2017/02/12
斎藤 葵
2015/08/24 更新
最近、アウトドアブームに伴い山ガールに代表されるおしゃれ寄りな服装が流行っていますね。そこで登山の場合の服装について考えてみました。フェスやアウトドア遊びと登山とは全く違うものです。今回は初心者向けに登山での服装について、基本を解説してみましょう。
まずはじめに考えるべきなのは近場でのハイキングやアウトドア遊びと登山とは全く違うものだということをしっかりと理解しなければいけません。ちょっとしたハイキングならば日帰りがほとんどなのでファッション重視のライトな服装でも良いでしょう(その場合でもレインウェアは必ず必要ですが)。しかし、登山の場合は天候や気温を考慮にいれた服装をしなければいけません。山は日が落ちると急に寒くなりますし雨が降ってくることも多いです。変わりやすい天候や気温に対応できるだけの準備が大事になってくるのです。
登山の服装は何を着るかではなく、どういう組み合わせで着るか、ということが大事です。つまり、重ね着が基本ってことですね。山は寒いから分厚いセーターやジャケット、山は暑いからランニングに短パン、とはならないのです。
登山をする際にいくら夏とはいえ軽い服装で行く人は居ないと思いますが、自分が思ったよりもしっかりとした準備をしたほうが間違いないです。ザックに収まる程度で装備を用意するのは基本です。そもそもセーターやフリースがあるからといって下は普通のTシャツで良いとはなりません。
脱ぎ着を繰り返す登山では、ベースレイヤー(アンダーウェア、下着)、ミッドレイヤー(中間着)、アウターレイヤー(アウターウェア)の3つのレイヤーに分け、トータルに服装を考える必要があります。少し寒い時は一枚着て、もうちょっと寒くなったらもう一枚。その時その時のシチュエーションにあわせて服を脱ぎ着し、体温をベストな状態に調節する必要があります。
登山は天候に左右されるものですから、状況を予想して服装を決めることが大事です。しかも、変わりやすい状況のなかでベストな服装をする必要があるので、基本を押さえることは大事なのです。
肌着は吸湿速乾性(汗を吸い出す)が高いのが大前提です。その上にいくつか特徴があります
素材で分けると、保温するものと、体温コントロール(冷涼)するものとあります。安全面・快適性を両立させるためにアンダーウェアに気をつかいましょう
季節や温度によってアンダーウェアは変えるのが良いでしょう。それぞれ良いものが専門店には揃えられているのでおろそかにせず選びたいところです。
大量に汗をかく登山では、汗を素早く吸収拡散させて肌を常にドライに保ち、汗冷えを防ぐことが重要。ミドルレイヤー(行動着)の下に、速乾性を備えた高機能アンダーウェアを着用するのが基本です。
やはり汗による体温の変化は避けなければいけません。体の中から冷えてしまうと温めるのが難しくなります。冬でも重ね着して歩き続ければ汗をかきます。今では速乾性の高いウェアもたくさんありますのでそういったものも用意したいですね。
ミッドレイヤーは暖かければ何でも良いかというと、そうではありません。サンドイッチの中身はけっこう好みが分かれますよね。つまりチョイスが重要ですし、アンダーとアウターの着合わせを常に考えて選んだほうがよいのです。ちなみに、ミッドは2枚でも3枚でもOK。3レイヤーというのはたんなる分類の話です。
2層目というのはミッドレイヤーと言われます。中間に着る服装ですね。
運動量の多い登山では、汗をかいても素早く乾く、動きやすいウェアが適しています。暑くなったら首元を開けて温度調整ができる、シャツやジップシャツがおすすめ。紫外線や寒さ、虫などから肌を守れるよう長袖が良いでしょう。また、長時間休憩する時は、汗冷えしてしまう前に「保温着」を一枚羽織りましょう。
2層目は羽織り物です。通気性の高いシャツなど機能性の高い服装がオススメです。夏山の登山では2層目が一番外に出る場合もありますので、シチュエーションに合わせた服装を選ぶことは大事ですね。
ハードシェルジャケット
雨具やオーバージャケットには、ゴアテックスなどの防水素材がラミネートされていますが、このような完全防水ウェアをハードシェルと呼びます。通常夏山ですと、レインジャケット&パンツを持っていますので、これがアウターです。
天候が変わりやすい登山ではアウターの選択は重要です。途中まで良い服装だったのにアウターで失敗することもありますので気をつけたいですね。しかも登山の服装でオシャレ感を出す場合はアウターは重要ですから機能ももちろん、デザインも良いものを選びたいものです。
ソフトシェルジャケット
ハードシェルに対して、防水性は低いけど、アウターとして防風・耐風性、撥水性などに優れ、通気性・動きやすさを重視しているのがソフトシェルです。裏側が透けてみえるほどの薄いナイロンシェルから、フリース生地が張り合わされた分厚いジャケットまで様々です
極寒の冬山などはダウンジャケットがアウターとして活躍します。レイヤードした状態でアウターを着る場合はダウンジャケットが不要な場合も多いので、山の気温や状態を考慮した服装をするのが重要です。
晴れていてもレインウェアは上下セットで必ず持って行きましょう。肌寒い時にはウインドブレーカーとして使用できます。山で身体を濡らすことは低体温症の危険を伴います。また、行動中にかいた汗がスムーズに外に排出されず、雨具を着ていたのに中の衣類が濡れる、ということがあるので、蒸れを逃す機能も大切。
レインウェアは登山の際の服装として選ぶものではなく、雨などの水濡れによる温度低下を防ぐために用意しておくものです。かと言ってコンビニのポンチョなどではダメです。登山には登山の服装があるのでそれに対応したものを選んでおきましょう。
女性の場合、スカートという選択肢もありますね。可愛いデザインでオシャレですが登山の服装としてはちょっと心もとないです。タイツやスパッツの上にはやはりトレッキングパンツを履きましょう。
パンツを選ぶ際には自分がどんなアクティビティがメインなのかを考慮したうえで選ぶことが重要です。例えばクライミングなどの動きが多いアクティビティであれば身体の動きを妨げない軽さと伸縮性が求められますが、夏のハイキング程度ならば、何よりも求められるのは肌をドライに保つ通気性と速乾性です。また沢登りでは濡れることも登攀要素も多いアクティビティのため、その両方が求められます。
ハードウェアのセットアップになっているものもあるので、迷ったらそれでも良いと思います。服装としての統一感もありますし、機能的に上と同じなのでいちいち別に考えるよりも楽です。登山の服装選びは初心者にとっては考えることが多く、迷いがちだと思います。服装選びで疲れてしまっては本末転倒ですから、寒くなくて通気性が高い、防水機能もあるなどある程度絞って選んでも良いでしょう。
登山用タイツ・スパッツには2つのタイプが存在し、それぞれ役割が違うので自分に合ったタイツを使うようにしましょう。試着するのが難しいアイテムなので、間違いの無いように情報収集しておきましょう。
トレッキングパンツの下にはタイツやスパッツを履きますが、それについてもタイプによって選択肢が異なります。登山の服装は自分が求める機能が重要なのでそれを考慮して選びましょう。まずは運動性を高めるサポート系タイツというもの、下半身をしっかりホールドするので長時間の登山でも運動性能を保てます。次はコンプレッションタイツです。これはリンパや血液の流れを意識して、部分ごとに着圧を変える効果をもつものです。疲れを軽減し長時間のウォーキングを実現出来ます。
コットンの服は乾いている時に着用すると快適な素材ですが、その断熱性は濡れると失われてしまいます。またコットン水分を多く吸収しますが、基本的に乾くのに時間がかかるという性質があります。その性質からコットン素材のウェアを登山で着るのは大変危険で、コットンのウェアを着たことで低体温症にかかってしまったと言う事例が過去に沢山あります。
山小屋やテント泊の登山をする人の中には、着替えをする人、着替えをしない人がいます。一泊程度なら着替えなくてもさほど気になりませんが、シャツが雨でずぶぬれになる事も考えられますので、替えのシャツを一枚持っていると安心です。長袖のシャツが一枚あると防寒着にもなるので、予備用のシャツとしてバックパックに忍ばせておくことおすすめします。
行きやすいイメージの富士山ですが、山頂は3000mを越える高山です。服装には十分注意しなければいけませんね。
初心者の方は高価で高機能な商品を買ってしまう傾向にあります。ですので経験と知識を蓄えながら、また熟練の登山者やアウトドアショップの店員にアドバイスをもらったりしながら、本当に必要な物だけど徐々に増やして行く、と言うのがお金も多く使わない賢い方法だと思います。それまでは人に借りたり、あるもので済ましながら登山を続けるのがおすすめです。
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