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三者三様、『デスノート』ラスト等で見る表現の差異(ネタバレ注意)

何だかよくあるような題材をサスペンスにまで昇華した漫画『デスノート』。アニメ化、映画化と映像化もされましたが、ラストも含め「何か違う」と評されるのは世の常。しかしそこは媒体による表現方法の差として『デスノート』を、特にラスト部分を見ていきましょう。

『デスノート』概要

漫画だけでなくどのような形で『デスノート』が展開されたのかをまずは見てみましょう。

2003年『週刊少年ジャンプ』で読み切り掲載。2004年から06年まで連載された。連載版は読み切り版とは違うサスペンス要素が強く、主人公と世界一の探偵による頭脳線や心理戦が描かれていた。2006年、6月と11月にまたがって実写映画化、2015年には日本テレビでドラマ化された。シリーズアニメは2006年から翌7月までの半年間深夜枠で放送。2008年には『ディレクターズカット版』も放送された。

出典:https://ja.wikipedia.org

ドラマ放送まで10年近くかかったんですね。

このような微笑ましい「コラ作品」まで作られるのは『デスノート』が愛される証。漫画も映画もドラマも、ラストに至るまで先が気になったものです。

『デスノート』共通項目

デスノート

こちらが作品のキーアイテム「デスノート」。名前が書かれたら死ぬというこのノート、実は人間ではなく死に神の持ち物なのです。「殺す」対象の名前だけでなく顔も分かっていないと効果がない上、「本名」でないとダメなど、ルールや制限がこと細かく設定されています。切れ端だけでも殺せます。

名前を書いただけだと40秒後に心臓発作、「死因」を書いた場合は実現可能な場合ノートに書かれた通りの死に方をすることになります。

ノートの所有権

デスノートに触った人間には、そのノートに「憑いている」死神の存在を認識することができます。そして、「使う人間」に所有権が移動。所有権は放棄することもでき、その際はデスノートに関する記憶が全て抜けてしまうのですが、ドラマ版ラストではこの設定が生かされたシーンが・・・。

死神

デスノート本来の使用者。「死神界」という所に住んでいますが、たまーに人間界にノートを落としてしまう者もいるとか。画像の「リューク」はわざと落としました。死神界がつまらないという理由で。

実は連中にもいろいろルールがあるという。

死神の目

『デスノート』世界の死神には人間の名前、残り寿命が見えるそうです。死神は人間の「本来生きるはずだった」寿命(個人差あり)を自分のものとするためにデスノートで人間を殺しているわけです。なので個体によっては何百年も生きていたりするわけですが。人間でも「死神の目」に変えてもらう(本名と残り寿命が分かる)取り引きができますが、その場合は残りの寿命を半分差し出さなくてはなりません。原作、映画の月(ライト)は拒否しましたが、ドラマの月はラストで取引を申し出ました。

あらすじ

夜神月がデスノートを拾い、これに悪人の名前を書くことで粛清。敢えて死因を書かずにいたのは、「誰かが悪人を裁いている」と世間に認識させるため。事実月の所業は都市伝説として広まります。が、やっていることは殺人。警察を始め、世界一の探偵Lが「キラ」と名付けられた「悪人を裁く者」の捜査をする、というもの。この原作での基礎を元に、映画版、ドラマ版共に違った展開を見せてくれました。

ドラマ版登場人物

夜神月(やがみ らいと)

ドルオタな予備校生で、デスノートに書かれた「使い方」や「ルール」を英和辞典を使用しながら読み解いていました。原作では全国模試で1位を取り東大にも首席で合格する頭脳の持ち主だったんですが。より人間味を、ということでしょうか。ラストシーンも何だかそんな感じでしたし。ちなみに公務員を目指していますが、父親と同じ警察にだけは入りたくないとのこと。理由は、仕事を理由に家族の臨終に立ち会わなかった父に反発してのことです。

リューク

ウザカワ(個人的にはかわいく思えました)キャラになってました。月の持つデスノートは彼が落としたものです。ラストシーン、いろいろ考えさせてくれますわ、この人。漫画でも映画でもそこまでウザくなかったんですけどね。むしろ不気味でかわいく、しかし決めるところは決めるといった感じで。劇中で「ミサミサの残り寿命を教える」シーン、色んな所から突っ込まれてました。「教えちゃいけないんじゃなかったのかい?」と。

弥海砂(あまね みさ)

キラ崇拝者で「第二のキラ」にもなりました。月が応援するアイドルのメンバーでもあります。通称はミサミサ。原作では押しかけ女房的に月の手助けをする(そして愛情を利用される)アイドル兼女優だったんですが。キラのファンになった理由は、自分の家族を殺した強盗(?)をキラが「裁いて」くれたから。ラストシーン、何か切ないです・・・。

レム

ある事情でミサミサにデスノートを渡し、見守る死神です。漫画でも映画でも「死神のルール」を破って「死ぬ」んですが、ドラマ版では・・・?

L

どんな事件も解決してしまう、世界一の探偵、だそうです。漫画でも映画でも、変わり者で怪しげな天才肌といった感じでしたが、何でかナルシスト(っぽい)キャラに変更。しかも潔癖症なのか服にちょっとゼリーがついたら速攻で着替えたり。ラストのビデオレターはちょっと人間味があったかなー・・・といった印象です。漫画でも映画でもドラマでも死ぬキャラです。

ワタリ

Lとのコンタクト係とのことですが、ドラマの中では実質執事状態でした。漫画版、映画版共にL共々殺されるんですが、ドラマ版では生き残り、ラスト部分にも登場です。名台詞というか口癖がありました。

ニア

「Lの後継者」です。原作だと沈着冷静で優秀な割におもちゃ大好きっ子なキャラ(男性)だったんですが、ドラマでは女優さんが演じてました。かわいいから良し、と見るべきか。二重人格と見せかけて、全部演技だったという衝撃のラスト。色々な意味で衝撃でしたわ、この子。

メロ

ドラマ版『デスノート』で一番変化が激しく、衝撃を与えたキャラは彼です。何故人形・・・。途中から「メロ」はニアの第二人格であるかのような描写がありましたが、演技だったという。漫画でも殺されるし、不憫すぎますわ、メロ。

漫画版メロ。チョコレート大好きっ子で、「永遠の二番手」。「ニアには勝てない」と孤児院を出てマフィアのブレーンになるほどの優秀な子だったんですよ。ラストバトル前に退場しちゃいましたけども。

夜神総一郎(やがみ そういちろう)

月の父親です。漫画版では中盤で退場、映画版ではラストシーンまで生き残っていましたが、このドラマでは自分でデスノートに名前を書いてお亡くなりに。漫画版では息子がキラではないと思ったまま死ねただけまだ幸せ・・・なんでしょうか。ドラマでの彼のラストシーンはモヤモヤが残ります。

夜神粧裕(やがみ さゆ)

月の妹です。漫画では父と兄を失い、映画では兄だけを失い・・・ドラマでは一人ぼっちに。普通の女性学生という印象だっただけにかわいそうなことこの上ないです。全部デスノートっていうかリュークのせいです。

魅上照(みかみ てる)

キラを「神」と崇拝する検事です。展開が漫画と大きく違っており、デスノートを託されたのではなく、横取りする形で使用。「裁き」の際は削除と呟きます。キラを崇拝しているため、寿命の半分を差し出すこともいといません。

少々ゆがんだ正義感の持ち主で、殺人だと分かっていながらもデスノートを使うのです。彼もまたラストバトルの舞台である倉庫に呼び出されていました。「死神の目」でやかいな連中の名前をすべて記すため。所有者だけ寿命が見えないため、「目」を持っている人物にはだれがデスノートの所有者(この場合は、月)か分かるのです。

漫画版『デスノート』ラスト付近

Lの死後、彼の後継を名乗るニアを筆頭にした組織「SPK」が設立されます。L以上に読みの深いニアに、「L」を名乗り活動していた月も焦りを感じるように。そんな折に見つけた「魅上照」にデスノートを渡し、「裁き」をさせるように。そして、ラストバトルへと移行。場所はとある倉庫の中。ニアの作戦は「デスノートに名前を書かせたところを逮捕する」。キラを捕まえればいいというのではなく、キラとLとのプライドをかけ戦いと称し、両者はラストバトルの場面へ・・・。

漫画版ラスト付近。万策尽きた月がリュークに助けを乞いますが、そんな月に失望したのか、リュークは月の名前をデスノートに記します。デスノートの効果をよく知る月だけに、この40秒は非常に長く、恐ろしかったんじゃないでしょうか。この回のラストでは、月の無様な死に顔、真っ暗に暗転したページが見開きで続いてます。「死後の世界なんてない」との暗示です。個人的には信じてますけどね、死後の世界。

しかし、本当のラストシーンではキラを崇拝する人々が列をなし、祈りを捧げていました。その様が何だか荘厳ですらあり、「争いとか下らんわ」といった気になります。

ラストシーンのこの少女、ミサミサ説もありましたが、何らかの形でキラに救われたんでしょう。本当の正義って何だと何だか青臭いことを呟きたくなります。キラ操作をしていた面々は、ニアがLを引き継いでいました。最終話には、それぞれのラストが凝縮して書かれており、それぞれの正義と信念の下に動いていました。

映画版『デスノート』ラスト

漫画版と同じく、月がリュークに「名前を書かれて」殺されてました。この時の月の往生際の悪さ。漫画版よりは多少控えめでしたが、リュークの突き放しっぷりが「ザ・死神」といった感じでした。Lは総一郎に「死を選ばないでください」といった趣旨のことを言い、レムに名前を書かれる前に自身で(本物と偽物をすり替えていた?)デスノートに名前と死亡日を記していました。「先に書かれた死が優先される」とのルールにより、レムには殺されず。

ノートに書いたとおり、安らかにお亡くなりになりました。彼自身のラストシーンは穏やかなものでしたが、息子が大量殺人鬼キラだったと知った総一郎氏の胸中やいかに。もっとも、彼にはまだ守るべき者がいたため、それなりに前向きなラストではあったと思います。思いたいです。

対してリューク。Lがデスノートを「使わない」と知り、「何だ、つまんねえ」といずこかへ。何でか夜の東京を飛び回って呵々大笑というラストでした。でもかわいい・・・。じゃなくて、「リュークには何一つお咎めなしか」と思いましたが、彼は人間ではなく死神ですし、死神のルールは何一つ破っていません。だからお咎めなしなのです。何だか「法律」「決まり」「掟」などについて考えさせます。かわいい上に深い、それがリューク。

ドラマ版『デスノート』ラスト

Lと殴り合ったり、頭脳戦心理戦はどうしたと言いたくなる展開が続きましたが、Lは名前を書かれて死亡。その後ニアが捜査に加わったり人格が「メロ」になったりしましたが、最終決戦の場(倉庫の石油缶に銃弾が当たった?)が炎上。燃えるノートをつかむ月は、黙って自分を見つめるだけの死神たち、リュークとレムに「目の取り引き」を申し出ますが、既に彼の体は炎上。死神たちはいずこかへ去っていき、ニアは「メロの人格は演技」であったとネタばらしします。

ラストシーンは、ワタリがLからのビデオレターをニアに見せている、というもの。そこには、万が一月がキラでなかった場合の謝罪と激励が語られていました。こっちが彼の本音だったのではないかと思わせるほどに。

月を助けなかったのはともすると「寿命」だったのかもしれません。漫画版では「神」になれましたが、ドラマではなろうとしてもなれませんでした。その方が人間味があると言えばあると言えるかも。しかし、何だかすっきりしないのも事実なんですよね。ともあれ漫画と実写での表現の差異という点でも楽しめるかと思います。

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