2015/10/19
envy
寄生獣(マンガ版)
作者:岩明均
掲載紙:
モーニングオープン増刊
月刊アフタヌーン
全64話
発表期間:1988年~1995年
謎の寄生生物と共生することになった、平凡な高校生・新一の数奇な運命を描く。物語の構図は人間の頭に寄生して人間を食べる「寄生生物」側、最初は捕食されるがままであったが後に反撃に転ずる「人間」側、そしてその中間者として存在する「新一とミギー」側という三者によって成立しているが、話の焦点は新一に置かれている。表題の「寄生獣」とは、劇中においては寄生生物の呼称ではなく、地球環境に害をなす人間を意味する単語として物語の終盤に登場する。人間がむごたらしく食い殺されるなど、過激な描写もある一方で、物語の軸には哲学的な主題があり、テーマ性の高さや、意外性のある劇的な展開、物語の世界観などが評価されて熱心なファンを獲得した。
斬新かつ衝撃的、それでいて哲学的という『寄生獣』は映像化のハードルが高く、噂がありながらもなかなか実現しなかったのですが、2014年10月にアニメ化され、同年11月と2015年4月に2部構成で実写映画化されました。
あらすじ
ある日突然、空から人知れず多数の正体不明の生物が飛来する。その生物は鼻腔や耳介から人間の頭に侵入し、脳を含めた頭部全体と置き換わる形で寄生して全身を支配し、超人的な戦闘能力で他の人間を捕食するという性質を持っていた。寄生後の頭部はもはや人間の物ではないが、自在に変形して人間そっくりに擬態する。彼ら「パラサイト(寄生生物)」は高い学習能力で急速に知識や言葉を獲得し、人間社会に紛れ込んでいった。
その日まで平凡な高校生であった泉新一は、1匹のパラサイトに襲撃されるが、間一髪で脳の乗っ取りだけは免れる。パラサイトは新一の右腕に寄生して同化し、右手にちなんで「ミギー」を名乗るようになり、新一とミギーの共生生活が始まる。それと同時期に、他のパラサイトによるミンチ殺人事件が世界中で頻発し始めるが、犯人は不明とされていた。新一は世間に対して真実を明かさなくても良いのかと葛藤するが、ミギーは自己保身のみを考えており宿主である新一以外の人命には興味がないとし、自らの正体を露見させようとするなら新一に危害を加えることもいとわないと主張する。その一方で、新一が死ねば自分も生きられないミギーは、必要であれば新一を他のパラサイトから守るために同類と殺し合うことにも葛藤を抱かない。
しかし、そうした新一とミギーの特殊な関係は他のパラサイトから警戒される。高校教師のパラサイト「田宮良子」や彼女の仲間と敵対することになった新一は、両親が戦いに巻き込まれないことを願うが、彼の母親は新しい宿主を探していたパラサイトに遭遇し、殺害される。新一はパラサイトとなって自宅に現れた母に動揺し、手出しのできないまま心臓を刺し貫かれて致命傷を負うが、ミギーが新一の体内に入って心臓を動かしながら修復することで心肺停止状態から蘇生する。その際、ミギーの寄生細胞が体内へ拡散した影響で超人的な身体能力を獲得した新一は、母親を乗っ取ったパラサイトと再会して復讐を遂げる。しかし、融合による変化は新一の精神面にも現れ、彼を悩ませるようになる。その一方、ミギーも新一との交流を通じて次第に人間の価値観を理解していく。新一のガールフレンドである村野里美は、彼の劇的な変化と変わらない優しさに困惑する。
右手を食われ、寄生されてしまった新一。そりゃ驚きますよね。この後脳も食われそうになりますが、それは何とか阻止します。
ミギーの形態は毎回違い、大きさも自由自在です、序盤の新一は大いに振り回されます、文字通り(笑)
人間に寄生したパラサイト(寄生生物)が人間を捕食するシーン。彼らにとって人間は食料でしかありません。新一とミギーなどは例外なのです。
ただし、パラサイトは不死身でも無敵でもありません。武器も通用しますし、人間である部分の内臓が破壊されれば死亡します。
カラーイラスト。これをかわいいと思える人は少数派だと思います。でも、アイデアはあっても描くのは大変そうですね。
物語中では寄生されていない普通の人間も登場します。ただし、新一とミギーに関わる限り、パラサイトと無縁ではいられません。
この女性はパラサイトでありながら子どもを出産したという物語中でも特殊なキャラクターです。しかし生まれた子どもは普通の人間でした。
圧倒的な力を持ちながら、人間に寄生しなければ生きていけないパラサイト。その関係性は新一の倫理観を揺さぶります。
ギャグのようですが、実際パラサイトに寄生された人間はこうなっています。つまり脳が食われて失われているのです。
必死にパラサイトから逃げる女子高校生。思わぬ反撃が功を奏します。
新一と同じようにパラサイトと共生している宇田守。彼も例外的な存在ですが、新一、ミギーに協力してくれます。見た目はアレですがやさしいキャラです。彼に寄生しているパラサイトは「ジョー」と呼ばれています。
ミギーが人間の良さを語るシーン。なかなか核心を突いていると思います。画像は小さいので、台詞は出典元で確認してみてください。
これまで出会った人間(パラサイト)を思い返す新一。彼の戦いは静かに終わりを告げます。
寄生獣 セイの格率(アニメ)
放送期間:2014年10月~2015年3月
原作:岩明均
放送局:日本テレビ系
監督:清水健一
アニメーション制作:マッドハウス
ここからはアニメ版の画像と動画をまとめてみます。
アニメ版のミギーと新一。アニメでぬるぬる動くと一段と気持ち悪いです(ほめてます)
なかなか遊び心のあるミギー。慣れてしまえばかわいい・・・?
パラサイトに立ち向かうミギーと新一。しかしパラサイトは新一の母親の姿をしていました。
母親の姿に動揺した隙を突かれ、心臓を貫かれてしまう新一。ミギーは強力でも、この時の新一の身体能力はごく普通でした。
パラサイトに心臓を貫かれた新一。しかしミギーの力で心臓を再生します。この後新一は人間を超えた身体能力を手に入れます。
オープニングのラストカット。身体の変化で、眼鏡もいらなくなりました。
アニメ寄生獣OP
アニメOPの一部です。制作はマッドハウス。スタイリッシュにまとめられています。
眼鏡は不要ですが、以前と変わったことを悟られないため眼鏡をかけている新一。周囲の目をかなり警戒しています。でもミギーはあんまり配慮してくれません(笑)
一見普通の犬ですが、血を見ればお分かりの通り・・・
パラサイトに寄生された犬です。パラサイトが寄生するのは人間とは限りません。
襲ってきたパラサイトを倒したミギー。血が生々しいです。
新一とガールフレンドの村野里美、そして同級生の立川裕子。もちろん普通の人間も登場しますが、平和な場面は長く続きません。
思わず「後ろ後ろーっ!」と叫びたくなりますが、この後どうなったかは、ご想像にお任せします・・・
パラサイトに脳を食われているので、こんな形態変化を平気でしてくるキャラばっかりです(汗)なかなか生理的嫌悪感を刺激してくれますね・・・
新一はパラサイトの存在を感知できる少女、加奈と出会います。アニメ版では君嶋加奈という名前になっています。
しかし加奈はパラサイト感知能力を新一と心が通じていると勘違いしてしまい・・・
加奈は新一だと勘違いして遭遇したパラサイトに襲われ、命を落とします。新一は一連の事態を強く後悔します。
こちらも見た目は普通の女教師ですが・・・
パラサイトに寄生された女性、パラサイトとしては比較的高い知性を持っており、かなりの強敵です。
腕を刃物に変形させたパラサイト。よく切れそうですね。
里見と抱き合う新一。戦いにおびえていましたが、このことが新一の生きようとするモチベーションになります。
5体のパラサイトが合体した存在、後藤。新一が敵対する最強のパラサイトです。
捨て身の策で後藤に立ち向かうミギーと新一。しかし惜しくも通用せず、ミギーは新一に逃げろと言います。
ミギーなしで後藤に挑む新一。しかしやはり歯が立ちません。
追い詰められて、後藤の弱点、装甲の隙間に気付いた新一。乾坤一擲の一撃が逆転につながります。
新一の一撃による毒で寄生体の制御を失い、さらにミギーの復活によって体内を破壊された後藤。形勢は一気に逆転します。
ミギーが後藤の首を斬り落とし、制御を失った寄生体が爆散します。こうして長い戦いは終わりました。
殺人鬼、浦上に人質にされてしまった里美。この後ビルから落ちそうになりますが、奇跡的に助かります。
ミギーとの別れのシーン。なぜ犬が出てくるかは本編をご覧ください。
新一に語りかけるミギー。この姿はなんだか愛嬌がありますね。
寄生獣(映画版)
公開:
前編 2014年10月30日
完結編 2015年4月25日
監督:山崎貴
配給:東宝
制作会社:ROBOT
実写映画版の『寄生獣』
アニメよりグロく見えるかと思ったら、意外とそうでもない?
(個人的感想です)
映画『寄生獣』予告編
前編の予告動画です。ミギーがよく動いてます。最近のCG技術はすごいですね。
我が道を行くミギー、映画版でもマイペースです。
竹の矢を構える新一。ミギーの目があるのがポイント
テレビを見ているミギー。この画像ではテレビですが、実は読書家だったりします。
さわやか笑顔の東出昌大さんのキャラも・・・
パラサイトに寄生されてしまうとこうなります。しかし原作のイメージをよく表現してますね。特殊メイクでは不可能な形態変化です。
上の画像の、マンガ版と映画版の同場面の比較。クリーチャー感満点です。
女性型のパラサイトも登場します。こちらは深津絵里さんの演じる田宮良子
政治家も物語に噛んできます。その名は広川剛志(北村一輝さん)。人間でありながらパラサイトに協力します。
広川剛志と後藤(浅野忠信さん)、お互いを利用する関係です。後藤はパラサイトの中でも特に強力な戦闘力を持っています。
両腕を武器化した後藤、邪魔な存在を片っ端から切り裂きます。
映画版の新一(染谷将太さん)と里美(橋下愛さん)。間一髪難を逃れた場面。
自らの生んだ赤ん坊を連れた田宮良子。しかそ母性という感情を最初は持っていませんでした。
夕暮れ時の新一とミギー。奇妙な友情が寄生獣の魅力のひとつです。
映画「寄生獣 完結編」予告編 #Parasyte Final #movie
完結編のPV動画です。派手なアクションが展開されることを予想させます。
寄生獣の画像と動画をまとめてみましたが、いかがでしたか。
この手の重いテーマを扱った作品は、主題がそっちのけになったり、物語が完結しなかったりすることが多いのですが、『寄生獣』に関しては、しっかりテーマを真正面から描いたうえで、比較的自然な形で物語として完結しています。そういう意味ではテーマとエンターテイメントが見事に融合した稀有な例と言えると思います。
この記事に関する記事
キーワードから記事を探す
Copyright© 運営事務局