躓いたり、車が傷つけられたりして、全く良いことは一つもありません。

    下手をするといけず石によって、車を擦る程度ではすまない事故の原因にもなりかねません。

    皆いけず石によって意地悪をされている状態になります。

    道の内側を通させない

    いけず石は大抵、角の境界を指し示すように置かれています。石の効果として、道路の角に置き、道路を通る車両がそれ以上建物に近づけないようにすることが挙げられます。

    いけず石が置かれていることで、相手の車は傷が付くけれども、家は傷がつきません。傷がついた車も泣き寝入りのごとくそのまま勝手に走り去っていくしかありません。

    家主は面倒なことに巻き込まれず、家も無事でめでたしめでたしとなるのです。いけず石を置くことはイコール京都人の「こっから先は入らんといてな」という心の声が聞こえてきそうな行為ですね。

    京都人は争いごとを嫌う

    いけず石は、全国で見られる現象ですが、京都の中心部では京都市内だけでも数千箇所を越え、圧倒的に多くみられることからも京都人の気質をよく表している事柄だと言えます。

    そもそも京都の道は基盤の目のようになっていて路地が狭く、車も相当家に近づかないと通れません。通行人や車によって家の壁や敷地が傷つく可能性は日常的にあり、下手をすると、壁がすれるどころか車が家に突っ込む大事故も考えられます。「擦った擦られた」と争いごとが勃発してもなんらおかしくありません。

    そこで、争いごとを嫌う京都人は、いけず石を置くことによりたとえよその車体に傷をつけることになっても自分の土地に入れないようにして無言の抵抗を行っているのです。車を傷つけられた方は、「石にぶつかるほど車体を敷地に近づけた方が悪い」ということになるため、実際トラブルにも発展しません。

    撤去を求める声

    家主にとっては絶大な効果のあるいけず石ではありますが、通行人や車にとっては邪魔でしかないものなので、当然常に撤去を求める声は数多くあがっています。

    実際違法な石は市の道路課に電話で通報すれば撤去となります。

    いけず石は法律的に違法なの?

    家主が勝手に置いたことから京都のあちらこちらでみられるようになったいけず石ですが、法律的には違法になるのでしょうか?

    詳しく見ていきましょう。

    敷地外なら違法

    道路交通法第76条によれば「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。」という定めがあります。

    この法律に則って、自己敷地内ではなく明らかに敷地外の公道に置かれているような悪質ないけず石に対しては、手続きをして違法として損害賠償の対象になりますし、撤去してもらうことも可能でしょう。

    私道なら問題なし

    それに対し、私道や敷地内にいけず石を置いてそれらの領域に踏み込めないようにすることは法律的に違法には当たらず問題はありません。

    セットバック部分は?

    セットバックとは、一定部分の建物を建ててはならない部分のことを指していて、具体的には4m未満の道路を指します。そのままでは防火等の面で十分な道の幅を確保することができないので自分の土地でありながら門や塀なども建てられません。

    セットバック部分には、植木などの私物を置くことも禁じられていますから、当然「いけず石」も置くことはできません。

    いけず石は応用できる!

    いけず石と同じような効果が期待できる別のものに「犬矢来」というものもあります。

    いけず石を置くと犬に放尿されることも多々ありましたが、それを防ぐ目的や、家屋の外壁に沿って踏み込めない領域を作る目的、また泥はねや自然の汚れや傷みなどから外壁を保護する目的、どろぼうが塀をよじ登ることを防ぐ目的、道と家の敷地境界を示す目的などもあります。

    机の角に物を置く

    京都人の知恵の集大成ともいえるこの「いけず石」は、別に石でなくても他のものでも応用することができるようです。

    実際、コミケのような狭い会場に設置された机の角にいけず石を応用し、ある人が半分ウーロン茶が入ったペットボトルを机の角に置いたところ混雑の中それを人が避ける流れが自然と生まれ、机へのぶつかり回数が激変し、机の上に並べている陳列物などが落下することはなかったそうです。

    これは、まさに「いけず石効果」ですよね!

    ガードレールと似てる?

    車両の逸脱の防止等を目的として設けられているいけず石は京都人が自らを守るために作った個人的なガードレールとも言うことができそうです。

    日本で初めて「ガードレール」が設置されたのは、1958年箱根の宮ノ下温泉の近くの交差点だったと記録がありますから意外と最近になって設置されたことがわかります。ちなみにガードレールの凹凸には強度を高める目的があり、その効果はなんと162倍以上にもなります。

    ガードレールは運転手への注意喚起や進行方向を誤認した車両の路外逸脱防止、車両乗員の傷害や車両の破損の最小化、逸脱車両による第三者への人的・物的被害の防止などの目的がありますが、ガードレールがない車道はいまや考えられないですよね。

    はんなりギロリの頼子さんにも登場したいけず石

    WEBコミック「ぜにょん」で連載され、2018年関西テレビ系列でAKB48の京都出身者横山由依主演でドラマ化もされた話題のコミック「はんなりギロリの頼子さん」でもいけず石が登場しました。

    このコミックは、いろいろな観点から京都を紹介していくものですから、いけず石ほど京都人の気質を説明するのにもってこいのものはありませんよね。

    いけずな京都人をコミカルに描く!

    コミックでは、よそ者が嫌いで不愛想 、一見怖そうでイケズ(意地悪)なように見えるけれど実は心優しい“ギロデレ”京女であるたばこ屋の店主・新堂頼子を通じて京都の名所や京都の文化・習慣など京都に関するいろいろな魅力的な面を紹介していす。

    コミックで描かれているいけず石が意地悪すぎる!

    扇子屋さんの娘・有希のお店のいけず石に頼子さんが車を擦ってしまうところから話が始まります。車を降りて抗議をする助手席の山田さんは有希の京都弁のペースにどんどんと巻きこまれていきます。

    「お茶でも飲んでいかはりますか?」などと言われ場がなごんだかのように見えるのですが、京都人である頼子さんからするとそれは、排他的によそ者を拒絶しさっさと帰ってもらう機会を伺っての発言だと見抜かれてしまいます。

    実際お茶でもいただこうと立ち寄ったところで、待てどくらせどいっさいお茶なんか出てこないのが京都というところだそうです。

    京都人とはどんな人!?

    「いけず石」を考案したように独自の考え方や文化を継承している京都人は、他県の人からどのように見られているのでしょうか?

    さっそく見ていきましょう。

    よその県民からも嫌われる京都人

    「大阪」と「京都」は同じ関西で隣接している県なので仲が良くてもおかしくないのですが、実は犬猿の仲だということができます。

    京都はあからさまに身内と「よそ者」を差別しますし、うわべだけを取り繕う言葉でその場をうまくおさめようとするからです。

    また、京都人は歴史的にその昔は都であったことなどから他県を下に見る傾向があり、その下したような京都人の態度が大阪人には鼻についてたまらないのです。

    東京人を敵対している京都人

    京都人は大阪人と一緒にされることをことごとく嫌いますが、ライバル視はしていません。

    あくまでもライバルは東京人です。なぜなら、京都人ははるか昔から首都といえば京都を指しているので、首都を名乗る東京に住む東京人を憎悪しているのです。

    裏表が激しい京都人

    京都人は常に一歩引き相手を立てるので、なかなか本音を言いません。京都人はどこまでも本音を隠し、相手にいけずするのが文化だと心底思っているのです。

    一見とても奥ゆかしいように思いますが、逆に言うと裏表があり、裏では何を考えているのかわからず怖いところがあります。

    ほめ上手な京都人

    本音をなかなか言わない京都人は相手を褒めることがとても上手な人種です。

    隣の家から聞こえてくるピアノがうるさいと思っても、「お上手ですな」などと言ったり、「ぶぶ漬け、いかがどすか?」と言われたら「長居してないで帰れ」の意味があるのだとか。

    非京都人にはなかなかわかりにくい「いけず」ですが、京都人に褒められたら要注意です。それは褒められたのではなく、「察しなさい」なのです。

    排他的な気質な京都人

    京都人は排他的で、あまりよそ者を認めない特徴があります。それは他府県の人をよそ者扱いするだけでなく、、京都の中でも起こり、右京区、西京区、北区、左京区、伏見区の出身者は京都人と認めない人もいるほどなのです。

    京都にあるレストランに良くある「一見様お断り」と初めて来店するお客の入店をお断りするルールにも京都人の排他的な気質から来るものと思われます。

    いけず石は京都人が編み出した知恵の塊だった!

    争いが嫌いで、自己防衛力に長けている京都人から編みだされたいけず石。一見何気なく置かれているように見えるただの石ではありますが、奥深い意味や目的があり風水などは全く関係のないものでした。

    また、いけず石は本音を隠し争いごとを嫌う京都人ならではの気質から編みだされた知恵の塊でもありました。さらに、いけず石は法律的にも公道に置かれているわけではなければ、違法ではありませんでした。塀の角に鉄板を貼ることなどを考えると、石を置くだけで争いごとがさけられるだなんて、なんとも安上がりでさすが京都人という感じです!

    同じ関西でも神戸などではほとんど見かけることがないいけず石。ぜひ、京都を旅して、自分の目でいけず石を見つけながら、いけず石の分布場所を確認してみるのも面白いかもしれません!

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